こんにちは、企画開発・サポート部 取締役CTOの細川 泰生(ほそかわ たいき)です。
2019年4月に第2創業期を迎え、たくさんのお客様にご利用いただくアンケートサービスに成長した『CREATIVE SURVEY』。しかし、その道のりは決して平坦ではありませんでした。今日は、『CREATIVE SURVEY』の立ち上げから企画・開発に携わってきた私から、当社が現在に至るまでの山あり谷ありな物語についてお話ししたいと思います。
デザインを調査・評価するために、必要なのは?
私が親会社『株式会社フォーデジット』と出会ったのは、映像研究に取り組んでいた学生時代のこと。当初はアルバイトとして参加し、入社後にはフロントエンドエンジニアとして様々なサイト構築を担当していました。
そんな私がデザイン・開発業務にひたむきに取り組んでいた2010年。1つの新規プロジェクト企画から『CREATIVE SURVEY』は始まりました。
このとき、クリエイティブサーベイ前代表の田口が中心になって企画を考えたのが「デザインを調査・評価するツール」でした。現在の『CREATIVE SURVEY』は、インサイト収集や満足度調査などの幅広い用途にご利用いただいていますが、実はもともと「アンケートツールが生まれた」のは結果であって、目的ではなかったのです。
この企画が提出された背景には、デザインの評価基準が言語化の難しい感性や経験値に頼られている状況への懸念がありました。意思決定の現場で、感性で判断されがちな「デザインの良し悪し」を裏付けるデータの不足を感じていたのです。また、この「感覚頼り」が原因でデザインのノウハウが正しく継承されず、若手が育ちにくいのも悩みでした。
ユーザー側の意見を正確に抽出できれば、デザイン会社とクライアントの意思決定の精度を高められるのでは?評価ポイントを可視化することで、若手デザイナーのデザイン理解も深まるのでは?ただ、ユーザーも「このデザインをどう思いますか」と漠然と聞かれても答えられない。それを解決するにはどんな調査項目・評価軸が必要になる?デザインの良し悪しを正当に評価するためには、どんな情報が必要なのか?
私たちは検討に検討を重ね、そこから現在のサービスにも継承されている、独自機能の原型が次々と考案されていきました。
例えば、「エリアマッピング」機能は、回答画面に表示された画像の気になる箇所を選択して、コメントを残すことができます。さらに、ユーザーの定性データが蓄積され、良い部分を赤色に、悪い部分を青色に、ヒートマップで分かりやすく可視化されるようにしました。その他にも、好きな箇所を自由に選択できる「クリッツポイント」や複数の画像を比較・評価する「スライドバー判別」などもあります。
この部分は注目される、ここは見ている人が少ないといった情報を蓄積し、「ユーザーがデザインを判断する基準」をデータ化する。そこで初めて、曖昧な予測からの意思決定がなくなると考え、デザインの調査が可能な機能を発案・実装していったのです。
立ちはだかる困難を乗り越え、アンケートツールのサービス開始!
外部の企業と協業しながらツールの開発に取り組み、やがて完成した『CREATIVE SURVEY』のα版。しかし、ここからが大変でした……。
自信を持って販売したのですが、購入していただけたのはパッケージデザインを手がける企業様など、決して多くはありませんでした。デザイン業界以外のお客様には、活用するイメージを具体的に描いてもらうのが難しかったのです。
独立したビジネスとして軌道に乗せることは、このままでは厳しいーーそう感じた私たちが次に目標にしたのが「とにかくたくさんのユーザーに使ってもらう」こと。ユーザーの対象を「toB仕様」から「toC仕様」に変更したのです。となると、もちろん大幅に機能も作り直さないといけない。
さらに、気持ち新たに動き出そうとした矢先、サーバーサイド協業企業と一緒に続けていくのが難しい状況になってしまって。一度は諦めかけたのですが、受託制作とは別ラインとして立ち上がった新規プロジェクトが頓挫してしまうと、あとに続く若手が前向きに挑戦できなくなってしまう。それだけは避けたい、と使命感を胸に事業の続行を決断しました。
とはいえ、「誰が開発を担当するの?」という話になりますよね。当時、社内の人間にお願いすることも考えましたが、既に担っている仕事との両立はやっぱり難しい。そこで、サーバーサイドの開発を全て私が引き継ぐことにしたんです。当時の私が担当していた業務の大半はフロントエンド側。サーバーサイドの開発経験や専門知識が足りないのではという不安もありましたが、とにかくやると決めたのだから、諦めるわけにはいかない。当時を振り返ると、技術的にも精神的にも大変な時期だったことを覚えています。
