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サービスの顔となる「第一印象づくり」に邁進!当社のデザイナーの役割とは—ハート・オーガナイゼーション プロダクト開発部デザイナー・海本高希インタビュー

当社のWEB事業「e-casebook(イー・ケースブック)」は、2018年4月にスタートした症例検討プラットフォーム「e-casebook FORUM」と、2019年4月に開始された学会・研究会プラットフォーム「e-casebook LIVE」の2つのサービスを展開しており、現在では「e-casebook LIVE」が主力サービスとして、専門医約2万人が登録しています。これまでの会社の成長やサービスの変遷を見てきて、その変化に応じたデザインを手掛けてきた海本さんに、デザインに対する信念やモットーについて詳しくお伺いしました。

記事公開日:2021年3月29日
最終更新日:2024年11月12日

海本 高希(かいもと・たかき)

長年、グラフィック・WEB制作業界にてデザイン、アートディレクションやマネジメントに携わる。前職では自社プロダクトであるWEBマーケティングツールのデザインを担当し、2018年度グッドデザイン賞受賞。2018年12月、ハート・オーガナイゼーションにデザイナーとして入社。UIデザイン、フライヤーなど幅広くデザイン業務を担当。2019年11月グッドデザイン・ベスト100&グッドフォーカス賞 [新ビジネスデザイン](経済産業省 大臣官房 商務・サービス審議官賞)受賞、2020年12月IAUD国際デザイン賞2020銅賞受賞の功労者。e-casebookの世界観を表現するデザインを日々追求中。

グラフィックからWEBデザインへ、新たな挑戦

大学ではグラフィックデザインを専攻し、卒業後は東京の制作プロダクションに就職しました。商品パッケージや新聞・雑誌広告、カタログなどを担当し、印刷物のデザインが私のデザイナーとしてのキャリアのスタートでした。当時はまだMacもなく、手作業で線を引いたり、写植を貼り付けたりしていたのが懐かしいです(笑)

2000年頃、ようやく「WEBデザイン」という分野が広まり始めました。そのタイミングで、WEB制作専業のプロダクションを運営していた社長と出会い、「これからはWEBだ!」と意気投合し、WEB業界に飛び込みました。最初はWEBに関する知識はゼロでしたが、この新しい領域に挑戦することに魅力を感じました。

その後、長年勤めていたのですが、年齢とキャリアの進展に伴い、ディレクション業務やマネジメントの比重が増え、制作の現場から離れることが多くなりました。部下の若手デザイナーが成長していく姿を見守りながら、嬉しさとともに少し物足りなさも感じていました。「このままの道を進むのか」と悩みつつも、新たな挑戦を求めていました。

そんな時、知人からデジタルマーケティングを手がける企業で、プレイヤーとしての立ち位置で転職の話をもらい、転職を決意しました。クライアントワークのマネジメントを担いつつ、自社サービスの立ち上げにも携わり、さまざまな立場と関わり方を経験することができました。プレイヤーとしての比重が増す中で、やりがいも感じていたため、転職を考えていたわけではなかったのですが、偶然転職エージェントからハート・オーガナイゼーションを紹介されました。

入社の理由は、会社の目指す世界に社会的意義の大きさを感じたから

ハート・オーガナイゼーションについて「医療系の自社サービスを運営している会社」と聞いたとき、「何だその社会的意義をくすぐるような会社は!興味を持たないわけにはいかない!」と直感的に惹かれました(笑)。

私はe-casebook FORUMのコンセプトムービーが大好きなんです(動画はこちら)。「会社のサービスを通じて、世界中の医師が協力し患者を治療する」という理想の世界がよく表されていて、非常に感銘を受けました。年齢を重ねるにつれて、自分の仕事が社会の役に立っているかどうかを意識するようになり、この会社のミッションである「医師が世界中の専門医と協力し治療を行う仕組みを創り、医療格差をなくす」という理念に強く共感しました。当時、主力サービスだった「e-casebook FORUM」を見た際、完成度の高さに感心し、医療業界のことは分からなくても、自分の経験値はここに還元しようと決めました。

