トヨタ自動車 × 博報堂キースリー web3 Hackathon、世界41チームの中からPolkadot/W3F賞を受賞したTeam GAOGAOのみなさんに、ハッカソンの裏側について伺いました。
今回のインタビューメンバー
- おぬきち:エンジニア兼 リサーチ担当 兼みんなのリーダー(日本在住)
- こうりん :つよつよブロックチェーンエンジニア(エストニア在住)
- はなちゃん:最近タイからやってきたエンジニア(ベトナム在住)
- 大野さん:頼れるPdM(日本在住)
『なんか面白そう!』という完全にノリで
まずは、世界41チームの中からPolkadot/W3F賞の受賞おめでとうございます!ハッカソン参加のきっかけは何だったのですか?
おぬきち:社内のSlackに『ハッカソンがある!』という情報が投稿され『なんか面白そう』という。完全にノリでしたね。
こうりん:ですね。私は元々海外のWeb3ハッカソンに何回か参加した経験があったため『GAOGAO内でメンツが集まるのであればやりたい!』と思いました。
おぬきち:GAOGAOにWEB3Labという部署がありまして、そこで以前にDAOツールの開発していました。『企業向けDAOツールの開発』という今回のテーマを見て、非常に近いなと思いました。そして『賞金総額1000万円!』というのと『自分たちの活動を知ってもらいたい』といった理由もあり挑戦することにしました。
トヨタの課題を解決し、トヨタで使えるものを作りたい
大野:「トヨタに何を届けたいのか」を、常にみんなと確認しながら進めていたと思います。
マネジメントをする観点でどういう機能があるといいんだろう、トヨタの課題を解決するために何を作るのが一番良いんだろうというのをすごく意識していました。
WEB3は結構思想を大事にしていて、これまでの組織やWEB2.0のサービスではない、WEB3の思想の実現を目指したサービス開発をする傾向があるのですが、でも、そこに引っ張られすぎず、課題解決の要素を盛り込んでプロダクトとして形にできたのではないかなと思っています。
おぬきち:そうですね。そのために調査に2週間ほど時間をかけました。トヨタの新規事業や企業文化、福利厚生、会社として何に力を入れているのか、徹底的に調べ、どの部分にDAO要素を取り込みそうかディスカッションをしました。
全員が『トヨタの課題を解決し、トヨタで使えるものを作りたい』という想いで進めていたと思います。そのあと、追加でテーマの詳細が発表され、それまで2つのプロダクトのアイデアがあったのですが、よりトヨタの課題が解決される方に絞ることができ、『個人の評価、活動の可視化』という方向にかっちり決めることができました。
大野:ハッカソンは曖昧なテーマでやることが多いのですが、今回は開催者からプロダクトの導入想定イメージや期待成果が予め掲示されていたので、本当に企業が困っている課題をWEB3で解決するというところに、テンション上がりましたね。
個人の評価、活動を可視化に着目して生まれた『TrustX』
今回のプロダクト『TrustX』はどのようにして生まれたのですか?
こうりん:今回のハッカソンは『企業内プロジェクト』と『DAO』が主なキーワードでした。
調査をしている上で、TOYOTAグループ内で新規事業創出プログラムやビジネスコンペなどを積極的に行っていることを知りました。新規事業はすべてが成功するものでは無く、途中で打ち切りになるものも多いと思います。
一般にDAOはメンバーが自律的に動いていくことで、長期的に発展するモデルです。
一つの新規事業プロジェクトを1つのDAOとみなした時、プロジェクトが打ち切りになる事を考慮すると、DAOでよく搭載される機能のガバナンスや公平利益分配は最初のフェーズではそこまで重要では無いと考えました。(もちろん規模が拡大して、長期的に運用されるとなった場合これらの機能は非常に重要になると思います) 新規事業のプロジェクトは成功する事だけを実績にしてしまうと、失敗してしまったプロジェクトは何も残らず、非常にもったいなく、そこで得られた経験や知見を活かすべきだと考えました。
そのため、日々の活動へのレビューを評価とし、それを上長やメンバーを探している他のプロジェクトが活用できると、管理コストの削減や新たなイノベーションの創出を促すものだと思い、『TrustX』を作りました。
おぬきち:TrustXでは、機能性やUIを追及しました。実際に企業で使用したいと思える機能性を目指し、web3に詳しく無い人でも使用できるUIを目指したところがこだわりポイントです。
大野:『TrustX』が導入されることで、メンバー間の相互評価が蓄積されることで、新規プロジェクト立ち上げ時に、適した人材を発掘できるようになります。
『TrustX』は、人間的な部分とDAOの自律的な部分との「接合点」になってほしいと考えています。人間的な部分を極力除外するDAOも魅力的ですが、DAOの上で働く人達が楽しく働く為にも、人間的な要素をDAOに取り入れていくことが重要だと思っています。
改めてGAOGAOにいる人たちの凄さを実感
TeamGAOGAOでハッカソンに参戦してみて感じたことはありましたか?
