ドスン!バシン!。固いゴム製のパックが壁に当たる音がリンクに響く。スピードに乗ってスケートを操る子供たちが、スティックでパックを叩いてシュートを放つ。ゴールキーパーがそれを防ぐ。帯広の森アイスアリーナで開かれた小学生のアイスホッケー大会風景だ。
小学生とはいえスピード感あふれる試合展開を見せる=帯広の森アイスアリーナ
魅力的な練習環境「どうせやらせるなら」
冬のオリンピックが行われる今年、いつも以上にウインタースポーツが注目されている。私たちヒューエンスが根を張る帯広・十勝はスケートが盛んな地域の一つ。中でも、アイスホッケーは子供から大人まで多くの人が楽しんでいる。「とことんアイスホッケーをやらせたい」と、そんな十勝に3人の子供を連れて移住してきた人がいる。ヒューエンスCR課の岡本俊二だ。
もともとは神戸で会社員をしていた。地元でのアイスホッケーの体験会に参加した小学生の長男が興味を持ち、競技を始めた。長女、次男も巻き込み、3人ともその世代の兵庫県選抜に選ばれるなど、のめりこんだ。岡本は子供たちの練習や大会での活躍などをSNSで発信した。そこに十勝の人から書き込みがあった。帯広の小学生クラブチーム「VORTEX大空」の長谷卓也監督だった。やりとりが続き、対話を重ねるうちに、「日々の練習量が豊富で大会など実戦の機会も多い」と岡本には十勝のアイスホッケー環境が魅力的に見えてきた。「どうせ、やらせるなら」と考え始めた岡本の背中を押したのは長谷監督だった。「なるべく早いうちに来たほうがよい」。
デスクワークで笑顔の岡本。帯広移住は大きな決断だった
十勝の小学生の団体は、帯広のほか、幕別や清水など近隣あわせて5団体。長谷監督の手引きで4つの団体の練習を体験したうえで、岡本は大空を所属チームに選んだ。そして2023年8月、岡本は仕事をやめ、まず帯広に移住するという決断をした。
移住してからの職探し。ヒューエンスと出会った
子供を練習に参加させながらの仕事探し。そこで出会ったのがヒューエンスだった。「朝や夕方の練習には子供の送迎が必要で、事情を話すとヒューエンスは配慮を約束してくれた。そんな会社はほかになかった」。そして24年3月、ヒューエンスの一員に。仕事は初めてのことばかりで、戸惑いもあったが、デスクワークばかりでなく現場での作業もこなす。
ピリオド間に戦術を伝えるVORTEX大空の長谷監督
道内でも盛んな十勝。オリンピアンも輩出
アイスホッケーはスケートのほかに防具やスティックなどが必要で、オフサイドなどルールも複雑。国内最高峰はアジアリーグだが、テレビ中継などはほとんどなく、全国的にはマイナーなスポーツと言える。それでも北海道では帯広をはじめ、苫小牧、釧路などで盛んだ。リンク上にはFW3人、DF2人、キーパー1人の6人が立つが、運動量が多く消耗が激しいため、キーパー以外の5人を1セットとして随時交代する。3~4セットが標準的で、1チームには20人くらいの選手が必要になる。帯広アイスホッケー連盟によると、十勝では小中高や女子、社会人まで48チームが活動している。そのうち小学生は5チームだが、かつては「小学校の数だけチームがあった」(関係者)という。ちなみにミラノコルティナ五輪の女子アイスホッケー日本代表、志賀葵・紅音姉妹は帯広出身だ。
岡本家の中3の長男は中学で競技を辞めるというが、中1の長女は清水町の女子チームに所属、小3の次男は大空でプレーする。練習や大会の送迎など日常生活は大変だが、「アイスホッケーだけでなく、食や自然など十勝、北海道の良さを満喫できている。子供たちのためにも来てよかった」。岡本の偽らざる思いだ。