地域在宅医療の最前線を走り続けた伊藤理事⾧を、新卒社員が徹底解剖!
医療法人AGRIEが歩み始めてから、今年で11年目。
心臓外科医として病院医療の最前線に立ってきた伊藤先生は、なぜ在宅医療と老人ホーム事業に挑むことを決意したのでしょうか。そして、AGRIEが大切にしている「彩りのある医療」とは、いったいどのようなものなのでしょうか。
今回は、26卒総合職として入社したばかりの僕、ゼフが、新卒1年目ならではのまっすぐな目線で、伊藤理事⾧にお話を伺いました。創業の想い、在宅医療への挑戦、患者様とご家族へのまなざし、そしてこれからのAGRIEが目指す未来。11年分の想いと、これから広がっていく彩りをお届けします。
目次
「心臓外科医だった伊藤先生は、なぜ在宅医療を始めたのだろう。」
今回の特別インタビューで伊藤理事⾧の前に座ったとき、僕の中にまず浮かんだのは、この素朴な疑問でした。病院で命を救う心臓外科医。地域で暮らしを支える在宅医療。どちらも医療であることに変わりはありませんが、最初は少し違う世界のようにも思えました。
病院で救った命のその先へ
伊藤理事⾧は、新潟県糸魚川市出身。筑波大学医学専門学群を卒業後、筑波大学附属病院で初期研修を受け、心臓外科医としてのキャリアを歩み始めました。心臓外科医として手術を行い、患者様の命を救う。その仕事は、医療の中でも非常に専門性が高く、大きな責任を伴う仕事です。しかし、医師として経験を重ねる中で、伊藤理事⾧の中には一つの違和感が生まれていきました。手術を終えた患者様が、以前のようにゆっくり入院して回復を待つことが難しくなっていく。診療報酬改定のたびに入院期間は短くなり、患者様は早く退院しなければならない。病院で命を救った後、その人の暮らしはどこで、誰が、どのように支えるのか。
「ホスピタルなのに、ホスピタリティがない。そこに非常に大きな課題を感じました」
この言葉を聞いたとき、僕はかなりハッとしました。病院で治療が終わったら、それで医療が終わるわけではない。むしろ、そこから患者様の生活は続いていきます。
AGRIEの始まりは、病院で救った命の“その後”に、もう一度きちんと向き合おうとした挑戦だったのです。
「いつでも、どこでも、誰にでも、彩りのある医療をあなたのもとへ。」
この「彩り」という言葉には、伊藤理事⾧の人生観そのものが込められています。人は誰一人として、同じ人生を歩んでいません。大切にしているものも、家族との関係も、最期に望む過ごし方も、一人ひとり違います。伊藤理事⾧の実家では、錦鯉を生産しているそうです。錦鯉の模様が一匹一匹違うように、人の人生にも同じものはありません。
だからこそ医療も、一人ひとりの人生に合わせて届ける必要がある。この話を聞いたとき、「彩り」という言葉が、ただきれいな言葉ではないことが分かりました。それは、患者様の人生の柄をちゃんと見る、ということなのだと思います。病院では、標準的な治療や在院日数の中で、どうしても選択肢が限られることがあります。けれど在宅医療には、その人らしい選択を支える可能性があります。どこで過ごしたいのか。誰といたいのか。何を最後まで大切にしたいのか。そこに寄り添うことが、AGRIEの考える「彩りのある医療」なのです。
在宅医療という言葉には、どうしても「看取り」や「終末期」というイメージが重なります。正直に言うと、僕自身も最初は少し重い印象を持っていました。しかし、伊藤理事⾧は、在宅医療には悲しみだけではなく、明るさもあると話します。、最後に家族と食事ができた。住み慣れた場所で過ごせた。「ありがとう」を伝えられた。そうした時間が、残されたご家族の心に温かく残ります。「ただ悲しいだけではなく、本当に人生を彩ることができる」この言葉を聞いて、僕の中で在宅医療の見え方が変わりました。在宅医療は、命の終わりをただ見守る医療ではありません。人生の最後まで、その人らしい時間を支える医療なのです。
世界一の医療インフラを作る
