【VC インターンブログ Vol.7】海外有名VC研究! Founders Fund徹底分析
海外有名VC研究! founders fund徹底分析
こんにちは、FCPの池田が第4回目の海外有名VCの分析を担当します。 前回は、はるばる海を超えた中華人民共和国で活躍しているベンチャーキャピタルについて分析させて頂きました。でも、やはりVCと言えばアメリカ。今回は、前回渡った海をまた渡り、アメリカのシリコンバレーで有名なサンフランシスコで大活躍をしているVCを徹底分析していきます。
第一弾でお馴染みのベンチャー、スタートアップで盛んなアメリカのカリフォルニア州サンフランシスコ。今回は、そんなカリフォルニア州サンフランシスコに拠点を置く、”No Rule"と言った珍しい投資規則の下で動いているVC、Founders Fund について深堀していく。
(画像引用)
まずは、Founders Fundのプロフィールをザッと見ていきたい。
企業概要
- 本拠地:サンフランシスコ、カリフォルニア州
- ポートフォリオ:439社 (リード115社)
- 2005年にピーター・ティール氏によって設立
- 有名投資先:Facebook, airbnbなど
- 総運用額:$3.4 billion
- Exit数:70社
前2回の米国有名VCと比較すると、Founders Fundは小規模のVCだと言うことが伺える。しかし、その実績は規模の大きさを上回る形になっていることが以下の表(2019 VC partners Ranking) からも読み取れるだろう。
2018年度のランキングの5位に対して2位ほど下落したが、Founders FundのBrian Singerman氏はFirst Round Capitalのパートナー(11位)を抜かして堂々たる7位を獲得している。それではなぜ、Founders Fundは上位を維持できているのか。それにはFounders Fundが実践している投資方針のおかげでもある。
Founders Fundの投資傾向
Founders Fundは、シリコンバレーで最も異彩を放つ起業家であり投資家であるピーター・ティール氏によって設立されたVCであることが故に投資傾向も特徴的である。Founders Fundは、これまでに上場や買収などからの現金化を2度経験し、その他、一握りの非常に知名度の高い企業への投資(Facebook、Slide、Geni、Causesなど)も行っている。 その一方で、現在最も力を入れているのが、アーリーステージからレイターステージの科学的・技術的に難しい問題などを解決するスマートなスタートアップへの投資だ。Founders Fundの投資特徴の一つして、宇宙・交通、バイオテクノロジー、ソフトウェア、エネルギー、インターネット等のように、市場の流行に左右されず、かつ、一般的には評価が難しいスタートアップに投資を行うことで、出資者に対して投資リターンの最大化を目指すことが挙げられる。
Founders Fundの特徴
- No Rule
Founders Fundが常識を覆してきた世界的なブランドと、呼ばれているのには理由がある。なぜなら、彼らが投資するスタートアップは大体が、SpaceXのような普通の投資家であれば投資したがらないような企業であるからだ。Founders Fundの唯一の投資規則が『No Rule』であり、Geoff氏曰く、彼らが投資をする際に検討する要素は、市場の流行りではなくその会社のビジョンである為、ステージや業種といったことに縛られず、あらゆる業種、あらゆるステージの会社に投資することが可能となるのだ。クレージーと思われるようなビジョンでも、それが成立することを示してくれれば大歓迎というスタイルと取っている特徴的なVCなのだ。
- 投資エリア
Founders Fundは、First Roundとは対照的にアメリカ国内に限らず、世界中にその投資の範囲を拡大している。例として、後にグーグルに買収されたブラジル(経済危機を迎えようとしていたブラジルでは、多くの投資家が手を引こうとしていた)の人工知能の会社や、ロンドンにあるスタートアップ、また、Spotifyで有名なスウェーデェンのスタートアップにも投資している。今後の投資先として、勿論中国のスタートアップへの投資は欠かせなくなるが、Founders Fundとしては、よりローカルVCが多く、言語の壁がある為未だシリコンバレーのVCがあまり来ていない日本が一つの候補先として上げられている。日本ではチャンスが多く、かつ、競合VCが少ない為、彼らにとって投資しやすい国の一つであることは間違いないだろう。
- 戦略にフォーカス
Founders Fundの投資方針の一つとして、戦略によりフォーカスし、エグゼキューションはチームが行えるようにサポートしていることがよく挙げられている。Sequoia CapitalやAndreessen Horowitzでは、戦略の他にエグゼキューションにあたっても積極的な支援を行い、『何が何でも勝つ』をモットーにしていることで、CEOが交代する事例もある。しかし、その一方で、Founders Fundでは起業家の意思や言動を尊重する為、解雇することはなく、支援している起業がとる戦略を尊重していることが、他のVCと異なっている理由の一つではないだろうか。
では、最後にFirst Round Capitalが投資した直近5社を確認してみようと思う。Founders Fundの投資傾向が見えてくるはずである。
1:Hims (アメリカ)$157M→オンラインのみで購入できる男性化粧品ブランド
2:Beam (シンガポール)$6.4M→アプリ上でのキックスケーター のシェアリングサービスを提供
3:Good Money (アメリカ)$30M→オンライン上でしか実在しない銀行。ここに預金することで年2%の利子がつく。
4:Tagomi (アメリカ)$28M→貿易のマネジメントソリューションプラットフォーム
5:Harbor (アメリカ)$40M→ブロックチェーン上でトークン化し、個人機密情報の流動性を向上させるためのプラットフォーム。
以上の5つが2017年度以降にFounders Fundが投資を実行したスタートアップだ。
この他にも数え切れない程様々な投資先があるが、それら全てを参考にしてみても、Founders Fundは主にテクノロジーが関わっている事業に投資する傾向が強い。上記で挙げた5つも全てITが関連している。IT化は、我々が想像している以上のスピードで我々の生活の一部分となってきているのは確かだ。これから先、IT化は、一定の速度を保つことを知らずに現在の2倍のスピードで実現していくだろうと、私は考える。
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