2021年4月の創業から4期目を迎えた株式会社オンライズ。転職支援やキャリアコーチングといったキャリア関連の事業を展開し成長を続けています。代表取締役CEOの石渡一輝に、創業のきっかけや実現したい世界、サービスの特徴、今後の展望などについて話を聞きました。
石渡一輝 | 代表取締役 CEO
高校卒業後、医療法人にて院内ネットワーク管理や人事などの業務に約6年間従事。その後、大手通信会社の新規営業を経てDMM.comのグループ会社に転職。webマーケティング領域とエンジニア領域におけるキャリア支援、新規事業の立ち上げなどに携わる。人材紹介部門の責任者としてチームを牽引した際には、社内アワードも多数受賞。2021年、株式会社オンライズを設立し、代表取締役CEOに就任。
未経験転職を重ねて起業へ。オンライズ創業の経緯
——石渡さんのご経歴をお聞かせください。
高校を卒業後、病院に就職して人事や広報、院内ネットワーク管理などの仕事に従事しました。起業を志すようになったのは社会人になって4年目のころです。友人が当時流行っていたブログのアフィリエイトで月に100万円稼いでいるという話を聞き、大きな衝撃を受けました。一般的な仕事をしていたごく普通の友人が、新しいプラットフォームを活用して才能を開花させたことに、人の可能性の広がりを感じたんです。
こういう人が増えたら世の中はもっと変わるのではないか、そういう事業を自分自身でもやっていきたいと思うようになりました。
そして30歳までに会社をつくると決め、そのために必要な経営者のスキルを洗い出し、計画的に身につけていくことにしました。まずはじめに取り組んだのが「営業」です。会社を経営したときに、自社サービスを自らの手で売っていけるような社長になりたいと考えたんです。そこで病院を退職し大手通信会社の営業職に転職しました。訪問営業として1日200件くらい一般のお宅にピンポンしてサービスを売り込みました。2年ほど勤務した中で、チームトップの営業成績を記録することができ、マネジメントも経験させていただきました。
その後、DMM.comのグループ会社に転職して、 プログラミングやマーケティングのスクール立ち上げに携わったほか、転職支援事業の責任者として働きました。ここでの仕事が、今の自分に一番大きな影響を与えたと思っています。
——どのような経験や実績を積まれましたか?
実績としては、RA(リクルーティングアドバイザー)として開拓企業の目標達成率300%を3カ月連続で達成しました。また、CA(キャリアアドバイザー)としては月間売上1000万円、転職成功率95%を実現しましたね。このほか、RAやCAの育成とマネジメントの経験も積ませていただきました。
——そして2021年に起業し、株式会社オンライズを立ち上げたのですね。それにしても会社員時代は、すべて異業種・異職種で、未経験からの転職をされてきたのですね。
はい。実はこの経験が、オンライズの理念と事業内容につながっています。弊社では「可能性を広げ続ける」を理念に、キャリア関連の事業を展開しているのですが、私には学歴もないですし、もともとこれといったスキルも、人とのつながりもありませんでした。そんな何もないところから徐々にスキルと経験を積み上げながら、年収をアップさせてきたという自負が自分の中にあるんです。病院勤務時代はそれこそ年収約240万からのスタートでしたが、DMM.comのグループ会社でマネジメントを担うころにはその数倍にまで上げることができました。
この経験から、人は未経験からでも人生を変えていけるし、可能性は無限大だなという想いを強く持っています。
——オンライズが目指している世界とは?
「誰もが自信を持ち、胸を張れる世界を創造する」というビジョンを掲げています。
これを実現できたら、日本はもっと元気になっていくと思っています。このビジョンを達成するためには、若い人たちが持つあらゆる可能性を信じ、皆が輝くためのいろんなキッカケを私たちが提供し続けることが大事だと思っています。
こうした想いから、オンライズはその“キッカケ”を皆さんに提供するための事業を展開しています。すべての事業は企業理念とビジョン実現のために行っています。
本質を見極める。オンライズ流キャリア支援の秘訣
——オンライズの主力事業について教えてください。
一つはIT人材の転職支援です。特に未経験者を対象とした転職を得意としており、職種はエンジニア、ITセールス、IT事務など多岐にわたります。現在オンライズは、“未経験転職支援”領域でのシェアNo.1を目指し活動しています。
——転職支援を行うにあたって、オンライズが大切にしていることはありますか?
