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アジャイル・DevOps#5 「足し算だけでなく引き算もしよう」

Photo by Andrew Neel on Unsplash

記念すべき連載10回目です!
社内にいるにも関わらず、鬼編集長からSNSで記事の催促が来ました。
(でもそのおかげで、今回のネタを思いつきました)


今時のメールとSNSの使い方

今時、社外から(冒頭の話のように社内からも)SNSでお仕事の連絡が来ることが増えました。
昔親しくさせていただいていて、最近はSNSでのつながりはあるけれど、リアルではお会いしていない、という場合は、特にこの傾向があります。継続的にコンサルに伺っているお客様とも、メールでの連絡はほとんどなし。たいていはSlackです。

転職が頻繁で、久しぶりに連絡を取ろうとする相手の場合、会社のメールアドレスがあてにならない、というIT業界ならではの事情もありますが、SlackなどのSNSに慣れてしまうと、やはりお気軽さが圧倒的。何がそんなに違うのか、とちょっと考えてみました。

「◯◯株式会社 ◯◯様 お世話になっております。豆蔵の中佐藤です。」みたいな定型文が不要というのは、やはりありますよね。宛先の相手が親しい人でも、CCに入っているその人の上司とかのことを考えると、一応通常社会人のマナーは守っとくか、という気になります。ただ、このお約束文がなくて、要件だけのメール(それができる程度に気心が知れている)場合も、なんかやっぱりメールは「重い」気がする。なんでだろう、と考えた時に、思い当たったことがあります。

メールのほうが、「本来の内容」以外の情報も目に入ってきやすいのでは、ということです。

例えば、メール送受信の日時、先方のアドレス、自分のアドレス、などなど。特に関係者が多いとCCに入っている人が多くなり、メールのヘッダ情報が長くなります。返信に返信を重ねていると、さらにメールは長くなる。ここから先は前のやりとりなので、見なくてよい、と分かってはいても、目には入ります。その点、SNSの場合、伝えたい内容だけに目がいきやすい。「今回この人が発言した内容」がくっきりと目に入ります。過去のやりとりも画面に出ていますが、「本来の内容」だけが見えます。こういう、不要なモノがないということは、思ったより重要なのではないか、と最近考えています。
(メールとSNSのお気軽さの差については、メーラーというソフトに依存する面もあると思いますが、今回はそれは置いておきます)

みなさんのチームの部屋はキレイですか

ここに至って、そうか、アジャイルチーム部屋と一緒か、と気づきました。
最近、コーチとして入ったチームに私が言うのは、「貼りものも含めてモノを減らしましょう」ということです。
ご存知の通り、アジャイルでは全員同席が基本。同じ部屋・スペースに全員がいます。「自分たちの場所だ」という意識が生まれ、レイアウトなどを工夫することもでき、基本はよいことなのですが、最近多少気になるのが、「モノが多すぎるチーム」。

例えば新しい椅子などの什器を入れた時に、不要になった椅子をスペースが空いているからまあいいか、と置いてある。
レイアウト変更に伴い、ケーブルの埋設の手間を惜しんでケーブル類が床を這っている。
こういう物理的なゴチャゴチャ感はできるだけ減らしたほうがいいです。労災にもつながりかねません(脚を引っかけて転ぶ、という危険性を半分笑い話のように考える方がいますが、これ、本当はかなりの重大事です)。

もうひとつ、こういう物理的な危険がない、壁への貼付物や掲示物も気にしてください。
これを言うと、ちょっと意外に思われるかもしれません。

アジャイルチームの部屋というと、壁にインセプションデッキを貼ったり、ホワイトボードに設計全体図が書いてあったり、タスクボードに付せんがいっぱい貼ってあったり、いろいろな掲示物があるのが、「いかにも」な感じですよね。
レトロスペクティブで、Problemとして「Doneの定義が守られていない」、じゃあTryとして「Doneの定義を壁に貼ってタスクをDoneにする時に各自確認するようにしよう」なんてのもよくある話。
結果的にアジャイルチーム部屋というと、壁いっぱいの掲示物があるほうが、「活気があるように見えていかにもアジャイル開発っぽい」と思われているむきもなきにしもあらず。

もちろん、必要な貼付物を否定はしません。
しかし、内容が古いまま更新されていない掲示物や、誰も見なくなっている貼りものはありませんか?
誰も見なくなっている、というのは、前向きな理由の場合も悪い(後ろ向きな理由の)場合もあります。

前向きな理由というは、みんなの当たり前になって、もう見なくても自然にできるもの。
例えば先に挙げたDoneの定義が定着して、わざわざ見なくても守られるようになった場合。

悪い場合は、みんなが忘れてしまったもの。
例えば、チームの目標が書いてあるのに、忘れ去られた「我われはなぜここにいるのか」。
こういうものは、はがしてしまうことをおすすめします。

引き算の効用

別に貼ってあっても邪魔になるものではなし、と思われるかもしれません。
しかし、ここで前半の話につながります。余計なものがあると、肝心なものが目に入らなくなるのです。
貼りものが多すぎることで、本来みんなの目に入れたいものが目立たなくなってしまいます。

はがす、という行為をしようとしたことで、あれ、これ本当になくていいんだっけ、と考えなおす機会にもなります(逆説的ですが、目に入らないようにはがそうとしたことで、改めてそれを見直す機会になるのですね)。
平原にポツンと一本だけ立っている木はとても目立ちますよね。でも森の中に同じ木があっても、目立たないでしょう。

アジャイルチーム部屋は、どうしても壁への貼りものが多くなります。
悪いことではないのですが、「足し算」だけではなく、「引き算」することも、時々は考えてみてください。

※転載元の情報は上記執筆時点の情報です。
 上記執筆後に転載元の情報が修正されることがあります。

足し算だけでなく引き算もしよう
豆蔵の中の人ナカサトのヒトづくり・モノづくり・コトづくりへ一言 第10回 記念すべき連載10回目です! 社内にいるにも関わらず、鬼編集長からSNSで記事の催促が来ました。 (でもそのおかげで、今回のネタを思いつきました) 今時、社外から(冒頭の話のように社内からも)SNSでお仕事の連絡が来ることが増えました。 ...
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