エンジニア向けの人材紹介会社、特に最近ではフリーランス・副業の案件紹介会社というのが非常に増えてきていると思います。日本は人材派遣の会社が非常に多い国で、古くは小泉政権時の非正規雇用に対する規制緩和などを背景に、最近の働き方改革などの流れもあって、人材ビジネスは右肩上がりの活況を呈しているようです（厚生労働省による統計・P25参照）。

しかし、エンジニア専門の人材紹介サイトをいくつか比較してみても、どこも似たりよったりで、いまいち差別化ができていない印象があります。

例えばFindyという転職サイトに「スキル偏差値」機能というのがあり、GitHub連携で「スキルを偏差値化」「年収予測」できるのを売りにしているのですが、GitHubの情報でスキルや年収を精度高く数値化できるはずがないのはエンジニアなら容易に想像できることで、子供だましに過ぎないものを前面に打ち出しているのはどうかと思ってしまいます。（当初は「AIを使って」という触れ込みでしたが、現在では「アルゴリズム」ということになっているようです）。

また、レバテックなどの案件紹介会社のWeb広告で、「Java 〜80万円」「Flutter 〜90万円」と金額でアピールしているものをよく見るのですが、上限金額を示しているだけでは実際いくらで契約できるか分からないですし、その案件は今も実際に存在するのか（不動産で言うおとり物件ではないのか）、マージンをどれくらい取られるのかなどが分からない以上、何も言っていないのと同じで、不誠実だと感じます。

採用側、応募側の両方の立場でそうした紹介会社を利用したことがあるのですが、選ぶ際に確認したいと思うポイントは、

• マージンをどのように、どれくらい取っているのか
• 紹介会社を間に通すことで得られるサービスやメリットは何か

なのですが、これらをWeb上で明確に説明できている会社を見たことがない気がします。

転職エージェントでは、多くの場合、入社が確定した時点で20〜40％程度の成功報酬が企業から紹介会社に支払われます。これは、例えば年収500万円の人なら紹介会社に100〜200万円を支払っているということになるわけで、僕も会社員時代に転職エージェントを利用したことがあってその節はお世話になったのですが、実際に受けたサービスの対価としては高額すぎると感じました。

案件紹介やSES等の場合は、エージェント会社が間に入ることで、エンジニアが下請け会社のような立場になることがあり、状況はもっと悪いです。というのも、企業が実際にいくら支払っているのか、エージェント会社がそこからいくら抜いているのかが基本的に不透明で、エージェント会社が不当に利益を得たり、エンジニアが弱い立場になりがちだからです。見聞きする限りエージェント会社の取り分は月額報酬の20%〜40%だったりするようで、かなり高額です。もちろん事務手続きや労働条件の交渉をエージェント会社がある程度代行してくれるのですが、定常的に発生する業務ではないですし、果たして月の報酬の2~4割を支払う価値があるのかどうか、はなはだ疑問です。

にもかかわらず、次々と人材紹介会社が生まれているのはなぜなのかというと、1つは人材紹介業を始めるのに大きな初期投資が必要なく、専門性がなくてもなんとかなってしまうからなのだと思います。React Nativeでのアプリ開発が出来ると書いているだけでUnityの案件を紹介されることもあるぐらいで、雰囲気で右から左に流してるだけと感じざるを得ないことも多いです。ソフトウェア開発についての理解があるエージェントは貴重だと思います。

もう1つは、給料から天引きされる税金と同じで、マージンの存在を認識しづらい構造になっていることで、そのために高額なマージンが許されているということです。先程の例だと、1人採用するのに仮に150万のコストがかかるのだとすれば、企業の提示年収も数十万下げざるを得なくなっているはずで、そのコストは実質的にエンジニアの側も負担しているはずです。これが例えば就職が決まったら75万円を銀行振込で支払うようになっていれば、「75万円を支払うだけの価値はあっただろうか」と考える機会が生まれて納得できないと感じることも多いはずです。

僕は、これこそ情報の非対称性による格差で、技術の力でもっと低コスト・非中央集権的にマッチングさせることができるのではないか、技術で解決すべき社会課題なのではと思っているのですが、近年の状況は相変わらずな気がしてならず、人材紹介サービスをなるべく使わずに採用活動をするポリシーでやっていこうと思っている次第です。ただしWantedlyさんだけは料金体系やポリシーに納得しているので、例外的に利用させていただいています！

長くなりましたが、上記のようにOisu LLCはエンジニアファーストを心がけている会社です。直接お声をかけてくれるエンジニアをお待ちしています！！