独学で勉強しながらシステム開発に取り組み、2013年7月にはベータ版をなんとか形にしました。さぁ、いよいよサービス開始だ!と勢いづいていたのですが、ここで立ちはだかったのが「決済システム」です。
たくさんの人たちに利用してもらうためにも、クレジットカードで決済できる仕組みは絶対に導入しないといけない。でも、国内のサービス提供会社のほとんどは、審査に2ヵ月以上もかかる見込みで、導入後の運用面にも不安がありました。そこで、目を付けたのが、オンライン決済処理システムを提供するアメリカの企業『Stripe』です。アメリカの銀行口座があれば、すぐにでもサービスを利用できることが分かり、前代表の田口が急いで渡米。現地に会社をつくり、法人アカウントで銀行口座を開設して、無事にクレジットカードの決済システムを搭載できました。今思うと無茶苦茶な機動力ですよね(笑)。
そして、ついに、2013年11月1日、アンケートツール『CREATIVE SURVEY』のサービス提供が本格的に始動したのです。
独自のポジションを確立し、エンタープライズ版を発売
新たに生まれ変わった『CREATIVE SURVEY』は、「ユーザーヒアリングシステム」として幅広いお客様にご利用いただくことを想定しました。デザインの調査・評価ツールの時に開発した機能の他にも、テキスト選択やフリーアンサーといった通常の質問タイプも追加。また、自由度高く、美しいアンケート画面を作れるデザイン機能も実装。適した形、適したタイミングでアンケートを提示し、ユーザーから質の高い意見を集めることを可能にしました。
でも、ユーザーの数は増えたのですが、なかなか収益化に結びつけることができなかったんです。問題点を回収しては改善を繰り返す状況に疲弊も感じていたなか、ここからは収益をベースに乗せるべきだと考えました。
そこで、ビジネスモデルを「法人向けのアンケートサービス」中心にチェンジ。2015年には、機能を大幅に拡張した「エンタープライズ版」を発売しました。さらに、価格テーブルを見直し、営業活動も本格化。大手企業のソリューションツールとしてもご活用いただけるようになり、ここから『CREATIVE SURVEY』が一気に成長していきます。
時代の追い風を受け、次の飛躍を目指す
2014年に親会社から分社化して創業したクリエイティブサーベイ株式会社は、エンタープライズ版リリースを経て、2017年3月には単月黒字化に成功。2018年には通年で黒字化を達成しました。また、「Webフォントデザインアワード 2013」で当社のアンケートツールが準グランプリを受賞、「2017 Red Herring Top 100 Global」ではアジアの将来有望企業TOP100にも選出されました。
世の中に『CREATIVE SURVEY』が認知され始めたタイミングで、2019年4月にはSansanからの資金調達が決定。同時にIT業界でのtoBセールスとマネジメント経験を豊富に持つ菊地氏を代表取締役に迎え、エンタープライズ版の最適化と機能拡張のために、さらなる拡大を目指している真っ最中です。
現在、当社は大きな成長フェーズに突入しています。そのなかで感じているのは、時代の流れに乗っている確かな手応えです。現在、商品やサービスが売れるためには、価格やスペックだけでなく、コト消費や顧客体験といった「素晴らしい体験」を提供することが重要になっています。CEMやカスタマーサクセスといったキーワードに注目が集まっているのも、その流れの1つと言えます。「顧客とのコミュニケーション/関係性構築」が事業成長のキーワードになってきている今、顧客エンゲージメントを高める当社のアンケートシステムが真価を発揮する場面の増加は、昨対比170%見込という大幅な売上増にも現れているのではないかと思います。
苦難を乗り越えて、第2創業期を迎えた当社。各種Sales Techツールとの連携、さらなる機能の整備や問題点の改善を1つひとつ乗り越えた先には、時代の風を受けた大きな成長が待ち受けていることでしょう。私たちの本当の躍進は、ここから始まります。
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