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男性育児休業のすゝめ

こんにちは、グロービスの佐々木です。普段はグロービスAI経営教育研究所という組織で、自然言語処理などを活用した研究開発の業務に取り組んでいます。

突然ですが、私は2018年6月上旬から7月上旬にかけて一ヶ月間の男性育児休業(育休)を取得しました。当初想像していた以上に貴重な経験を得ることができたので、私の育休の体験談をご紹介させて頂きます。

育休取得のきっかけ

妻の第二子妊娠が判明したのが2017年10月。当初育休は考えていなかったのですが、妻の妊娠を上司に伝えたところ、育休の取得をすすめられました。上司は子供が四人いる女性ということもあり、二人目以降の場合は上の子のケアが必要になるのでパパの出番ですよと伝えられました。

早速妻に相談したところ、「取ってくれると嬉しい。第一子が小学校に入学した直後でフォローも必要なので。」と言われました。また、日本の男性育休取得率を調べたところ、

  • 政府目標は2020年までに13%(*1)となっているが、現状は3.16%(*2)と低い数値にとどまっている。

ということを知り、男性育休がどういうものなのか実体験したいという思いが湧き上がり育休を取ることに決めました。

*1: http://www.gender.go.jp/public/kyodosankaku/2017/201706/201706_02.html

*2: 平成28年度実績値。https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/dl/71-28r-07.pdf から引用。

育休中の過ごし方

産まれたばかりの赤ちゃんに対して父親ができることは限られています。もちろんミルクをあげる、オムツを換える、お風呂に入れるなどはしましたが、私は第一子の面倒を全て引き取りました。そして、結果的に妻が第二子に専念できる環境を創りました。

子供の教育

第一子は小学一年生なのですが、子供の教育は奥が深くて面白かったです。まず、子供の教育に関する知識が全くなかったので、中室さんの『「学力」の経済学』という本を読みました。そこから、低年齢(就学前や小学生低学年)での教育の重要性を痛感して家で宿題をするときは横で付きっきりで見ていたのですが、子供の学習能力の高さにただただ驚かされました。

私は大学時代から人工知能(機械学習)に関する研究開発に携わってきましたが、機械は一つ一つ丁寧に教えなければならず、且つ、教えたことしかできるようになりません。一方、人間の子供は一つの事を教えてちゃんと理解させれば、似たような問題に対しては転用力を働かせて解決することができます。例えば、平仮名の「ぬ」をきれいに書けるようになるためには「め」をきれいに書けるようにならなければならないと教えれば、平仮名の「あ」の3画目は「め」の2画目と同じように書けばよいとこちらが何も言わないでも気付いていました。

小学校の保護者説明会

育休中に小学校の保護者説明会があったので、それにも参加しました。平日午後の早い時間に開催されるので、育休を取っていなければ参加は難しかったと思います。参加者は母親が圧倒的に多く、同じクラスで父親の参加者は私を含めて二人だけでした。そして、保護者説明会の終わりに子供たちからサプライズプレゼントがあるということで、机の上に置かれたネームプレートの中に「お母さんへのお手紙」が入っていました。私の子供も母親、つまり私の妻への手紙を書いていたのですが、保護者説明会には母親が参加することが前提となっているような気がして少しモヤっとした気持ちになりました。他の多くの保護者は自分に書かれた手紙を読んで喜んでいたのですが、私は妻に書かれた手紙を読んでも素直に喜ぶことができませんでした。

小学校の保護者説明会はあくまでも一つの事例であり、この他にも育児は母親の役割であるという前提に立っていると感じられるイベントや出来事に何度か遭遇しました。恐らく育休を取得していなければ気付かなかった事であり、このような事に気付けただけでも育休を取得して良かったなと思います。

男性育休の心配事

男性の育休はまだ珍しいこともあり、会社の人たちからは驚かれることが多かったです。それと同時に、男性でも育休取得を検討したものの、給料や仕事の事を考えて諦めたという人が多い事も知りました。そこで、男性育休の代表的な心配事と、それらに対する私なりの解決策というかアドバイスを載せておきます。

  • 給料が下がるのでは?

男性でも育児休業給付金は貰えますが最大でも給与の2/3であり、育休を取得することで貰えるお金は減ります。ただ、一ヶ月程度の育休であれば、減少幅は家族旅行一回分程度です。そして、家族旅行では得ることができない貴重な経験が待っています。また、家族旅行はいつでも行けますが、育休が取得できるのは子供が産まれた時(最大で子供が2歳になるまで)しかありません。

  • 仕事の引継ぎは大丈夫か?

妊娠が分かってから実際に育休を取得するまで(赤ちゃんが産まれるまで)には少なくとも半年以上はあります。それだけの準備期間があるので、上司や周囲と相談しながら準備を進めれば特に問題は出ないと思います。

  • 自分が居なくても仕事が回るということは自分は要らないということか?

仕事の色付け、肉付けは人それぞれだと思いますが、その人にしかできない仕事は基本的にないと私は考えています。ですので、誰であろうと一人が抜けても組織が回るのは自然な事だなと思います。私も20代の頃はこのようには考えられていませんでしたが、フローレンス駒崎さんの『「あなたにしかできない仕事」はない』という記事を読んでこのような考えになりました。

男性育休を増やすためには?

最近、日本では様々な労働問題が表面化していますが、私は男性の育休取得を増やすことが解決策の一つになると考えています。そのためには、男性で育休を取る人をもっと増やさないといけませんが、どうすれば増やすことができるでしょうか。

男性育休を取得した人がこのように体験談を発信するというのも一つの手段ですが、私は周囲の声掛けが一番効果のある方法だと思います。実際、私も上司にすすめられていなかったら育休を取得していなかったと思います。また、千葉市の男性育休取得率が22.9%になったというニュースを最近見ましたが、ここまで高くなった理由の一つとして周囲の声掛けが挙げられています。

私もこれからは身近なところでパートナーが妊娠した男性がいれば、積極的に育休取得をすすめていこうと思います。

最後に

ここまで男性育休の体験談について書きましたが、私が育休を取得したのはわずか入社十ヶ月目です。グロービスには「自由と自己責任」という価値観が十分に浸透しており、だからこそ入社一年未満の社員でも気兼ねなく育休を取得することができたのだと思います。このような素晴らしい価値観を持った会社で一緒に働いてみませんか?

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