本質的な面談をすることが大事だと思っています。例えば求職者の方は「営業やりたい」「事務をやりたい」「エンジニアやりたい」と言って弊社に来られますが、そのやりたいと言っている職種は表面的であることが多いんです。その職種でないと絶対にいけない理由を持っている求職者の方って、10人いたら1人か2人ぐらいしかいないのでは、と思います。
特に若手の方だと、「エンジニア、なんとなく良さそうだ」みたいな感じで来られるので、 本当にその仕事をやりたいのか、そもそもなぜ転職しようとしているのか、という根本の部分を深掘りするようにしています。
——ほかに、オンライズならではの強みはありますか?
手厚いキャリアサポートが強みです。書類の作成、面接対策はもちろんのこと、定期的なコミュニケーションによりメンタル面のフォローも行なっています。転職活動はメンタルとの勝負でもあるため、求職者の心情に寄り添うことが非常に大切なんです。
弊社のメンバーは全員が未経験転職の経験者です。だからこそ、誰よりも未経験転職をする求職者の気持ちを理解しています。皆、「求職者一人ひとりにしっかり向き合いたい」というマインドを持って、各々が自身の業務に線を引くことなく、求職者にとことん寄り添いながら伴走しています。こうしたメンバーの人間力は、まさにオンライズの強みだと思っています。
あとは、私が集客周りの知見を持っていることから、効率よく安定的に人材を集められている点も弊社ならではの強みだと思います。
——転職支援以外の主力事業はありますか。
2024年7月からスタートしたキャリアコーチング事業「CANVAS for career」です。自分が何をしたらいいのか、どのような仕事が向いているのかわからないという“キャリア迷子”の人に向けて、自己分析からスキルアップの支援、希望者には転職のサポートも行っています。
最大の特徴は、受講後も継続的にキャリアをサポートする体制があること。サービスを受けたら関わりが終了するのではなく、その後の転職やキャリアアップといった“キャリア構築の本番”においても継続してサポートしています。
また、カリキュラムにはビジネスでの重要度が高まっている生成AIも取り入れています。基礎知識や使い方を学べるほか、生成AIがキャリアにどう影響を及ぼすかを考えていけるような内容も盛り込んでいます。
総じてキャリアの可能性を広げるだけでなく、広げ続けていくサポートを用意しているのがCANVAS for careerならではの強みです。立ち上げてまもない事業ですが、受講生は着実に増加しており、事業として順調な滑り出しとなっています。
——「自分探し」から「転職」まで、求職者が納得できるキャリアを見つけるまでのサポートを一気通貫で提供しているのですね。
はい。このほかにもフリーランス人材のマッチング支援を行っているのと、7月から新たに人材紹介会社向けの生成AI活用研修事業をスタートさせました。
今後もキャリアに軸足を置いて、その周辺領域にあるさまざまなビジネスを攻めていきたいなと思っています。
未経験者の可能性を広げる。オンライズの人材育成
——オンライズの仲間は、これからもどんどん増えていきそうですね。一緒に働きたいのはどのような人ですか?
