updraftでは、2021年4月より細田学園高校サッカー部に向けてキャリア・チームビルディングトレーニングを提供しています。今回、監督就任5年後にチームを初の埼玉県ベスト8に導いた細田学園高校サッカー部上田監督に、チームを指導される上で大切にされていること、updraftのトレーニング導入後の選手たちの変化、今後目指されていることについて、担当トレーナーの鶴巻が話を伺いました。
updraft キャリアトレーニングについて
アスリートキャリアトレーニング事業「updraft」において、早期に自主自律型人材を育成することを目指し、小学生〜大学生年代向けにキャリアトレーニングを実施。同校サッカー部では、部活動を通じて、選手自身が自分で自分のことを深く理解し社会で活躍する人財になってほしい、そして、「結果を出す」という過程を通じて、自分自身の強み・弱み・特性を理解し、自分自身で意思決定できる人生を歩んでほしいという願いをこめて、キャリアトレーニング・チームビルディングトレーニングを実施しています。
※1:行動変革を促進し、人と組織の力を引き出すことを目的に開発された心理アセスメント。スポーツ庁委託事業「アスリートキャリアコーディネーター育成プログラム」に採用された。updraft(TOiRO)と事業提携し、キャリアトレーニングツールとして今注目を集めている。(画像:ビノベーションレポート受検結果例)
Profile
細田学園高等学校 サッカー部 監督
上田 健爾 (写真右)
千葉県松戸市出身。現役時代は市立船橋高校で高円宮杯全日本ユース優勝、全国選手権に出場。その後、京都教育大学に進学、在学時代から地元のジュニアユースの指導者として選手育成に携わる。大学卒業後は京都橘高校の非常勤講師として、7年間サッカー部を指導。2015年に細田学園高校サッカー部の監督に着任。2016年にサッカー部が強化部に指定され、4年後の2020年に初の埼玉県ベスト8を達成。サッカーを通じて選手が育つ、強く愛されるチームづくりを行っている。
TOiRO株式会社 取締役
スポーツキャリアトレーニング事業「updraft」事業責任者
鶴巻 翔平 (写真左)
大学時に埼玉県選抜としてフットサル選抜大会で全国制覇。人材教育コンサルティング会社に入社し、若年層教育に従事。その後、スポーツ人材に特化した大手人材会社に入社。採用戦略、社員研修を0から設計・実施。IPOに向けた採用プロジェクトを牽引。現在は、組織開発コンサルタントとして複数社の人事企画を手掛ける。また育成年代に特化したアスリートキャリアデザイン事業を展開している。キャリア支援実績は5,000名に上る。
プロになれるのはほんの一握り。サッカー以外の道に進んでも、活躍できる選手を育てる
本日はお忙しい中、お時間をいただきありがとうございます!これまで、約17年間育成年代の指導に携わってこられたかと思うのですが、選手の指導をされる上で大切にされていることを教えていただけますでしょうか。
上田監督:選手たちにはどのキャリアに進んでも、プロとして活躍してほしいと考えています。まずはサッカーのトップクラスになって欲しいですが、プロになれるのは一握りで、現役生活は長くありません。
多くの選手が将来、プロサッカー選手以外の道を歩んでいくうえで、今、サッカーで向き合う壁を乗り越えようと試行錯誤することは将来に繋がっていきます。選手たちにはサッカーで培ってきたものをあらゆる場所で活かしていって欲しいですし、私自身が彼らの将来に通ずる教育をしていかなければいけないと考え、日々指導しています。
そういった指導に対する考えが生まれたのは、どういった背景があったのでしょうか。
上田監督:自分自身が現役時代に市立船橋高校で壁を乗り越えた経験や人生の中で、多くの素晴らしい指導者に恵まれたことが原点になっています。市立船橋での3年間は一筋縄でいかず、とても苦労しました。そういった環境でその壁を乗り越えようと努力してきたことが成長に繋がり全国優勝に繋がりました。当時、目の前の壁にひたむきに向き合い、培ってきたことが今の選手への指導にも活きています。
今、細田の選手たちには些細なことから大きなことまで、色々な問題や壁があります。逃げられる環境ではあるけれど、逃げる選択をしても壁はまた出てくるので、「問題や壁に対して、努力するマインド」を選手たちの頭の片隅に残したい、できれば習慣化させてあげたいです。
監督就任後、5年かけて行ってきたチームのマインドづくりが初の埼玉県ベスト8進出に繋がった
2015年に細田学園高校サッカー部監督に就任されてから、どのようなことに取り組まれてきたのでしょうか。
上田監督:チームを立ち上げるために最初にやったことがマインドづくりでした。指導、技術、精神面は目に見えているもので、その根っこの部分である「考える癖・マインド」は別のもので非常に重要だと考えています。チームのマインドが固まっていなかったら、その上に建っている建物は崩れてしまいます。
目標を掲げて、そこにしがみついて努力できるチームをつくるには、当時部員は20人でしたが、土台を固めなければサッカーの質は上がらない、結果は出ないと考え、チームの理念・行動規範を言語化した「HOSODA FCマインドセット」の作成を始め、チームとしての土台をつくってきました。
上田監督:また、選手集めではこちらから足を運び、中学年代の選手に声をかけ、強化指定部になった次年度には20名ほど入部してくれました。選手やスタッフの頑張りのおかげで、就任後5年目に初の県ベスト8、その後2年連続でベスト8に入ることができました。
チームの土台づくりの次は、もっと個人に目を向けていきたい
就任後順調に結果を残されてきたように思うのですが、updraftのキャリアトレーニングを依頼されたのには、どのような背景があったのでしょうか。
上田監督:これまで、チームとしての枠作りを確固たるものにしようと、チームとしての約束事など、土台づくりを5年かけて行ってきました。その次に、選手を育ていくフェーズでは、もっと個人に目を向けていきたい、そのためにどうしようかと考えていました。ちょうどそのタイミングでお世話になっている埼玉のJr.ユースサッカー クラブ与野の中森監督にupdraftの話を聞きました。
鶴巻さんや鈴木さんから直接話を聞く機会を設けてもらい、updraftの他チームでのトレーニング事例・事業の目的を聞く中で、特にビノベーション®︎レポートは指導者としても学びが大きく、スタッフの教育にも活用できるな、と思いました。選手たちの当事者意識を醸成すると言う考え方に自分の指導に通ずるものを感じました。
updraftのトレーニングが課題に向き合うきっかけを与えた。日常の言葉や行動が少しずつ変化
トレーニングがスタートして3ヶ月が経ちましたが、チームに変化はありましたか?