さらに、面接時にお会いしたCTOの金内哲也さんのお人柄や考え方にも共感しました。私は今後も可能な限りプレイヤーとして手を動かしていきたいと考えていますが、金内さんもエンジニアとしてのプレイヤー視点を持ちながら、役割を全うする姿勢が印象的でした。「マネージャー > プレイヤー」という考え方を持つ人もいますが、私は、マネージャーは地位ではなく役割と捉えています。金内さんも同様の考えをお持ちで、この人と一緒に働きたいと心から思いました。

社内ではいろいろな部署・役割を横断して繋げる「ハブ」

当社のデザイナーはプロダクト開発部に所属しており、現在デザイナーは私一人です。これまで手がけてきたのは「デザインが必要なもの全て」といっても過言ではありません。e-casebookサイトのUIデザイン、ライブ配信用のテロップやバナーといったスモールパーツ、ライブ集客用のリーフレットなどの紙媒体、ロゴやビジネスツールといった自社CI / VI、時にはプレゼン資料の作成まで幅広く担当しています。さらに、ユニークな案件として、e-casebookの中国語版ネーミングを考えたこともありました(笑)。

現在の主力サービスであるe-casebook LIVEには、①スポンサーがついた企業クライアントワーク型の企画と、②スポンサーなしのオリジナル自社企画があります。この2つは企画の進め方や関わり方、進行スピードが全く異なります。私はこれまでクライアントワークと自社サービスの両方を経験してきたことで、営業担当者の立場もエンジニアの視点も理解しやすく、各部署や役割の間に立ちながら動くことを意識しています。

例えば、企業クライアントから新規ライブ企画が立ち上がると、営業部からキービジュアルなどの制作依頼がきます。それを進める中でエンジニアと連携し、ライブページを準備します。マーケティング部からはABテストの結果などのエビデンスをもとに構成案を受け取り、それを基にUIデザインやフライヤーを作成します。また、プロダクト開発部では、営業が提示したスケジュールを考慮しながらエンジニアへの制作依頼を進めたり、ライブページに掲載する文字原稿をまとめたり、GAやサーチコンソールを活用した分析を行ったりと、多岐にわたる業務を担当しています。

当社はエンジニアリング思考やセールス思考が強い社員が多い環境です。そのため、社内でディスカッションを行う際には、資料にビジュアルをしっかり作り込むよう心がけています。具体的なイメージを共有することで、メンバーが共通認識を持ちやすくなり、建設的な議論が進むと感じています。

私は、物事を導して進めるというよりも、営業部、マーケティング部、プロダクト開発部といった各部署を繋げる「ハブ」としての役割を担いながら仕事を進めています。

どこを切り取っても「e-casebookらしさ」を伝える印象づくりが仕事

入社以来、一貫して意識しているのは、「視覚的なブランディングの一環として全てのデザインに取り組む」ということです。ユーザーがサービスに触れた際に記憶に残る「印象」をいかに形作るかを常に考えています。

例えば、当社がカテーテル治療分野の学会でブース出展していた頃、その分野の方々に一定の認知度はありました。しかし、それをより強く印象づけ、記憶に残すにはどうすればよいか。その答えが、「徹底してサービスカラーである水色を活用する」ことでした。あらゆるデザインに水色を強調して取り入れることで、「あの水色のやつ」「ああ、e-casebookね」と認識してもらえるよう意識しました。

さらに、2019年4月にe-casebook LIVEというライブ配信サービスがスタートし、コア層以外のユーザーにもアプローチする必要が出てきました。その際、従来の「専門的で敷居が高い」印象を払拭するため、イラストやキャラクターを活用して、親しみやすく見た目のハードルを下げる工夫をしました。

ライブのキービジュアル制作も、ただの画像作成ではありません。スポンサーやテーマの意図を汲み取りつつ、一貫して「e-casebookらしさ」を表現するツールとして、1枚1枚丁寧に設計しています。「e-casebookのロゴなしのビジュアルだけを見て、『これ、e-casebookっぽいよね?』と思ってもらえるか」を常に意識しています。これはよく言われる「ただレンガを積むのではなく、お城を作る」ことと似ていると感じます。