私が考える採用基準は3つで、1つは素直さです。素直といってもイエスマンが良いという意味ではなく、例えば自分にとって耳が痛いことを言われたとき、それをちゃんと受け止められるかどうかということです。いったん受け止めた上で自分の意見を伝えることが、物事を進める上では大事なことだと私は考えています。
2つ目はオンライズで働く理由についてきちんと考えている方。キャリアドバイザーをやりたいという方はたくさんいらっしゃいますが、その仕事をなぜ弊社でやりたいのか、ということが明確になっている方がいいですね。
現在日本には人材紹介会社が3万社以上あるといわれてるんです。大手やベンチャーなど、さまざまな会社がある中で、なぜオンライズなのかということをしっかり考えてきていただきたいなと思います。弊社では基本的に未経験の方を採用しているからこそ、その部分を大切にしているところがあります。
最後に、オンライズのビジョン、ミッション、バリューと沿っているかどうかも判断ポイントです。
<ビジョン>
誰もが自信を持ち、胸を張れる世界を創造する
誰もが自信を持ち、胸を張れる世界を創造することで「自分は自分で良い」「自分にしかできないことがある」と思えるようになり、仕事もプライベートも充実した人生を送ることができる。
<ミッション>
あらゆる可能性を信じ、輝けるキッカケを提供する
私たちは人の可能性を信じ続け、キッカケを創り出すことにより、誰もが自信を持ち胸を張れる世界を想像するベンチャー企業です。
<バリュー>
熱狂的であれ
人生の目的を明確にし、その実現に誰よりも夢中になる
変人であれ
枠に捉われず、自身の当たり前を壊し続ける
恩人であれ
常に感謝や思いを忘れず、誰からも慕われる人格者になる
自分ごとであれ
何事にも興味関心を持ち、強い当事者意識を持つ
オンライズは大前提としてビジョン、ミッション、バリューをとても大事にしています。事業の方向性も、評価制度も、これらに沿って決めていきます。
そのため、オンライズのビジョンと本人の方向性が一致しているかどうかは特に重要なポイントとなりますし、バリューに沿った行動をしてきたか、あるいはそのポテンシャルがあるかも大事なポイントになると考えています。
——未経験の方を採用されているとのことですが、社員の成長に向けて行っている施策などは何かあったりしますか?
例えばテクニカルスキルでいうと、ChatGPTを業務に取り入れているので、それを実践的に身につけることができます。また、キャリアアドバイザー研修によって、その基本的なスキルを習得していただくことができます。
ヒューマンスキルの面では、弊社オリジナルのキャリアシートを使いながら、各自の数カ月後、数年後のキャリアプランをメンターとともに打ち出し、実行していきます。ビジネススキルをどのように高めていくかということも週一で振り返ったりしているので、未経験のメンバーにとって大きく成長できる環境が弊社には整っていると思います。
仕事で自由を得るということ。石渡CEOが語る仕事観
——「キャリア(仕事)」を軸に事業を展開するオンライズですが、石渡さんにとって「仕事」とはなんですか?
私にとって仕事とは、自己実現と社会貢献を同時に達成するための最も強力な手段です。自分の可能性を最大限に引き出し、それを価値として社会に還元する機会だと考えています。
仕事を通して自由を得ることもできます。それは経済的な自由のみを指すのではありません。本当にやりたいことを見つけ、その仕事に邁進できれば、自分らしく生きる自由を手に入れられると思っています。
——「自分らしく生きる自由」とはなんですか?
私の経験から言えば、キャリアを積み重ねていくことで、自分の強みや価値観、情熱を発見し、それらを生かせる場所を見つけることができます。そして、そこで成果を出すことで、周囲からの信頼を得て、より大きな責任と権限を任されるようになります。この過程で、自分の判断で決定を下し、アイデアを実現させる機会が増えていきます。つまり、「自分らしさ」を存分に発揮できる領域が広がっていくんです。これこそが、私の言う「自由」の本質です。
ただし、この自由には大きな責任が伴います。私は今、社長として多くの自由(決定権)がありますが、同時に社員やお客様、そして社会全体に対する大きな責任も担っています。
——最後に、これからキャリアを積み上げる若い方々に向けて、メッセージをお願いします。
私自身、何もないところから自分のキャリアをつくってきました。その都度、置かれた場所で自分の責務を果たして成果を出し、周りの方々に認められて、少しずつ成長してきました。
ですから、若い皆さんにも同じように、キャリアの可能性を広げ続けていってもらいたいと思っています。そのサポートをし、「誰もが自信を持ち、胸を張れる世界を創造する」ために、私たちはこれからも事業に邁進していきます。