この記事は、弊社noteで公開した内容をWantedly向けに再掲載したものです。
Domuzがどのような考えで事業や組織づくりを進めているのかを知っていただける内容になっています。ご興味のある方はぜひご覧ください。
今回は社内で生成AIの活用を広げるミッションを受け、「AI大臣」に任命された社員の取り組みをご紹介します。
植物と花の会社であるDomuzが、どのようにAIと向き合い、社内へ浸透させていったのか。試行錯誤しながら進めたリアルな取り組みを、担当者本人の言葉でお届けします。
ある日のSlack
「この後時間ある?」
社長からSlackでメッセージが来たとき、なんの話かな、くらいに思っていました。
とりあえず「あります」と返して、約束の時間に話を聞きに行ったら——Domuzの社内AI活用を推進する役を任されていました。
Domuzには推進担当のことを「○○大臣」と呼ぶ慣例があって、僕もこの日からAI推進大臣、通称 AI大臣 と呼ばれています。本業はエンジニアです。副大臣が一人いて、2名のチームでやっています。
あれから1ヶ月、走ってみたら想定よりだいぶ速く現場が動いていたので、記録として書き残しておきます。
DomuzとAI
Domuzは、観葉植物のD2CブランドAND PLANTS 、花のD2Cブランド AND FLOWERと、花・植物資材のBtoB ECプラットフォームのハナイチを運営しています。「ITとデザインで、みどりのある暮らしをもっと身近に」というミッションで、花卉産業のDXを掲げている会社です。
そんなDomuzでも、生成AIの活用は「個人が触っている」程度で止まっていました。「AIが前提の業務フロー」 には、誰も踏み込めていなかったんです。
社長から頼まれたことは、以下の内容でした。
「DXを推進してきた自分たちが、この変化を一番最初に実感できていない状態はまずい。なるはやで全社に実装したい」
こうして、AI大臣が生まれました。
まず自分たちが使い倒す
最初にやったのはSlackの #claudecode チャンネルの立ち上げです。ここが社内のAI活用の情報交換と事例共有が集まる場所になっています。
それと並行して、大臣と副大臣の2人でとにかく触り倒しました。自分たちが使えていないのに人に広げるのは難しいので。最初の1週間で集中投下して、母の日キャンペーンのアプリとShopifyの商品登録を自動化するフローを作って社内に公開しました。驚いたのが、事業責任者が同時並行で、かなりの量の自分用ツールを作っていたことです。
- 朝「おはよう」と打つだけで、前日の売上・限界利益・月次着地見込みが出てくる仕組み
- 「今日のFBして」と打つと、カレンダー・Slack・議事録から動きを拾ってきて辛口でフィードバックしてくれる仕組み
社内AI推進が失速するパターンって「現場には大号令、経営層は使っていない」という構図だと思っていて。Domuzはそこが逆だったんですよね。
経営側がClaudeを一番濃く使い込んでいる状態からスタートできた のは、本当に大きかったです。
社内浸透のために
全社向けの講習会を月3回のペースで開くことにしました。
そして第1回は「AI大臣が教える場」として設計しました。何を教えるべきかを副大臣一緒に何度かの壁打ちをして、
- Claude Codeで何ができるのか
- 個人情報などの取り扱いルール
- デモする内容
- 使いこなすコツ
などを考え、30分にまとめました。
特に個人情報ルールなどは今後のみんなが活用していく上で、一番最初のベースになることからも時間をかけて整理しました。
第1回目の様子。AIアイアイと銘打って親しみやすく。
そして行なった第一回目。結果としては反省点だらけでした。準備していたデモが想定通りに動かない、詰め込みすぎて一方通行になる、質疑が駆け足になる。
それでも事後アンケートにこんなコメントがあって、救われました。
「Claude Codeに抵抗があったのですが、今日を皮切りに本格的に使い始めました」
きっかけを渡すことはできている。そう確信して、第2回から設計を変えました。