営業部を通じて、「e-casebookはデザインがきちんとしている→だからきちんとしたサービス」と社外から評価をいただくこともあります。デザインがサービス評価の一部として結びついている実感を持てる瞬間であり、視覚的ブランディングが進んでいる手応えを感じられて励みになります。

複数の受賞を経て一般の方に評価いただいているのを実感

当社が抱える課題の一つに、e-casebookの領域や内容があまりにも専門的であるため、社外、特に一般の方々にはその価値が伝わりにくい点がありました。

グッドデザイン賞への応募を検討する際も、医療業界に携わっていない方々にどうアピールするべきか、非常に悩みました。例えば、具体的なサービスコンテンツは医療関係者以外に公開できないものも多く、そのため「症例検討プラットフォーム」と表現するなど、内容をイメージしやすい言葉を工夫して用いました。

こうした試行錯誤を経て応募した結果、グッドデザイン賞ベスト100およびグッドフォーカス賞[新ビジネスデザイン]の2つを受賞することができました。2つも受賞するとは想像していなかったため、大変驚くとともに、当社の世界観やビジネスモデルが医療業界だけでなく、一般社会においても広く理解され、その価値を認めていただけたことに喜びを感じました。

▲2019年度グッドデザイン・ベスト100 展示の様子

▲2019年度グッドデザイン・ベスト100 授賞式の様子

2020年には、IAUD国際デザイン賞の医療・介護部門で銅賞を受賞しました。授賞式に出席した際、世界14か国から受賞対象で、建築からフォントデザインまで幅広く、名だたる企業が参加していました。その中で、当社のようなスタートアップ企業が提供する「医師のためのオンラインプラットフォームサービスe-casebook」は、やや異質な存在にも感じられました。

こうした賞は狙って得られるものではなく、公的な評価をいただけることは非常に喜ばしいことです。この受賞は、サービスそのものの付加価値を高めただけでなく、社内の士気向上にもつながり、仕事へのやりがいももたらすと思います。

グッドデザインプレスリリース:https://www.heartorg.co.jp/news/109/
IAUDプレスリリース:https://www.heartorg.co.jp/news/100/

会社の成長を実感しながら、数段抜かしでキャリアアップできる環境

当社のサービス「e-casebook」が捉えどころがないのは、根底にある「より良い医療をサポートしたい」という想いが不変でありながら、その手段やサービスの形は柔軟に変わり得る点にあるかもしれません。今後、サービスはさらに成長し、スポンサーも増えるでしょう。それに伴い、携わるスタッフも増加し、会社自体も拡大していくでしょう。場合によっては、サービス内容が大きく変わる可能性もあります。このような変化の中で、スタッフやユーザーにとっての「e-casebookらしさ」を強く維持し続けることが求められます。

私自身、インハウスデザイナーとして、またクライアントワークのデザイナーとしての両方を経験して感じるのは、デザイナーにとってインハウスの方が自然な形であるということです。どんなに丹精込めてクライアントのためにデザインをしても、それは他人のものに過ぎません。しかし、インハウスであれば、会社のメンバーが何を考え、何に取り組んでいるのかを深く理解し、デザインはすべて自分事ととして長期的に取り組むことができます。

「e-casebook」には特別な思い入れがあり、「このプロダクトが好きですか?」と聞かれたら、即答で「大好きです!」と答えられます(笑)。まるで我が子のように心血を注いできたプロダクトなので、愛着が非常に強いです。

現在所属しているプロダクト開発部のメンバーは、過去にさまざまなエンジニアと一緒に働いた経験から言っても、年齢が若い割には非常に優秀だと感じています。会社の急激な成長に合わせて、フルスタックで自分の仕事に責任を持ちながら取り組む必要があります。こうした環境では、否が応でも自分を大きく成長させることが求められ、それが結果として優秀な人材を生むのだと思います。エンジニアに限らず、デザイナーとしてジョインしても同様の経験ができるはずです。

確かな技術を持ち、信頼できるメンバーとともにモノづくりをしたい方で、当社のミッションに共感できる方は、ぜひ一緒に働きませんか!

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