スタッフインタビューvol:4 クリエイティブ業界から教育業界へ!「“生きている“仕事を目指して」 探究学舎クリエイティブチームチーフ・佐藤匡史
探究学舎の授業制作などを裏で支える『クリエイティブチーム』。
チーフをしている佐藤匡史さんにインタビューを行いました。
教育業界とはまったく異なるデザイナーとしてのキャリアを積んできた佐藤さん。一体どのような経緯で探究学舎に入社したのでしょうか?
プロフィール
佐藤匡史(さとう まさし)
クリエイティブチーム チーフ
音楽、映画、ドラマなどのエンターテイメントから、ファッション、コーポレートサイトなど幅広い分野でグラフィックとWEBを中心に様々なデザイン及びディレクションを行ない、近年では自治体や公共団体などのクリエイティブにも携わる。これまで培ってきた経験を活かして、以前からの夢であった「デザイン×教育」を実現できる場として探究学舎に入社。
クリエイティブチームのチーフとして、授業コンテンツからコーポレートブランディングまで様々なデザインやディレクションを手がける。
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音の知育アプリ〈otototone〉にて2017年度グッドデザイン賞 受賞/キッズデザイン賞「子どもたちの創造性と未来を拓くデザイン部門」賞 受賞
佐藤さんは探究学舎でどんなお仕事をしているんですか?
クリエイティブチームでチーフとして、ワークマネジメントや、自分自身も手を動かして主にグラフィックやWEBのデザインをしています。新しくできたチームなので、チームメンバーの特徴やスタイルを見ながら効率的に良いものがつくれるように、環境づくりや制作状況の確認、社内での各種調整などもしています。
制作業務としては、LXDチームやマーケティングチームなどのスタッフと授業や販促に関わるデザインなどを制作したり、他部署のスタッフと連携しながら公式HPのデザインやコーディングを行っています。
授業の現場を知るために三鷹の教室で行われる「探究スペシャル」にも「GF(グループファシリテーター)」として参加しています。
▲自宅での作業風景。これまでの仕事で関わったアイテムを並べて、働く場所という気持ちを忘れないようにしている。子どもの勉強用デスクとして用意した隣の席はほとんど使われず…。
探究学舎はフレックス制かつリモートワークOKなので、週に1〜2日程の出社であとは自宅で作業していることが多いです。リモートワークのメリットは大きく、通勤に往復3時間程度かかるのでその分を業務時間に充てたり、スキマ時間にランニングや、子どもとコミュニケーションする時間に使ったりできるのは本当に助かります。
デメリットしては、表に出てこないような社内の情報や雰囲気がキャッチアップできなかったり、何より怠けずにちゃんと仕事するというのが一番難しいです(笑)。
▲新しい授業のテーマに合わせたキービジュアルを作成し、デジタルと紙それぞれに最適化したPRツールやグッズに展開。
▲オンライン教室授業『広げるコース』の『深海』では、テーマの「暗闇の中で光り輝くいのち」に合わせて、深海生物をネオンで表現したイラストとビジュアルを制作。
▲中高生クラス『シナリオライティング編』ではターゲットの年代に合わせたビジュアルやスライドデザインを制作。
探究学舎に入社する前はどんなことをされていたんですか?
▲三鷹オフィスにて
制作会社を何度か転職をしながら、音楽や映画などのエンターテイメント業界をはじめ、商業施設、官公庁・自治体のプロモーションや工業製品など幅広い領域で、グラフィックやWEBを中心にグッズや装飾など色々なデザインやディレクションをしてきました。
もう少し詳しく言うと、「CD、DVDのジャケットデザインや広告」「映画のポスター」「アーティストのWEBサイト」「商業施設の販促企画・WEBサイト」「コーポレート・採用WEBサイト」「販促/販売グッズ」などです。
デザインにはざっくり分けると「ファンクショナル(機能的)」なデザインと「エモーショナル(情緒的)」なデザインがあると考えているのですが、改めて振り返ってみると私が手掛けてきたのは後者が多いですね。どれも「強い世界観をどうやってつくり出し、伝えるか」というのが重要な世界で続けてきたような気がします。それらは言語化しにくいものなので表現力も必要でしたし、「好き嫌い」だけで右往左往しないための「説得力のあるプロセス」や「コミュニケーション」が培われました。
派手な印象のある業界や案件も多かったのですが、私自身は決してアーティスト的な個人の強い才覚で仕事をしてきたのではなく、クライアントや関わる皆さんと一緒にデザインを作るタイプだと思っています。
デザイナーになったきっかけはなんですか?