上田監督:少しずつ、変化してきているように思います。2回目の「目的・目標・視座」のトレーニングの後に、2年生チームが主体的に行動する場面が増え、3回目のチームビルディングトレーニングの後は意識的にコーチング(声かけ)をするメンバーが増え、トップチームの練習への向き合い方の変化を感じました。
本当の意味で力になっているかどうかは、これからの取り組みで少しずつ見えてくると思いますが、全体のコミュニケーションは増えていて、updraftのトレーニングは選手たちに気づきを与えるきっかけとして大きな役割を果たしてくれていると感じます。
具体的に、「選手たちのここが変化した」というポイントはありますか。
上田監督:普段の言葉や行動が少しずつ変化していることを感じています。例えば、トレーニング前は選手たちのコミュニケーションが自分ではなく、人にベクトルが向かっている様子も見受けられましたが、当事者意識のセッションで気づきがあったのか、普段の言葉が他責から自責へと少しずつ変わっているように思います。
また、主力選手のトレーニングの意気込みや引っ張っていくリーダーシップが変化してきたのは目に見えて分かりますね。
監督としての指導方針として、教育面はそのときの課題に向き合い、サッカー面は大枠を描いて優先順位をつけてトレーニングを行いながら、リーグ戦で出たその時の課題に対して取り組んでいます。そんな中、チームで指導のテーマとして掲げていることと、updraftのテーマがリンクしていることもよかったですね。updraftのトレーニングが課題に向き合うきっかけを選手たちへ与えてくれています。
教育に目を向けている全てのチームにおすすめしたい
updraftのトレーニングはどのようなチームにおすすめでしょうか。
上田監督:選手たちの教育に目を向けている全てのチームにおすすめです。これはお世辞ではなく、全てのベースとなる意識やマインドに影響を与えられるトレーニングだからです。スキルやノウハウといったその他の教育はこの上に乗るものだと思います。
高校・大学は社会に直結する場所なのでその価値が分かりやすいですが、小さい年代からも必要ですし、大人にも必要だと思います。気づきや行動の変化といった少しずつの積み重ねが本人の中に残っていくはずだと考えています。
最後に上田監督が目指していること、そして今後updraftに期待することについて聞かせてください。
上田監督:サッカーを使って、どの分野でもリーダー性をもったアスリートを育てていきたいです。直近だと、10月中旬から始まる選手権で全国大会に出ること、2部リーグで優勝して1部に昇格することを目指しています。
選手だけではなくスタッフのレベルアップのためにも、チームにもっと深く踏み込んできてほしい
上田監督:今後、updraftに期待することとしてはもっと深くきてほしいですし、一緒になってやっていきたいと思っています。今の取り組みもスタッフからはいいよねという声は上がっているのですが、ビノベーション®︎レポートもそうですし、このトレーニングをもっと生かすためにどうやっていこうかという話になっています。
選手たちにはトレーニングやビノベーション®︎レポートで得た気づきをもっと活用してほしいですし、私含めスタッフ、大人たちがもっとレベルアップしていきたいと思っています。例えば、選手たちを注意深く見る目を養っていくために、どういう切り口・観点があるのかはupdraftのキャリアトレーニングで学べることだと考えています。
そのため、今後もっと、細田学園高校サッカー部というチームに深く踏み込んできてもらいたいですし、チーム全体をよくするために一緒にやっていけたら嬉しいです。
選手そして、スタッフの皆様のために、もっと踏み込んで皆さんと一緒に取り組んでいきます!本日は貴重なお話を聞かせていただきありがとうございました!
こちらのインタビュー記事は2021年9月2日時点の情報です。