※2024年12月18日の社内報を公開しています
日曜日、富山に弾丸ツアーしてきました。
1週間前、ビリッチことアニメーターの宮坂さんから連絡があり、体調が悪く手術することになったと知らされました。宮坂さんは「100秒でわかる名作劇場」や、「はりきり体育ノ介」など、いろんな作品を一緒に作ってくれているクリエーターです。
3年半前くらいでしょうか、癌を患われてその状況をキャンサーパンサーというアニメにまとめて最近は予防医学の講演などもやられていたりしました。
癌ってのは一度かかると3ヶ月に一度検診しないといけなくて、その日はまるでロシアンルーレットのように恐ろしいもんだと言ってました。
最近、リンパが腫れてひかないのでもしやと思い、検査して手術することになったそう。
そんで、1週間前にそのことを伝えてくれたんですけど、いつになく落ち込んでいるように見えたので何かしてあげられないかなと考えてたら、タリーズ店長の高橋くんが、富山に行きましょうよと、言ってくれて、そいつは名案だねとなり、向かうことにしたのです。提案した高橋は忙しくてこれなかったんですけど。
宮坂さんの作風はなんというか、音楽に影響を強く受けていて、いろんな表現をヒップホップのサンプリングのようにコラージュしていくような感じとも言えます。僕もそんな表現が好きだから趣味も合い、仲良くさせてもらってます。音楽好き同士だし、ギターでも持ってってセッションでもするかいと、荷物抱えて初の北陸新幹線。
まずは、地元のうまい回転寿司を紹介してもらいました。寒ぶりとノドグロすごい美味かった。ハイファイな味で脳天にガツンときましたね。
そして宮坂さんの家へ。
ギターでも弾くかとはじまったのはお互いの最近の自作曲の聞かせ合い。
最初僕が歌ってその後、宮坂さんの歌の番。
「だきーしめてーぇーー!!!」
聞いて僕はびっくりしました。その気迫、声の大きさにびっくり。
体が熱くなるんです。笑。
本気で歌う宮坂さん、だきーしめてーぇーのあとは、なんちゃらベイベーとか入ってくる歌なんですけど、なんか恥ずかしいっていうより、元気になる。ドキドキする。
宮坂さんの言うベイベーの集団の中に僕も入ってる感じがする。語りかけてくれてる感じがする。
なんだこれは!いい曲だな!いい歌だな!
昔ライブハウスに行った時みたいじゃないか!
宮坂さんの歌にあって僕の歌にないものはなんだ?
宮坂さんの歌は状況を変えようとみんなに語りかける歌。
僕の歌は僕の心を正確に伝えようとしている歌。
ふと内省し、長年自分が悩んでいたことの答えがそこにあるように思いました。
それは、音楽に限らずなんか作ると言うことに関して、番組でもプロジェクトでも。
僕の作るものはいい意味でシンプル、悪い意味でなんか地味なんだよなと、ずーっとずーっと悩んでいたんですけど、この答えがここにある。
状況を切り裂き、受け手を鼓舞するクリエイティブ。これだ、この境地をもっと目指さないといけない。
クライアントの要望には応えている、表現のスタイルもしっかり作られている。でもそういうことを超えて状況を変えてやろうみたいな意気込みが大事なんだよなと。なんでそんな簡単なことに気が付かなかったんだろうと。
まあ、ここまで覚えることがたくさんあったし、むしろ技術を覚えてスタイルを確立しようと若手中堅時代を過ごしてきたので、仕方ない部分もあるけど、忘れちゃいかんなと思ったのです。
その後、東京で一度飲んだことのある富山のデザイン会社のどこからどう見てもヤンキーの吉本くんとその友達が合流し、宮坂家特製カレーを振る舞ってもらいました。
吉本くんは「石原さん中卒じゃないんですか!僕と同じ匂いするんで!」とか言ってくれる愛すべき無礼者で、「なんで石原さん来たんすか、宮坂さんに会えなくなるからですか?」というヤンキー独特の縁起でもないジョークで和みつつ、宮坂さんはおもろい人が周りにいるなと楽しい団欒。
宮坂さんの手術は水曜日。上手くいくことを祈っています。