防波堤に座りながら、竿先を見つめる。風の音と、波の揺れ。
鳥取県境港市出身、23歳。
フェリーくにがの若手航海士として働く、斎賀大地さん。
海と家族に囲まれて島と山陰の自然で育った彼は、今、船を動かす仕事に夢中だ。
<プロフィール>
斎賀 大地(さいか だいち)
出身:鳥取県境港市
社歴:2023年4月入社
所属:フェリーくにが 甲板部
趣味:釣り、ゲーム(バトルロワイヤル、ソシャゲ全般)
海の延長線上にあった、今の仕事
海に関わる仕事がしたい。
その思いから進んだのは、四国にある2年制の海上技術短期大学校。
在学中には、航海士と機関士の海技免状の4級の資格を取得した。
卒業後は、そのまま隠岐汽船へ。
気づけば、今春で4年目を迎えている。
「ダイナミックな仕事のほうが、自分には合っていた」
甲板部を選んだ理由は、意外とシンプルだ。
「エンジン(機関部)はちょっと苦手だなって(笑)。製図を見るのが難しくて」
そう笑いながら話す斎賀さん。
その一方で、甲板部の仕事には、直感的な魅力を感じていたという。
「細かい作業よりも、体を動かして船に関わっている方が実感が湧くというか。自分には甲板部のほうが合ってるなと思いました」
少数精鋭で、大きな船を動かすという実感
フェリーの運航は、決して多くの人で成り立っているわけではない。
限られた人数の中で、一人ひとりが役割を担いながら、船を動かしていく。
「人が少ない分、自分にしかできない仕事もあります。それが、けっこう面白いんですよね。ちゃんと自分がこの船の一部になっている感じがして」
少数精鋭で、大きな船を動かす。
そのスケールと責任が、この仕事の魅力でもある。
「あの先輩みたいに」──自然に生まれた目標
特別なきっかけがあったわけではない。
それでも、日々の中で、少しずつ“なりたい姿”は見えてきた。
「今の先輩たちがすごく頼もしくて。自分も、後輩が入ってきたときに頼ってもらえる存在になりたいと思っています」
強く語るわけではない。でもその言葉には、確かな実感がある。
仕事の外でも、やっぱり海がある
休日、彼はまた海へ向かう。
釣りが好きだ。防波堤から、のんびりと竿を垂らす。
秋にはエギングでイカを狙う。
500gほどのサイズが釣れることもあるという。
「いつかは、もっと大きいのを釣りたいですね。あとはブリとかヒラマサみたいな青物も。とにかくでかい魚を釣ってみたいです」
隠岐での釣りは、仕事とはまた違う時間をくれる。
家族もまた、同じ海の上にいる
父はフェリーしらしまの甲板長。
兄は島前地域にある西ノ島営業所の事務員。
いとこもフェリーおきの機関部として働いている。
家族で同じ会社にいるが、不思議と特別な感覚はないという。
「乗る船も違いますし、役割もそれぞれなので。そこまで意識することはないですね」
ただ、休みが合えば、家族でもまた一緒に海へ行く。
兄の友人たちと一緒にログハウスに泊まり、釣りをして、キャンプをして、BBQをする。
仕事とプライベート。
場所は違っても、そのどちらにも“海”がある。
海が好きで、家族と過ごす時間が好きで、気づけばこの仕事をしていた。
一つひとつは、特別なことではない。
けれど、それが積み重なった先に、今の姿がある。
23歳。若手航海士。
彼は今日も、船の上で、自分の役割を果たしている。