2022年に誕生した博報堂Gravityは、ファッション・ラグジュアリー・ライフスタイル領域のブランディングを得意とする広告会社です。博報堂グループ内にあった博報堂マグネットとコスモ・コミュニケーションズの2社が統合し、ノウハウ、スキルを融合することで、ブランド起点の統合マーケティングをワンストップかつ、高クオリティで提供しています。
そんな博報堂Gravityを支える社員へインタビューを実施。今回話を聞いたのは、ビジネスプロデューサーの鈴木海渡。入社当初はファッション領域を手掛けたいという気持ちが強かったものの、今では特定のジャンルにこだわらず、自分の強みを活かせる仕事をしたいと思うようになったといいます。ファッションをはじめ、スポーツブランドやメンズコスメ、ジュエリー、インテリア、音響、お酒など、Gravityのなかでも特に幅広いジャンルのクライアントを手掛けてきた彼のターニングポイントとは?
▼プロフィール
鈴木海渡(すずき・かいと) / 職種:ビジネスプロデューサー / 2017年8月入社
新卒でデジタル専業の広告会社へ入社し、2017年8月、博報堂Gravityの前身であるコスモコミュニケーションズに転職。ビジネスプロデューサーとして幅広い領域のクライアントを担当している。
「縁の下でサポートし、広める仕事がしたい」
───まずはキャリアについて教えてください。鈴木さんは大学でどんなことを学び、広告業界へ進んだのでしょうか。
鈴木海渡(以下、鈴木):大学では総合制作学部のメディア情報学科を専攻し、メディアや広告に触れたり、ゼミのメンバーで映像作品を作ってコンペに出したりしました。その経験や就活時の自己分析で、作る側よりも、作る側を縁の下でサポートし、より広めることがしたいなと気づいたんです。
映像や映画、音楽などのカルチャーも好きだったので、広告会社だったら幅広く携われるかなと思ったこと、日々の生活のなかで、広告や映像などに触れて感動している人の姿を見るのも好きだったことから、広告業界を目指しました。
いくつか受けたなかでデジタル専業の広告会社に縁があり、時代的にデジタルのトレンドがあったので、知識として身につけないといけないだろうと考えて入社を決めました。
───そこから転職を考えるようになったのはなぜですか?
鈴木:前職ではコンサルタントという職種で、デジタルの広告を入稿して、数字を見て運用するようなバックサポートの仕事でした。領域的にも、広告のアッパー・ミドル・ロワーでいうと、ロワーが中心だったんですね。もっと広い領域で、川上から川下まで、一貫して仕事をしたいなと思ったのが理由の一つです。
もう一つは、会社の風土が自分と合っていなかったことです。社員数の多い会社だったので、自分と価値観の合う人、気兼ねなく話せる人を見つけられず、自分の素を出せなかったんです。それらが転職しようと思った理由でした。
───そうだったんですね。転職先はどのように選びましたか?
鈴木:幅広い領域が手掛けられること、自分の興味のあるジャンルであることを条件に転職先を検討し、Gravityの前身であるコスモ・コミュニケーションズへの入社を決めました。
会社の中で自分の“素”が出せる環境づくりを
───実際に入社してみて、前職でできなかったことは叶っていますか?
鈴木:アッパーからロワーまで任せてもらえるクライアントが増えてきました。自分の興味があるような業種も担当させてもらっています。
あとは、すごくフレンドリーな会社なので、上下関係なく、フラットなコミュニケーションがとれています。人間関係のストレスがなくて、自分の素を出したまま働けているので、いつのまにか入社から8年経っていました。
───以前インタビューした井上宏介さんから、「若手交流会を開いたりお昼に誘ってくれたりした、頭の上がらない先輩」として鈴木さんのお名前が上がっていました。
鈴木:コスモに入社したとき20代がほとんどいなくて、先輩方はもちろん仲良くしてくれたんですけど、横の繋がりを感じられなかったんですよ。それはすごくもったいないことだと思っていました。
きっと仕事をしているなかで同じような悩みや解決策があるはずで、横の繋がりができれば、気軽に話せて情報の共有ができるのではないかと思いました。だから、後輩たちにもそういうコミュニティを作ってあげられたらと思ったんです。
仕事でサポートできる部分は限られているんですけど、仕事以外でもできることがあるんじゃないかと、若手で集まる飲み会を主催していました。あのインタビューを読んで、井上がそんなふうに思ってくれていたんだと知れて嬉しかったです。
クライアント含めて“ワンチーム”になりゴールを目指す
───これまでどんなクライアントを担当してきましたか?
