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開発組織のアウトカム最大化に向けて。エンジニアサクセスデスクが目指すもの

enechainは、国内最大のエネルギーのマーケットプレイスを運営するスタートアップです。電力・ガス自由化という「100年に一度の大改革」とも言われるエネルギーマーケットの中で、誰もがエネルギーを自由に売り買いできる社会の実現を目指しています。すでに全社の4割をエンジニアが占める中で、テクノロジーの力でエネルギーマーケットの流動性を高めていくため、より一層エンジニア採用を強化しています。
今回は、エンジニア採用や開発組織全体のマネジメントを担うVPoEの西村さんと、エンジニアサクセスデスクのマネジャーとして開発組織全体の環境づくり、アウトカム最大化を担っている杉田さんから、テクノロジー本部の目指す姿とそれに対する取り組みについて話を聞きました。
読者の皆様には、開発体験の向上に向けて具体的に行った施策・効果を知っていただけたらと思っています。

自己紹介

西村 洋一さん / VPoE
グリーやVASILYでモバイルサービス開発に従事。2017年にbitFlyerへ転職し、フロントエンド開発部の部長としてアプリ開発から採用、チームビルディング、ピープルマネジメントを伴う組織運営までを担う。エネルギーマーケットの市場規模の大きさと、そこへの事業的なアプローチに惹かれ、2021年9月にenechainに入社。モバイルデスクのマネジャーとしてチームの立ち上げに従事した後、今年の7月からVPoEとしてエンジニア採用業務をメインに開発組織全体のマネジメント業務を行っている。
社内での呼び名は「にっしーさん」。


杉田 陽市さん / テクノロジー本部 エンジニアサクセスデスク マネジャー
組込エンジニアとしてキャリアをスタートしたのち、プロジェクトマネジャーに転身しスマートフォンアプリの受託開発事業に従事。その後、前職bitFlyerでは自社プロダクトの開発プロジェクトを推進する傍ら、システム開発部門の部門長としてエンジニアリング組織のマネジメントにも従事。レガシーな分野でテクノロジーを活用していく可能性の大きさと、カルチャーに対するこだわりやバリューそのものに強く惹かれ、2022年1月にenechainにジョイン。現在はエンジニアサクセスデスクに所属し、各チームのプロジェクトマネジメントのサポートや組織全体に関する課題解決に取り組む。
社内での呼び名は「すぎさん」。


DX向上を目指す「エンジニアサクセスデスク」の立ち上げ

—ここ半年で18人の仲間がジョインし、総勢45人と組織も拡大中ですが、テクノロジー本部の現状についてお話を伺えるでしょうか?

杉田: enechainのテクノロジー本部の特徴は、特定領域での専門知識を持ちつつ、これまでのキャリアで一通りの課題解決経験や全社横断のプロジェクトをリードしてきた人が多いことですね。
enechainで2周目のチャレンジに挑んでいるといった印象でしょうか。

もう一つ、技術に執着するだけでなく、チーム・事業に対する強い目線を持っているところもenechainらしさですね。互いへのリスペクトやチームワークの重要性への理解もありつつ、開発と事業成長に一貫性をもって捉えている人が多いんじゃないかと思います。

西村: 一切の妥協なく採用にこだわっている点もそうですが、入社後のカルチャー共有に対して積極的に投資しているからこそ、全社最適・事業成長への目線が強いメンバーが多いんだと思います。また、部署内に閉じずに、他部署とオープンにコミュニケーションを取っていこう!といった意識で、プロダクト開発に取り組んでいるメンバーが多いです。

加えて、組織として特徴的なのは「エンジニアサクセスデスク」があることです。 他社には設置が少ない聞きなれない名前の部署ですが、エンジニアリング組織の健全なスケールや生産性の向上をミッションとするチーム、要するにエンジニアを成功に導くためのチームです。組織拡大と共にこれから出てくる課題に対して先回りして解決して欲しいという想いから設立しました。

杉田: エンジニアサクセスデスクは、現時点で人・組織課題の解決が中心ですが、ミッションとしては「組織の特に中長期な戦略を実現するための実行を担う」を担います。Developer Experience (DX) の向上を目指し、日本CTO協会が指標を定義した「DX Criteria」による現状把握を皮切りに、適切な施策に取り組んでいきたいと考えています。


見えてきた課題: ドメイン知識の不足と開発カルチャーの醸成

— 現状はうまくいっている部分もあるとのことですが、課題としてはどのようなものがあるのでしょうか?