大野:改めてGAOGAOにいる人たちの凄さを実感しましたし、それぞれの得意が生きたチームだったと思います。調査やコンセプトの言語化を私が担当し、ブロックチェーンのバックエンド設計と開発をこうりんさん、フロントエンドははなちゃん、そして取りまとめるおぬきちと。
はなちゃんは途中からチームに入ってくれたのですが『WEB3よくわからないす!』と言いながらも、得意なUIにコミットしてくれて。議論も建設的に意見を述べあっていて、雰囲気が良く得意が生きたチームだなと思いました。
こうりん:そうでしたね。各メンバーがそれぞれの担当で最高の仕事をしてくれたので、プロダクト開発が坦々と進んでいく様が見ていて楽しかったです。あと、AstarチェーンやSubQueryなど使ったことないプロダクトに触れられたのも楽しかったですね。
おぬきち:いやー、こうりんさんとはなちゃんは本当に手が早い!『こういうものが作りたい』『こんな感じの機能が欲しい』という緩めの要件定義の中でも、自分で考えて設計し、そしてものすごいスピードで開発してくれる。ここはオーナーシップを持ってやるというGAOGAOの特徴が色濃く出ていたと思います。
スピード感を持って形になっていく、勢いがあって、雰囲気が良くて、終始楽しかったです。聞いてみたかったのですが、こうりんさんはなぜそんなに開発のスピードが早いんですか?ブロックチェーン側だけでなく、WebフロントエンドのUIも爆速で開発していた印象が強くあります。
こうりん:元々実装したことありますし、今はGAOGAOではバックエンドのプロジェクトを担当することが多くなっていますが、元々はフロントエンドやってましたし。やったことあることを使ってやるので早いのかもです~。
おぬきち:これは、、経験値の差ですね。引き出しの多さ!驚くほど早かったです。
はなちゃん:こうりんさん、まさか暗号化までやってしまうとは!まじか!って思いましたね。8時間連絡がかえって来ないなと思っていたら、暗号化をしていただなんて。
おぬきち:あれは、本当にかっこよかったですね。朝起きたら『できたよ!』ってなっていて。
こうりん:暗号化の部分に、どうしてもやり残した感があって、作っていたアプリの置いてあるブロックチェーンで実現が難しそうだなと思ってたのですが、最終的に取り合えず機能だけ実装させてしまおうと思って、他のチェーンとかと組み合わせたりして、取り掛かってましたね。深夜から早朝にかけて。
おぬきち:まあ、こうりんさんのことなので、やっているんだろうとは思っていましたが笑 ナイスプレーでした!
オンラインとは思えない一体感!
こうりん:今まで参加したハッカソンは、国籍もバラバラな、初めましての人たちと3日くらいで完結させなくてはいけないので、取り合えず動くけどプロダクトとしてローンチするまでにはもう少し改善が必要だよねという状態で終わることが多くて。
でも今回は、期間が長かったというのもあり、一通り動くようにすることができましたし、UIの改善もでき『リリースしても使えるのでは?』というところまで持っていくことができてすごく良かったと感じています。
おぬきち:まるで高校の部活や文化祭のように、チームで一つの目標、物事に向かって、時間を忘れて取り組むことができ、とても達成感がありました。
はなちゃん:それはありますね。終わった後は達成感で溢れていました。非常に価値の高い活動であり普段の業務とは違う面白さがハッカソンにはありました。仕事でも趣味でもいいので、また参加したい!
大野:最終ピッチのイベントを、Gatherでみんなで応援して、終わった後にみんなで『めっちゃいいね』と言い合えたのが楽しかったですね。オンラインだと制約上どうしてもわいがや感が失われやすいじゃないですか。でも、この日はみんなの感情も高ぶり、矢継ぎ早に『すごい』『おぬきち!』『感動した』といった歓声が出て、まるでみんなが一つの物理的空間に集ってるような雰囲気があり、オンラインとは思えない一体感が生まれていました。最高でした。
賞金について
賞金の使い道は決まっているんですか?
大野:私はもう使いました。
一同:え。早っ!
大野さん:GAOGAOメンバーに会いにバンコクに来ています。元々一緒に働いていたメンバーで、東京で開催されたGAOGAO忘年会で唯一会えなかったメンバーだったので、来ちゃいました。ワーケーションも兼ねて。
おぬきち:私は新しいPCを買う資金にしたいと思います。
はなちゃん:私も最新のPCを買いたいと思います!
こうりん:使い道は決めていないのですが、せっかくなのではなちゃんの居るホーチミンに行き、祝杯をあげたいと思います。
今後のGAOGAO Web3Labについて
こうりん:GAOGAOはほぼクリエイターの組織で、全員が手を動かしてモノをつくることができ、バリバリ開発できる人材が揃っているという強みを持っていて、キャッチアップもとにかく早い。
なので、全員がWEB3のことを知っててもいいなと思っていて、WEB3のプロジェクトのあり、なしのトレンドに合わせWEB3Labに入って開発したり、抜けたりと流動性のある組織にしていけるといいなと思っています。まずは、GAOGAO全体のエンジニアの10%くらいがWEB3案件に対応できるようになってもらえたらいいなと個人的には考えています。
今回のハッカソンを通してGAOGAO内でも更にWeb3に興味を持ったり、技術の一つとして身につけたいと考える人が増えていると嬉しいなと思っています。
そして、そういった人たちのサポートや支援を行っていきたいと思います。
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