きっかけは高校卒業したあとのことです。
やりたいことが見つからず、いわゆる“ひきこもり”のような感じで1年間ほど自分の部屋からほとんど出ることなく過ごしていました。その時ひたすら映画と音楽を漁っていたんです、そこで手にしたCDやビデオのパッケージを見て「かっこいいな、こういうのをつくる仕事をしてみたいな」と思うようになりました。もし当時の自分にメッセージを送れるのならば、「そのやりたいことは将来叶うよ、ただし...」と伝えてあげたいです(ただし...のあとはご想像にお任せします!笑)
教育関係に興味を持ったキッカケは?
20代半ばの頃、当時札幌のフリースクールで働いていた従姉妹から「Photoshopを使った授業をしているんだけど、よかったら1日授業してみない?」と誘われ、観光も兼ねて行ってみることにしました。予定している時間は2時間(2コマ)ほどしかなかったので、技術的なことを教えるのは難しいと思い、普段の仕事で作った映画関連のビジュアル制作の話することにしました。
「普段Photoshopを使ってこんなものをつくっています。この時はああでこうで…」
緊張していたこともあり、気づけばまくし立てるようにひとりでずっと喋っていました。最後に我に返って「何か聞きたいことや質問ありますか?」と訊いたところ、教室内は「シーン…」。。。
「これはしくじったな…」と内心後悔していた時に、一人の少年が手を挙げてこう言ったんです。
「なんだかわからなかったけど、”生きてる”って感じがしました!」
その想定外の言葉になんだか恥ずかしくなったのと同時に、鈍い衝撃を受けました。「自分が投げたボールが心に響くものとして返ってきた」そんな感覚が残り、ぼんやりと「人に自分が知っていることを伝えるのって良いな」と思うようになりました。
その気持ちは、デザイナーのキャリアを経るごとに次第に大きくなっていき「教育関係の仕事とデザインのスキルと経験を使って仕事ができないかな」と具体的に考えるようになりました。
(あの時の少年、君のおかげで人生が変わったよ!そして、まだ”生きてる”よ!)
そう考えた背景には、デザイン業での行き詰まり感や不安もありました。これまでに何社か制作会社を転職するなかで、ある一定以上の年齢になると次第にデザイナーの人たちが減っていく現実を目の当たりにし「このままデザイナーを続けた延長線上は行き止まりで、自分の居場所はないんじゃないか」そんなことが頻繁に頭をよぎるようになりました。
じゃあ、教育分野で自分ができる仕事を探してみようと少し探ってみたところ、デザインスクールやカルチャースクールの講師というのはポツポツとあったのですが、「これがやりたいのかな」としっくりこない気持ちがあり、そもそもそういった求人すらほとんど無いという状況がわかりました。なので、当面はデザインのスキル・経験や人脈を増やしていきつつ、目の前の仕事に打ち込みながら「何か無いかな」と思って過ごしていました。
探究学舎とはどうやって出会ったのですか?
以前一緒にお仕事をさせてもらった知人が探究学舎に関わっていたそうで、その人から久々に連絡があり「探究学舎という企業でデザイナーを探しているんだけど、良い人知りませんか?」と。
その時は探究学舎のことを何も知りませんでしたが、すぐにWEBサイトをざっと見て「それ僕がやりたいです」と返事しました。
探究学舎に入社を決めた1番の理由は?懸念事項はありましたか?