「大臣が教える会」をやめて、「各チームが自分たちの事例を持ち寄る会」にしたんです。
第2回目の事例共有会
CS・モール・マーケ・営業・植物・花、それぞれのチームから1人ずつ登壇して、自分の業務でやってみたBefore/Afterを話してもらう形式です。植物の管理の話と、花の発送拠点のシフト作成の話と、ECのデータ分析の話を発表してもらいました。
この形にした理由は、発表会の準備を口実に、チーム内で「最近Claude使ってる?」「何に使ってる?」という会話が 勝手に生まれる からです。大臣が一人で動き回るより、そっちのほうが圧倒的に広がりが速く、実際この回以降、#claudecodeチャンネルの投稿数が明らかに増えました。
当初の計画では、AIの活用を7月末までに達成できればいい、というペースで考えていました。
それが、4月末の時点でもうチーム単位で事例が出始めている。想定の半分以下の時間で、同じ景色に辿り着いていました。
1ヶ月で出た数字
全社の締め会で共有した数字がこれです。
月70時間以上の業務削減。
6チームのBefore/Afterを月単位に合算したものです。
- 植物:ハウスの温湿度データのダッシュボード化 → 確認できず放置 → 1〜2分で閲覧可に
- 花:母の日シフト・スケジュール作成 → 約2時間 → 約10分に
- 営業:外部MTG用Notionページの自動作成 → 1件10〜15分 → 約70秒に
- CS:メール・LINE対応の返信下書きを自動化 → 月約40時間削減
- マーケ:GA4データの毎朝自動収集 → 月約17時間削減
- モール:楽天レビュー返信を全自動化 → 月約6時間削減
各チームが実際に削減できた分だけを持ち寄った数字なので、社内全体ではもっと多くの活用が起きているはずです。
また、個人情報の入力ルールなども当たり前のこととして浸透しており、初回の取り組みの成果として出ていたのが嬉しい点です。
数字より気になっている変化
時間削減の数字は分かりやすいんですが、もっと手触りとして感じている変化があります。立ち上げ当初の相談は「Claude Codeって何?」「セットアップが分からない」でした。
1ヶ月経った今はこんな感じです。
- 「種苗法への対応にClaude Codeを使いたいので、招待してもらえますか?」(植物チーム)
- 「NotionのAPIキーでスプシからの自動更新をしたい。権限管理はどう考えるべき?」(モール担当)
「AIを使いたい」から「AIで業務を再設計したい」に、相談のレイヤーが1段上がってきた感じがします。
正直、想定よりだいぶ早かったです。
これからのこと
ここから進めたいことは、大きく2つあります。
① チームとして使う
ここまでの1ヶ月で起きたのは、ほぼ「個人が、それぞれの仕事をAIで楽にする」までです。
CSの返信下書き、楽天のレビュー返信、GA4の自動収集——どれも、各担当者が自分でやっていた仕事をAIに渡した、という構図でした。
次は、チーム単位で業務フローそのものをAI前提に組み直すところ に行きたいです。
CSなら、複数人で同じツールセットを使い、過去の対応履歴を共有し、テンプレートも一元管理する。個人の時短ではなく、チームの生産性そのものを底上げするレイヤーに進みたいと思っています。
② “事業を伸ばす”AI活用に踏み込む
そしてここからが、本題です。社長から、先日こう言われました。
「コスト削減は順調だから、次は事業を一気に伸ばすAI活用を考えてほしい」
メールの下書きやレビュー返信は、コスト削減の話。Domuzにとっての本丸は、花卉産業そのものをAIで変えるところ にあると思っています。
ただ、Domuzにとって何が一番効くかは、まだ手探りです。仕入れ・需要予測・生育管理・ハナイチのBtoB領域——AIで変えられそうなレイヤーはいくつもあります。
ここからの半年で、Domuzにとっての「事業を伸ばすAI活用」を、自分たちの形にしていきたいです。
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少しでも興味を持った方はカジュアル面談も可能ですので、お待ちしてます。