鈴木:ファッションをはじめ、ゴルフやメンズコスメ、ジュエリー、ブライダル、インテリア、音響、お酒など、かなり幅広いジャンルを担当してきました。
入社当初はファッション領域をやりたいという気持ちが強かったのですが、いろいろ経験した結果、特定のジャンルではなく、自分の強みを活かせる仕事ができればと思うようになりました。
───どんなところがご自身の強みだと思いますか?
鈴木:幅広いジャンルのクライアントを担当したので、「このジャンルでできたことを、こっちに展開してみよう」とか、「このアイデアはこっちで使えるな」みたいな、知識の広さは、一つの強みかなと思います。僕自身の特性上、好きになったものを深く知りたいタイプなので、いろんなジャンルを好きになって、深く知れるのは楽しいです。
また、クライアントに言われて嬉しかったことは、「ワンチーム感があっていいですよね」ということ。クライアントと一つのゴールに向かって一緒に仕事できることにやりがいを感じます。
───「クライアント含めてのワンチーム感」なんですね。
鈴木:そうですね。僕ら広告会社ってクライアントから見たら最初は外部の人間でしかないと思うんです。ただ僕自身は仕事をしていく中でパートナーとして認識してくれて、一緒に頑張ろうと言ってくれるクライアントが増えてきています。
特にターニングポイントになったのは、昨年からお酒メーカーを担当するようになったことです。そのクライアントは、僕ら広告会社を含めワンチームと考えてくださり、「売り上げが伸びた要因は何なのか」「今後こういう投資をしないといけない」など、定例で根掘り葉掘り話してくれるんですよ。
いち広告会社としてではなく、パートナーとして一緒に売り上げを作っていく。「売り上げが増えたら広告費も増えるからWin-Winだよね」っていう体験を大きな規模感でできたことから、「クライアントのビジネスを成長させることで僕らも成長する」という意識を持つようになりました。
鈴木:僕らはクライアントからの予算を預かる立場ですが、クライアントからするとすごく大きな投資で、責任が重大だなって感じる瞬間が多々あって。クライアントの状況によっては広告予算を投資するために、社内の承諾を得るのってめちゃくちゃハードルが高いケースもあるそうなんです。
そこに真摯に応えたいので、「こういう情報が必要ですよね」とか、「いや、でもここはもっと説明が必要ではないですか?」など、クライアントが投資をするにあたって何が必要なのかも一緒に考えることも多くなってきました。
───内部事情まで把握して寄り添ってくれるのはすごく心強いですし、まさにワンチームですね。
「クリエイティブ×言語化」で広告の意味を強めていく
───クライアントがGravityに求めているものはなんだと思いますか?
鈴木:クライアントによって異なると思うのですが、僕として発揮したいことが二つあります。一つは、“ファッション感”のあるようなクリエイティブにジャンプアップすること。二つ目は、それをすることによってクライアントのビジネスを成長させることです。
───いいものを作って終わりではなく、ビジネスが成長するところまで見届けるんですね。ファッション領域ではないクライアントにも、“ファッション感”のあるクリエイティブは伝わるものですか?
鈴木:自分たちでもそこは課題かなとは思っていて。もちろん「ファッション感」があることをGravityに求められる場合は多いんですけど、「なんでこのクリエイティブを作るんだっけ」という言語化が、ファッション以外の領域ではより求められると思っています。漠然とした感覚だけでは戦える時代ではなくなってきているので、ロジックや言語化はマストになってくるだろうなと感じています。
ロジックを組み立てて言語化する。それをクライアントと共有して認識を揃える。そこを僕たちがしっかりやることでクリエイティブに意味を持たせることができるし、表現としてのジャンプをさせる土台を作れたらなと思っています。
「なんのために作るんだっけ」みたいなことを実際にクライアントから言われた経験もあるんですが、その問いを打ち返せないと、「じゃあ作る意味ないですよね」となるので。
───そうした言語化が成功した具体例はありますか?
