初めてGEKIの公式サイトで 「文化は誰かの生きる理由になる」という言葉に触れたとき、 その響きが、なぜか心に残りました。
印象的で、どこか力のある言葉だと感じたのです。
同時に、それが自分にとって
どんな意味を持つ言葉なのか。
私は、ふと立ち止まって考え始めました。
日本でデザイナーとして働いている、ロシア出身のユリアです。
Yulia Manuilova / Designer
ロシア出身。日本でデザインのキャリアをスタート。 思想や文化、人の感覚や文脈を
観察しながら、 デザインを通して新しい視点や体験を探り続けている。
大学では日本語や日本の歴史、文化を学んでいました。 けれど、日本で暮らすことや、 異なる文化の中で生きていくことを、 当時の私は、全然想像していませんでした。
気がつけば、 この国で過ごした時間は、自分でも驚くほど長くなり、 今年の10月で、日本に来て8年目を迎えます。 人生って、本当に何が起こるかわからないものですね。
最初は「きっと大丈夫」と思っていました。 でも、実際に異文化の中で生活が始まると、 当たり前だった世界が、急に変わりました。
仕事はもちろん、 病院に行くことさえ、思っていた以上に緊張するものでした。 言葉も、考え方も、習慣も違う。 自分にとって普通だったことが、ここではそうじゃない。 何でもないと思っていた反応が、ここでは驚かれることもありました。
今まで慣れてきた世界とはまったく違う場所で、 私は生きていました。
日本の文化はとても独特で、 その中で生きることは、決して簡単ではありませんでした。 戸惑うことも納得しきれないことも多かったけれど、時間が経つにつれてこの国に慣れ、 いつの間にか、その魅力や深さに気づき、それを大切に思うようになりました。
そして同時に、自分自身の内側にも、 静かに変化が生まれていたのだと思います。
最初は、 周りに合わせようとして、自分の言葉や反応を抑えてしまう瞬間もあって、 自分を少しずつ失っているように感じていました。
でも今振り返ると、 それは自分を失っていたのではなく、 違いを受け入れながら、 自分の輪郭や感覚が少しずつ広がっていく時間だったのだと思います。
同じ出来事でも、人によってこれまで想像もしなかったような受け取り方や反応があること。言葉にしなくても伝わる配慮や、場の空気を読むという感覚、相手との距離感を大切にする姿勢など。
新しい考え方に触れるたびに、
世界の見え方も少しずつ変わっていきました。
文化を通して世界が広がっていく感覚を知った今、 初めてGEKIのサイトで出会ったあの言葉も、 少しずつ自分の経験と重なって見える気がしています。
あの言葉に出会えたことが、 自分自身の変化に気づくきっかけだったのかもしれません。
日本の文化は、私自身の限界を知り、
それを越えていくきっかけになりました。
ありがとう、と心から。