AGRIEが掲げる大きな目標の一つに、「世界一の医療インフラをつくる」という構想があります。正直に言うと、最初にこの言葉を聞いたとき、僕は少し驚きました。「世界一」という言葉は、とても大きい。けれど伊藤理事⾧の話を聞いていくと、それは決して遠い夢物語ではなく、目の前の地域医療の課題からまっすぐにつながっている目標なのだと分かってきました。
日本はすでに、65歳以上の人口割合が非常に高い超高齢社会を迎えています。伊藤理事⾧の故郷である新潟県糸魚川市では、高齢化率が40%を超えているそうです。病院に⾧く入院することが難しくなっている今、退院後に再入院を繰り返すのではなく、住み慣れた自宅や施設で、安心して最後まで暮らせる環境をどう整えるか。
それは、これからの日本にとって避けて通れない大きな課題です。
そこでAGRIEが取り組んでいるのが、訪問診療や訪問看護に加えて、遠隔医療やデジタル技術を組み合わせた新しい医療の形です。すでにAGRIEでは、在宅医療の現場に遠隔医療を取り入れ、自宅にいながら入院に近い治療やモニタリングを行う取り組みも進めています。さらに、自社で遠隔医療アプリや電子カルテ、AIを活用した電子カルテの開発にも取り組んでいます。
在宅医療と聞くと、どうしても「家に医師や看護師が来てくれる医療」というイメージが強いかもしれません。でも、伊藤理事⾧が見ている未来は、それだけではありません。人が訪問する温かさと、デジタル技術の力。その両方を組み合わせることで、病院だけに頼らない、新しい医療インフラをつくっていく。話を聞けば聞くほど、AGRIEの挑戦は「地域の患者様を支えること」から始まりながら、その先に、日本全体、そして世界の医療の未来まで見据えているのだと感じました。
目の前の一人から、世界へ広がる彩り。
インタビューの最後に、僕は伊藤理事⾧に聞いてみました。
AGRIEがずっと掲げている「彩りのある医療」とは、結局どのような医療なのか。伊藤理事⾧は、少し考えてから、こう話してくれました。
「同じ人間は一人としていません。患者さん一人ひとりが、全く別々の人生を歩んできています」
この言葉を聞いて、僕は今回のインタビュー全体が、すっと一本につながったような気がしました。心臓外科医として病院で命を救ってきたこと。退院後の患者様の暮らしに課題を感じたこと。在宅医療と老人ホーム事業を立ち上げたこと。そして今、遠隔医療やAI、海外展開まで見据えながら、新しい医療インフラをつくろうとしていること。すべての出発点にあるのは、目の前の一人をどう支えるか、という問いなのだと思います。伊藤理事⾧の実家では、錦鯉を生産しているそうです。一匹一匹の柄が違う錦鯉のように、人の人生にも同じものはありません。どこで過ごしたいのか。誰といたいのか。最後に何を大切にしたいのか。その答えは、患者様の数だけあります。だからこそAGRIEの医療は、ただ同じ形のサービスを届けるのではなく、一人ひとりの人生に合わせて形を変えていく必要があります。
僕は、今回の取材を通して気づきました。
「彩りのある医療」とは、特別なことを派手にする医療ではありません。その人の人生をきちんと見て、その人らしい時間を最後まで支えようとする医療なのだと思います。創刊号の最初に伊藤理事⾧の話を聞けたことは、僕にとっても大きな意味がありました。AGRIEが歩んできた10年は、在宅医療の可能性を信じ、地域の中で一人ひとりの人生に向き合ってきた時間でした。そして、これからのAGRIEは、その想いをさらに広げていこうとしています。地域へ。社会へ。世界へ。でも、どれだけ大きな未来を描いても、始まりはいつも目の前の一人です。患者様を彩る人たちを、まず私たち自身が彩ること。現場で働く人たちの想いや工夫に光を当てること。そして、在宅医療の明るさと可能性を、もっと多くの人に届けること。「彩り新聞」は、そのために始まります。10年分の想いを受け取りながら、これからのAGRIEにどんな彩りが広がっていくのか。僕自身も、その未来を楽しみにしながら、これから現場の声を届けていきたいと思います。