15th Rockの投資先であるSun*(サンアスタリスク)のCOOとして同社の成長を支え、現在は15th Rockにパートナーとして参画している梅田琢也。
トレーダーからスタートアップの経営、そして今度は投資の側へ。なぜ彼は今、15th Rockという場所を次の舞台に選んだのか。
15th Rockの投資先という「外の視点」と、パートナーという「中の視点」。その両方を併せ持つ梅田氏に、これまでの歩みと15th Rockで働く醍醐味について伺いました。
─── これまでのキャリアの全体像を教えてください。
大阪で生まれ、10代をマレーシアやシンガポールで過ごした後、日本の大学を経てニューヨークへ渡りました。現地ではファイナンスを専攻し、卒業後は株式ブローカーとして働き始めましたが、ほどなくしてリーマンショックが起こり、状況が一変しました。仕事を失い、2009年に27歳で帰国しました。
帰国後は自己勘定トレーディングを5年ほど続けましたが、次第にアルゴリズム取引が主流になり、仕事が事実上アルゴリズムに奪われていきました。そんな中で友人の起業相談に乗っているうちに、気づけば2014年にはスタートアップ業界に足を踏み入れていました。
事業開発や資金調達に奔走する中で、2018年に前職であるSun*(サンアスタリスク)の経営陣と意気投合し、同社へ参画しました。広報、採用、営業などさまざまなチームの立ち上げやリブランディング、戦略策定と実行などを担当しました。
その後、会社の成長とともに役割も変化し、社員から執行役員、取締役、そして取締役COOへと立場を変えながら経営に携わりました。資金調達についてもPre-IPO、IPO、POといった複数のフェーズを経験し、数十人規模だった組織が700人規模へと拡大していく過程に関わりました。
─── なぜ一般的な会社員ではなく、投資家や起業家を志したのですか?
親戚に起業家が多かったことや、普通のサラリーマンだった父を見て「自分は別の道がいい」と潜在的に感じていたのかもしれません。また、大きな組織の中で、裏側の構造が見えにくいまま自分のリソースを投じることにも、もともと抵抗感がありました。
また、資本主義のロジックを理解したいという欲求もあり、当時の自分にとって「投資家か起業家か」という選択肢が自然に浮かんでいました。ただ、投資は変数が多く、自分でコントロールできることがほとんどない極めて難しい世界でした。
その後、スタートアップ業界に転身し、実際に事業を運営してみると、社会の大きなうねりを予測するよりも、小さな会社のKPIを動かして「自分自身で株価を上げる」ことの方が圧倒的に手触り感がありました。市場を予測するよりも、事業を執行する方が自分にとってはシンプルで面白い。そう感じたことが大きかったですね。
─── 梅田さんの行動原理は、知的探求心にあるのでしょうか?
そうだと思います。仕事に限らず、知らないことを知ることや、上達を実感できる「成長曲線」が高いものに挑戦するのが好きなんです。一般的には、アカデミックな世界とビジネスはキャリアのなかで密接に連動していると捉えられがちですが、僕自身はリベラルアーツとお金を稼ぐことは切り分けて考えています。アメリカ時代は貧乏でしたが、知的探求やトレーニングができていれば特に気になりませんでした。その気質は今も変わっていないと思います。
─── 日本の企業社会での働き方に違和感はありませんでしたか?
僕は仕事を一種の「スポーツ」だと捉えています。ルールを俯瞰し、そのゲームの中でどうプレイするかを考える感覚です。
Sun*時代には、それまで身に付けかけていた戦略思考を実務の中で徹底的に使い倒し、自分のものにしていきました。その結果、ファイナンスの知識にも汎用性が生まれ、ビジネスにおける体系的な実践力、いわば「格闘術」のようなものを身につけることができました。
経験不足を思考で補い、得た経験を過信せず、常にゼロから考えて手数を出す。そうしていれば、経験に基づいた行動と、新しい挑戦に伴うアンラーニングのコストとの間で、大きなコンフリクトは生まれないと思っています。
─── 源さんや15th Rockの第一印象はどうでしたか?
源さんに初めて会った時は、いきなり怒られたので「やばい人だな」と思いました(笑)。ただ、後に誤解が解けて、仲良くなりました。裏表がなくとてもストレートな性格で、信頼できる人だと感じました。日本のVCにはマーケット出身者が少ないなかで、源さんは上場株などの投資経験が豊富だったため、考え方や好奇心の向き方、ベースにある知識が近く、自然と相性の良さを感じました。
─── Sun*時代に、15th Rock(源さん)から投資を受けようと思った理由は何ですか?
最大の理由は、源さんが単なる「資金の提供者」ではなく、事業の解像度を共に高め、本質的な経営課題を相談できるパートナーだと感じたからです。
具体的には、以下の3点が決め手となりました。
1. 資金調達以上の価値を求めていた
当時のSun*は、必ずしも外部からの投資を急ぐ必要のあるフェーズではありませんでした。だからこそ、求めていたのは単なる資金ではなく、上場に向けたプロセスや、コロナ禍という不透明な状況下で頼れる知見でした。源さんが持つ上場株ファンドマネージャーの経験やネットワークは、大きな助けになると考えました。
2. 具体的な経営課題に対する「相談の質」
VC業界には事業経験が乏しく、フェーズが進むと営業や採用といった現場の具体的な課題について、十分に相談できないケースもあります。その点、源さんとは、マーケット視点での事業構造の作り方や、物事の捉え方について共感できる部分が多った。難しい局面でも、適切なインサイトや意思決定を後押ししてくれる関係性を築けていたことは大きかったです。
3. 「腹を割って話せる」深い関係性
最終的には「この人と一緒にやりたい」「この人なら腹を割って話せる」と思える人間的な距離感とサポート体制があったことが、15th Rockを選んだ理由です。
─── なぜ15th Rockに参画したのですか?
AIの登場によって、これまでのようにマーケットプレイスやSaaSなどジェネラルな知識だけで戦える時代から、より深い技術的な理解が求められる時代に入ってきたと感じています。
ここ10年で獲得してきた経験には、一定の再現性があると自負していますが、その一方で事業機会の探索や成功確率の見極めは、以前より難しくなっているとも感じています。その中で「投資」というアプローチで価値を出すのであれば、専門的なテクノロジー知識が必ずしも十分でなくても、起業家の情熱や事業経験、そしてジェネラルな視点を活かすことができる。そう考えました。
組織として正しい情報を可視化し、意思決定の再現性を見つけていく。そのプロセスに自分の経験を活かせると感じ、参画を決めました。
─── 若手のキャピタリストにとって、15th Rockで働く魅力は?
VCに限らず、大手企業では個人が与えられる影響力はどうしても限定的になりがちです。
一方で、15th Rockの面白さは、まだ未整備な部分が多いからこそ、個人の力でファンドの規模や組織そのものを大きくしていける余地があると思います。法人の看板に頼るのではなく、インフラが整っていない環境で自分の経験を深め、投資やバリューアップを通じて「個の資本」を磨いていく。そんな挑戦ができる場所だと思います。
─── 今後、どのような人と一緒に働きたいですか?
自分で本当に考え、インパクトが大きいと思うことを能動的に実行できる人です。
15th Rockは、チャレンジ精神がある人にとっては最高の自己表現の場だと思います。投資だけでなく、組織の土台づくりやビジネスパーソンとしての幅を広げる機会としてこの場所を捉えられる人。自分の能力で組織そのものを拡張させていけるタイプの人にとって、ここは最高の「箱」になるはずです。