前述の通り教育分野で何か仕事したいとずっと思っていたので、まさに「渡りに船」という感じでほとんど悩むことなく決めました。さらに、知れば知るほど事業がとてもユニークなことに魅力を感じ、デザインやブランディングの表現がとても良く、仕事をする上で理解や共感を持って働けるだろうと思えました。
懸念としては、これまでは大人同士で仕事を行ってきたため、子どもたちに直接届けるような仕事にすぐに適応できるかが心配でした。また、これまで教育や子育てに関して自分の信念や方針を明確には持っていなかったので、教育事業での仕事をする際に、「自分が何かを伝えることができるのか?」に自信は持てていませんでした。
しかし「知らないこと、わからないことは正直に言おう」「求められるクリエイティブ業務やチームビルディングには自信と思いを持って取り組もう」と決めて入社した結果、会社のスタッフやチームメンバーそれぞれが、私と同じように「わからないことに対して最適な解」を模索しながら仕事を進めている姿を見て、懸念や不安は杞憂だったなと思いました。
どんなところにやりがいを感じますか?
インハウスならではのスピード感(コミュニケーションも結果も早い)は、やはり面白いなと思います。制作会社で大きい仕事になってくると複数社の色々な立場の人が入るので情報伝達に時間がかかるし、その間に指示や意図も変化して伝わってしまうことがあります。(それはそれで悪いことばかりではないですが)
その点において、探究学舎ではかなりフラットな組織体制なのと、誰のためのデザインなのかが明確で、自分の意思や相手の意図を交換することがとても早いのでどんどん進んでいきます。
さらに実際に働いてみて一番良いと思うのは、さっき作ったものがすぐに子どもたちに届いてその反応をみられることです。
個人の裁量権や範囲が大きいのと、子どもたちにダイレクトに届くことは、同時に責任やプレッシャーにもなりますが、それも含めて「やりがい」だと感じています。
デザイナーとしての観点から今の探究学舎の立場を見ると、確立された「スタンダード」や「セオリー」が固まっていないという点は難しさが伴いますが、とても面白く魅力的でもあると思います。さまざまな業界において「こういう特徴でブランディングする」「競合他社のデザインをベンチマークする」、すなわち「スタンダード」や「セオリー」があり、目的に合わせて選択しながらクリエイティブが作られることが多々あります。教育業界も例外ではなく「子ども向けにはこういうのが良い」「保護者に訴求するならこの方法が効果的だ」という「セオリー」が蓄積されており、イレギュラーで斬新なクリエイティブ表現というのはなかなか生み出しにくいと感じています。
そんな中で「探究学習」というジャンル自体がまだ新しいことと、そのリーディングカンパニーであろうとする「探究学舎」であれば、さまざまな挑戦ができる環境があります。私はそこが「難しいけど面白い」と思っています。
入社して最初に驚いたことは何でしたか?
職場に子どもたちの声が響くことですね。今までオトナしかいない職場で働いてきたので、子どもたちの会話や笑い声が聞こえてくることはとても新鮮でした。
どんな人と一緒に働けると嬉しいですか?
自分の中の「大事なもの」「好きなもの」を自覚していて表現できる、そんな人と一緒に働けると嬉しいです。共にアイディアをもちより、新しいものを作り上げていきたいと思います。
経験や信念を大事にしシビアな場面で決断できる力と、「もしかしたら違うかも」「こうしたらどうだろう」という変化に対する柔軟性や想像力。それらを個人一人で持ち合わせるのは難しいですが、チームとしてそういったバランスを保ちながら物事を広く深く探究していけたら嬉しいです。
おわりに
「デザイン×教育」によって、子どもたちの学びをより豊かにするビジョンを持った探究学舎のクリエイティブチーム。佐藤さんの他にも様々な経歴やスキルを持っているメンバーが揃っています。それぞれの持つ個性を活かして日々挑戦しています。
授業などで彼らのつくる”探究学舎らしい”新しい表現を見つけてみてください!