グローバル化が進んだ現代では、様々な物資が国内外を飛び交っています。物流が止まれば製造活動が止まり、経済に深刻なダメージが発生してしまうことも。まさに「物流は経済の大動脈」と呼べるものではないでしょうか。
社会の重要なインフラである物流業界を支えるために、ジャパンヒュペリナー株式会社は航空貨物の業務改善に特化したSaaSプラットフォームを開発しています。
今回はエンジニアの募集にあたり、代表の稲葉憲邦から事業内容やビジョンを伺いました。
■世界初の3業態向け航空貨物プラットフォーム
――はじめにジャパンヒュペリナーの事業内容を聞かせてください。
私たちは、海外向け航空貨物に特化したSaaSプラットフォーム『エカデジ』を提供するスタートアップです。『エカデジ』には、書類作成や貨物トレース(現在地の把握)、航空運賃管理など、航空貨物業務に必要な機能を盛り込みました。
――なぜこのプラットフォームを開発しようと考えたのでしょうか?
それは「航空業界の業務効率を改善したい」と考えたからです。
私はもともと新卒で航空業界に入り、日系・外資系など3社を遍歴しました。小さな頃からすごく飛行機が好きでしたし、転職活動をしていた時もこの業界以外は考えられなかった。
約7年航空貨物業界で働くなかで新規・既存営業、貨物予約、輸出オペレーション業務を担当しましたが、航空貨物業界はいまだに紙ベースの業務や残業ありきの慣習が残っています。
1社目で働いている頃から「なんてアナログなことをしてるんだ」と感じていましたし、業界では人手不足も進行していました。このままでは現場で働く人の負担が増え続けてしまう、しかし業務改善は個社だけでは解決できないと思いました。
――なぜ個社での解決が難しいのでしょうか?
航空業界は常に一定の需要がある業界で、現状で業務も回っていますので、保守的な価値観が良しとされています。
さらに航空貨物には、「荷主・フォワーダー(自ら輸送手段を持たず、荷主と運送業者の間に立ち、貨物の運送取扱を調整する事業者)・航空会社」の3業態が関わっています。どこか一社が業務を改善しても、航空貨物プロセス全体が改善されなければ、ボトルネックが生まれてしまうのです。
業界全体の業務プロセスを改善するために、「関係各社の社外から全体を改善する仕組みを提供しなければいけない」と考え、起業を決意しました。
――そこまでしないと解決できないほどプロセスが複雑化しているのですね。
■複雑化していた航空貨物の運送プロセス、『エカデジ』を使えばコミュニケーションコストを削減できる
――もう少し詳しく聞きたいのですが、具体的に貨物はどのようなやりとりを経て運ばれているのでしょうか?
はじめに貨物を送る荷主はフォワーダーに「こういう貨物をここまで運びたい」とオーダーします。次にフォワーダーは航空会社に「いくらで運べるか」を確認します。いくらで運べるかが確認できたら、フォワーダー分の利益を乗せて荷主に価格を提示しているんです。
――確認作業が多いですね。
そうなんです。さらに、フォワーダーはなるべくコストを削減するため、複数の航空会社に相見積もりを取ります。こうした見積もり作業が現場の作業量を増やす要因になっていました。
――『エカデジ』ではこの課題をどのように解決しているのでしょうか?
『エカデジ』では複数の航空会社運賃を一覧で提示する機能を開発しました。旅行サイトのように現在地と目的地を入力すると、荷主は貨物のサイズ・重量に合わせて「いくらかかるか?」を一覧で確認できます。
――いままでは人力でひとつひとつ確認していたけれど、自動的に料金を算出してくれるようになったんですね。
その通りです。航空会社はあらかじめフォワーダーに対して路線やシーズンごとに「45kg、100kg、300kg、500kg、1000kg」の料金テーブルを設定していましたが、長らく慣習として交渉に近い形で料金が決められていたんです。
我々はそこにメスを入れた形になります。『エカデジ』を使っていただき、コミュニケーションの工数を減らして、業務コストの削減に貢献できたらと考えています。
――なるほど、「オペレーションを圧縮して人的コストを下げていきましょう」というサービスなのですね。
我々はそこにメスを入れた形になります。『エカデジ』を使っていただき、コミュニケーションの工数を減らして、業務コストの削減に貢献できたらと考えています。
――なるほど、「オペレーションを圧縮して人的コストを下げていきましょう」というサービスなのですね。
■プロダクトは完成、現在は機能改善とセールスが重要な時期
――ちなみに、現在はどのような企業が『エカデジ』を導入しているのでしょうか?