西村: 大きく2つです。1つ目は、実現したい事業やそのスケール感から見て、エンジニアが足りていないことです。エネルギー業界は市場規模が大きく、まだまだお客様の業務改善に密接するビジネスをつくることができます。たとえば、これまでは卸取引にフォーカスしてきましたが、脱炭素ニーズに向けたGX (グリーン・トランスフォーメーション) 領域の新規事業も立ち上がりつつあります。ビジネスが立ち上がってもサービス開発が追い付かない現状では、当然事業の成長にもブレーキをかけてしまいます。新規プロダクトや新機能の立ち上げ・実装を担えるエンジニアをもっと採用することで、ビジネスの可能性を今の何倍も広げていけると考えています。

2つ目は、事業ドメインや業界そのものへの理解不足です。全メンバーと定期的に1on1して課題感をヒアリングしたところ、「仕事をする上でのドメイン知識が足りていない」「お客様のことが深く理解できていない」といったドメイン知識不足に関するフィードバックが多かったんです。電力会社出身でないメンバーのほうが多い中で、事業理解が早ければ早いほど立ち上がりも早く、比例してアウトプットのレベルも高まります。逆に事業理解が進まないと、ユーザーペインが掴めず本質的ではない開発に着手してしまったり、ビジネスサイドとの議論が非効果になります。深い事業理解から生まれるビジネス構想と、テクノロジーの専門性が掛け合わさって初めて生み出せる革新があると思っているので、ベースとなる事業知識をインプットできる仕組みは必要ですね。

杉田: 私からは別観点でお伝えすると、もう少しエンジニア組織内での価値観・判断基準の擦り合わせはしていきたいです。たとえば品質に対する意識、担保すべき品質のレベル、タスクの優先順位についてなど、テクノロジー本部の全メンバーで認識が揃いきっているかと言えば、そうではありません。全社的な行動指針は言語化できつつありますが、テクノロジー本部の日々の業務にまで落とし込むのは正直これからという段階です。


ドメイン知識獲得に向けた取り組み

— ドメイン知識のインプットに向けて行った施策は具体的にどんな取り組みですか?

西村: すぎさんとドメインエキスパートである竹ノ下さん (関西電力出身) と一緒に、「ドメイン知識タスクフォース」という取り組みを行っています。一例として、電力業界の基礎がわかる本『電力システムの基本と仕組みがよ~くわかる本[第3版]』を皆に配ることで、ドメイン知識を個々人に習得してもらう取り組みを行いました。ただし、本の中でも読む上での優先順位の判断が難しかったんです。そこで、ドメインエキスパートに必読箇所をピックアップしてもらい、読むべき項目を明確化しました。また、業務で必要になるであろう用語をリスト化し、新入社員たち向けに各用語の理解度チェックリストも作りました。現在、タスクフォースとしてeラーニングの仕組みもつくる予定です。今後もドメイン知識キャッチアップに向けた現在地の把握、学習を促進する仕組みを運用していきます。

杉田: 採用時点でドメイン知識を必須としていない代わりに、学習を促してキャッチアップを早める仕組みは大切ですね。ネットや本には落ちていない情報も多いですから、Notionを使ったノウハウ蓄積・オンボードコンテンツの充実化にも取り組んでいます。また、ドメインエキスパートで構成されている部署・ブローカレッジ本部が講師となり、社内向けに業界知識や専門用語への理解を深める勉強会を実施してくれています。その様子を記録した動画コンテンツも資料として活用させてもらっています。入社直後って「なにが分からないかが分からない」状態であることが多いので、理解度チェックリストを活用してもらい、自分の現在地を把握してもらいながらギャップを埋めていくインプット形式を取っています。今はテクノロジー本部向けの取り組みとなっていますが、将来的には全社単位の取り組みへと広げ、全社員の知識底上げにつながるようにしていきたいです。


カルチャー作りに向けた取り組み

— テクノロジー本部のメンバーの認識を揃えていく観点で行った施策は具体的にどんな取り組みですか?

杉田: まず、私自身が全社のカルチャー理解を深めたい想いから、マジカル隊というプロジェクトに参加しました。マジカル隊とは、「マジでカルチャーつくりたい」の略称で、その名の通り全社のカルチャーづくりを担う横断プロジェクトです。創業3年がたったいま、あらためてenechainらしさを確かめながら、今後スケールする中で譲れない「核」となる価値観、目指す方向を半年以上かけて明確にしました。
※詳しくはこちらの note記事 をご覧ください。

enechain全社として大切にすべきカルチャーを明確にした上で、テクノロジー本部としての行動規範も明確にしている段階です。カルチャーは言語化して終わりではなく、運用や体現こそすべて。日々の業務にまで落とし込めるほど言語化し、振り返る必要があります。カルチャーは正解も完璧もないからこそ、定期的にアップデートする機会もつくりながら、メンバー一人ひとりが迷わず意思決定や行動できる状態をこれからも追求していきたいですね。まずは全社のValueと整合の取れた、テクノロジー本部としての行動指針を設定し、行き渡らせることでメンバー間の認識を擦り合わせていきたいです。

また、人数が増える中でも互いの状況を知れるコミュニケーションの場として、エンジニア向けに「ENEC TechKaigi」を月1で開催しています。各チームのプロジェクトやその進捗を全体に向けてシェアする機会で、CTO・VPoEから全メンバー向けに方針を周知することもあります。イベント後は毎回アンケートを実施し、回答されたフィードバックを反映するようにしていますが、おおむね好評で、継続して開催しています。マネジャーがイベントを主導すると義務感が出てしまいかねないので、基本的にはメンバーに任せて、有志で運営してもらっていますね。


今後目指していく姿

— エンジニアサクセスを実現するために普段のマネジメントで気を付けていることはありますか?