鈴木:インテリアのハウスメーカーの広告を制作したときのことです。インテリアってビジュアルがかっこいいだけのことも多いんですが、「このビジュアルを使って何を伝えたいんだっけ?」ということをすごく意識しました。
これだけ広告がありふれている世の中で、何を伝えたいのかをすごく真剣に考えて、「こういうコンセプトだから、こういうビジュアルでこういうメッセージを伝えていきましょう」と提案したときに、「やりたかったことはまさしくそれなんです」と言っていただけました。
最終的なKPIはその物件を買ってもらうことなんですけど、「安心して住める」とか、「自分の理想の暮らしがそこで叶えられる」ことが伝わるといいなと思い、ビジュアルとコピーで安心感が生まれるようにしました。比較的シンプルなクリエイティブだったんですけど、一言で刺さるところがあったので、すごく覚えていますね。
───これまで成功体験の話を中心に聞いてきましたが、働くなかで挫折した経験などはありましたか?
鈴木:数年前くらいまで、割と一人で仕事を抱え込みがちだったんですよね。プランニングから実行まで全部自分でやるのが当たり前になっていたんです。でも、やることが増えて、その限界を感じました。
それによって、「頼っていいんだ、頼ることは悪じゃないんだ」ってことを覚えたんですけど、そこからすごく仕事の幅が広がったんです。自分のリソースもそうですけど、クライアントに提供する部分の価値も広がりました。
一人でできるものもあれば、できないものもある。自分にはなかったアイデアや解決策を出してもらえることもあり、自分の不得意なところを他のメンバーが支えてくれています。チームだからこそ達成できる瞬間を何度か味わってきました。
趣味が仕事に活き、仕事が趣味に活きる
───働く側としてのGravityの魅力はどんなところでしょうか?
鈴木:自分の趣味や好きなものを仕事に活かせる環境で、逆に仕事でやったものが趣味にも繋がっています。人によってはプライベートと仕事を分けたい場合もあるとは思うんですが、今の自分は仕事とプライベートを分けること自体が難しいので、そのなかでも親和性のある領域なのかなと思います。
───プライベートの経験が仕事にも活かされることはありますか?
鈴木:音楽が好きで、月1本はライブやフェスに行っているのですが、アーティストや、展示しているブースを見るのも、仕事に活きる部分があって。例えば、フェスやライブではお酒も販売するので、クライアントの競合が出ていたりとか。そしたらクライアントにもそういう話はできるじゃないですか。実体験したことほど強いものはないと思います。
昨年は、自分の好きな音楽とお酒を掛け合わせるような仕事も経験しました。お酒メーカーのアンバサダーとしてバンドのボーカルを起用したのですが、彼らが地元で音楽フェスをやるとき協賛することになり、「曲にインスパイアされたカクテルを提供したら売れるんじゃないか」と提案しました。僕がインディーズのときから追いかけていたバンドだったので、どういう曲がいいのか、どういうお酒だったらいいのかを考えて、実際にフェスの当日を迎えたときに大行列ができてめちゃくちゃ売れたんですよね。
自分の好きな音楽と、クライアントの売り上げへのコミットが掛け合わせられる仕事になったので、とても印象に残っています。
───今後の展望はありますか?
鈴木:広告とファッションが好きなので、関連する仕事をしていたいというのは大前提としてあります。クライアント側のマーケティングの部署で、どういう風に仕事をしているのかには興味がありますね。
もう一つ、僕は台湾生まれで、父が今でも台湾で仕事をしているんですよ。今でも年に1回くらい行くんですけど、台湾の成長ぶりを見ていると、可能性を感じます。ゆくゆくは台湾の仕事がGravityでできたら嬉しいですね。