2022年7月にローンチしたばかりなので、まだ導入企業は少なく、無料トライアルを通して導入企業を増やしている状況です。
トライアルいただいている企業様は荷主様、フォワーダー様が数社、航空会社様は営業中です。多くの航空会社様とフォワーダー様を集め、比較できるようにしなければサービスとして価値が提供できません。そこで現在は航空会社とフォワーダーを中心に営業を進めています。
――今後、どのようにプロダクトを広めていくか戦略はありますか?
カギになるのは航空会社です。ここが「使う」と言ってくださらないと、荷主様もフォワーダー様も導入してくれません。そのため、航空会社様の労働組合にもアポイントを取るなど、地道に営業活動を続けています。
加えて、『エカデジ』の機能の一部を切り離し、導入ハードルを下げる試みも始めています。3業態は結びつきが強いので、ひとつでもシェアを取れたら、他業態にも広まっていくはず。プロダクトを改善しながら、あらゆる手を尽くしてシェアを拡大していきます。
――最初はひとつの機能だけを試してもらい、後々フルパッケージで利用してもらうということですね。
■『エカデジ』は業界のスタンダードになれるプロダクト、共に活躍してくれるCTO候補を募集します
――ここからはやりがいや開発環境について聞かせてください。今回はエンジニアを募集しますが、どのような言語で開発しているのでしょうか?
開発のベースにしている言語はJavaScriptで、React.jsやNode.jsも使用しています。今回はPL・PM経験者が来てくれると嬉しいです。
――どのようなやりがいがありますか?
我々はまだ設立されたばかりのスタートアップなので、仕様や開発言語などは自由に決めていただけます。
また、レガシーなプロセスで業務が進められていた業界を変えていける面白さもあると思います。
航空貨物の『エカデジ』のように3業態をまたいで活用されるプロダクトは世界初で、登場していても個別の業界や特定業務に特化しているものがほとんどでした。
私も航空会社で勤めていた時にそういった昔ながらのシステムに触れていましたが、画面遷移がものすごく遅かったり、何に使うボタンなの? と迷うUIだったりと、触るだけでストレスになるものが多かったんですね。
一方、『エカデジ』は貨物の予約もできて、貨物追跡や書類作成もできるプロダクトです。シンプル・スピード・シームレスを開発軸に、航空貨物業務に必要な全ての機能を網羅していますし、営業に回っていていても、航空会社さんから「これが求めていた理想のプロダクトだ」と評価されています。
浸透するまで時間はかかると思いますが、『エカデジ』は航空貨物業界向けのSaaSプロダクトとしてパイオニアになれますし、国内の航空貨物業界でスタンダードになれるポテンシャルを持ったプロダクトだと思います。
――伸び代は大きいと。ちなみに、どのような人柄の方ならフィットしますか?
スタートアップなので、能動的に動ける人がいいですね。あとは積極的にコミュニケーションをとってくださる方。PMポジションを募集していますが、将来的にはCTO候補になっていただきたいですし、上流工程から関わり、お客様の声を拾っていただける方を求めています。
あとは英語に抵抗がない方がいいですね。航空業界のスタンダードに合わせて、現在プロダクトは英語でリリースしています。
■将来は海外展開も視野に、ゆっくりと着実に航空貨物業界を変えていきたい
――最後に、今後のビジョンについて教えてください。国内でスタンダードの位置を取れたら、その後はどのような事業を展開していくのでしょうか?
国内に浸透させるだけで10年はかかると思いますが、国内のスタンダードになれたら、アジアや欧米にも進出していきたいですね。
――なぜそれだけ時間がかかるのでしょうか?
実際に航空会社で働いていると、40〜50代の方はいまだに紙でデータを出力してタイピングされているんです。大手のフォワーダー様のなかにはAPIに対応していない企業様もいらっしゃる。それだけアナログな業界なので、やはり時間はかかってしまいます。その分デジタル化できる余地は十分にありますし、売上が安定している業界なので伸び代も大きいと思います。
私は「航空貨物業界の働き方を変えられるのはジャパンヒュペリナーしかいない」と本気で考えています。荷主、フォワーダー、航空会社の3業態は業務過多や人材不足に陥っている。特にフォワーダーの負担が大きく、業務を改善しなければ根本的に課題を解決できません。
将来的にはPythonを使って、輸送集計や航空機の貨物スペースを自動計算するAIも開発していく予定です。
大きなポテンシャルを秘めた事業だと思いますので、もし「話を聞いてみたい」というエンジニアの方がいましたら気軽にお声掛けください。