西村: マネジメントをする上で大切にしていることとして、各メンバーがWill Can Mustの重なりが大きい領域で仕事をできているかは都度確認をしています。当然、期待する役割として各々のミッションややるべき業務、得意領域はありつつも、将来的な理想像やキャリアパスに沿う形でアサインを考え、内発的な動機で取り組んでもらえるよう環境は整えています。Will Can Mustの重なりが大きい仕事ほど、成長も早くて成果も出ますし、事業や仲間への貢献・やりがいも実感しやすいです。先が見えず不安を抱えるメンバーがいたら、ロードマップを提示したり相談に乗ったりすることで、Will Can Mustへと極力フォーカスしてもらうようにしています。

杉田: 私は部門を超えて横断的にテクノロジー本部全体の環境づくりを担う役割なので、今ある組織の仕組みや施策に対してそもそも論を疑う・Why?を問うことは大切にしていますね。形骸化したルールや成果に繋がらないオペレーションは組織を疲弊させますから、中長期的な施策・企画をつくったり上既存の仕組みに対して、なにがクリティカルな課題かを把握しに、適切な施策を打つように意識しています。

その他、個人的に行っている取り組みでいくと、マネジャーや他部門の人たちとなるべく1on1をやっています。全体に関わる分野への適切な施策を打つ役割だからこそ、あらゆる立場の持つ視点・情報をキャッチアップしていきたいですし、一人で考えていると単純にモヤモヤするときってあるので、壁打ちして言語化や整理させていただくことは多いですね。嫌な顔せずウェルカムに応えてくださるので、相談のしやすさや協力的な姿勢はとても助かっています。

— どんな人と一緒に働きたいですか?

西村: 特定の技術に尖っている人をもっと増やしていきたいです。今後は、より高度な技術的チャレンジをしていくフェーズですから、良い意味で総花的ではない特定分野のスペシャリストは必要になってきます。究極の理想は、ミッションクリティカルなシステムの管理・運用に携わってきたSREや大規模トラフィックを持つサービスに携わってきたWebアプリケーションエンジニアなど特定の技術を極めた人たちが、enechanのミッションとバリューに共感して続々と集まってくる状態ですかね。

杉田: 自身の成長や技術を活かせる機会が第一目標になっている人より、事業への興味関心を第一としてあくまで手段として技術を活用する考えがベースにある方と働きたいですね。また、個人的にはenechainのカルチャーが好きで、カルチャーフィットは成果や働きやすさとも直結すると思いますので、自然体でカルチャーとの繋がりを感じていただける方は非常にウェルカムです。特に、コンクリ (Constructive Criticism = 建設的批判) 発信できる人、もしくは受け取る立場でも誠意を持って受け止められる人でありつつ、スタートアップだからこそ未知の機会に対してチャレンジでき、プロアクティブに動ける人が合っていると思いますね。

西村: 弊社のバリューである「Rainbow is beautiful」の観点 (多様性を大事にし、コンクリを受け入れるカルチャー) だと、会話の能力が高くなくてもコードで語れるメンバーならウェルカムです。コミュニケーション手段は多様ですから、あくまで成果に向かって会話であれテキストであれコードであれ、適切なコミュニケーションが取れさえすればOKです。

杉田: コードから伝わるパーソナリティってありますもんね、僕も同意です。コアになる価値観は大事に共有しつつ、個性や得意/不得意には多様性を持たせていきたいですね。

西村: enechainの評価制度は、マネジメントトラックとエキスパートトラックに分けられて評価される内容になっているので、技術に特化したいエンジニアも安心してご活躍いただける環境です。

また、モバイルデスクの採用に関しては技術課題を用意しています。ソースコードには技術力以外に、人となりが表れる部分があるので、毎回レビューするのが楽しみです。多様性を受け入れる観点から、今後は他の部署でも技術課題を用意しても良いのかな?と個人的には思いますが、採用スピードが落ちるという課題は出てきますよね…。

杉田: 選考プロセスの多様性でいくと、最近トライアル入社も受け入れたりするようになりましたよね。

西村: 業務委託を経て正社員になる人は、世間的にもenechainの中にも増えてきていますね。人の個性のみならず、選考手法にしても多様性を重んじていきたいですね。人によって好みの関係性やペースはあるでしょうから。


最後になりましたが、enechainは、この1月にシリーズAラウンドでの資金調達を終えたばかりの創業「ド」初期のスタートアップ。
レガシーで巨大なエネルギー業界にある「エネルギーの価値そのものを取引したい」というど真ん中のペインに対して、「マーケットをつくる」というド直球なソリューションを提供することで、100兆円規模のビジネスとエネルギー産業の変革にチャレンジしています。
ドメイン知識をキャッチアップしながらお客様の課題やチームの課題に向き合っていきたい方、尖った技術力を活かしてエネルギー業界の変革に携わりたい仲間を、心からお待ちしています!


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