アムステルダムで出会った、名前もない小さな宿
21歳のとき、ただ「アムステルダムの街に行ってみたい」という理由だけで、オランダへ飛びました。
泊まったのは、インド人のおじさんが個人でやっている小さなB&Bでした。
豪華だったわけでも、特別なサービスがあったわけでもありません。正直、何が良かったのか今でもうまく説明できない。でも、あの宿のことはずっと忘れられないんです。
当時の日本には、ビジネスとして完成されたホテルしかありませんでした。どこへ行っても、西洋のホテルをお手本にしたような、似たような部屋。整っているけれど、面白くはない。
それもそのはずで、ホテルはもともと大資本がやるものでした。バブルの頃の不動産は、個人が手を出せるような代物じゃなかった。ホテル=企業がやるもの。それが日本の当たり前でした。
だからこそ、異国の地で、一人の人間が自分のやり方で宿を開いているという光景が、ものすごく新鮮だったんです。
宿は、個人がやってもいい。
もっと自由で、もっとその人らしくていい。
社名の「breakfast」は、あのB&B(ベッド&ブレックファスト)から取りました。あの小さな宿で受け取った感覚が、いまの僕たちの出発点です。
生まれも育ちも広島。だから、広島でやる
僕は広島で生まれ、広島で育ちました。大学で東京に出て、少しだけ東京で働きましたが、24歳で広島に戻ってきました。それからずっと、広島で暮らしています。
理由はシンプルで、広島が大好きだからです。
そして広島には、世界が会いに来る理由があります。平和記念公園と宮島という2つの世界遺産。お好み焼き、牡蠣、瀬戸内の島々。少し足を延ばせば、錦帯橋、出雲大社、元乃隅神社、畳ヶ浦。
ただ、その魅力の多くは、新幹線と駅前のホテルだけでは届きません。
東京や京都ではなく広島だからこそ、まだ"誰もやっていないこと"が山ほど残っている。大好きな地元で、それを一つずつ形にしていけるのは、正直めちゃくちゃ面白いです。
「Better than Hotel」――ホテルより、いいものを
僕たちのコンセプトは「Better than Hotel」。設備、広さ、コスパの3つで、一般的なビジネスホテルを超える場所をつくることです。
サブコピーは「ホテルらしさよりも、自分らしさ」。
フロントはありません。スタッフの都合に合わせず、何時でもチェックインできる"時間の自由"。部屋は広く、必ずダイニングテーブルとソファを置いています。寝る前に、囲炉裏を囲むようにみんなで話せる"空間の自由"。
最近は、部屋に滑り台を入れはじめました。子どもが「帰りたくない!」と叫ぶ部屋です。
目指しているのは「高級」ではありません。高級は、すでにある高いものを真似することになりがちです。僕たちが売りたいのは、まだ誰も見たことのない新しい価値。ユニークであることです。
大きなホテルなら会議で却下されそうなことも、僕たちならやれる。あのアムステルダムのおじさんがそうだったように。
正解はわかりません。でも、わからないからやってみる。それがうちのやり方です。
泊まるだけで、終わらせない
部屋の外にも、旅を広げています。
比治山のカフェと組んだ、美術館までのウォーキング。お好み焼きのワークショップ。宮島をGPS連動で案内するWebガイド。
さらに、大きな車のレンタカーで、新幹線では行きにくい自然豊かな場所へ。電車やバスの時間に縛られず、移動そのものを旅の一部にする計画も進めています。
空いている部屋に、もう一度命を吹き込む
始まりは、空いていた賃貸マンションでした。家具を置き、消防設備を整え、許可を取り、世界中の旅人に開放する。オーナーさんの許可が取れず、涙をのんだ物件もあります。
それから十数年。いまでは約300室を運営し、オーナーさんから空室を預かってホテルとして再生する仕事が増えています。
金利も建築費も土地代も上がり続けるいま、新しく建てるのは簡単ではありません。でも街には、好立地なのに眠っている空き家や空室がたくさんある。
大資本がなくても、新しく建てなくても、宿はつくれる。街は面白くできる。
空室を「負債」から「誰かの旅の一番の思い出」に変えること。それが僕たちの社会的な意義だと思っています。21歳の僕が、あのB&Bで感じたことの続きです。
海の向こうと、毎日つながっている
僕たちの仕事は、気づけばとても国際的です。
ゲストは世界中から訪れます。ゲストの肌に触れるタオルやリネンは自社でつくっていて、家具バイヤーが中国でオーダーしています。現場を支える仲間には、ミャンマーから来たメンバーがたくさんいます。
広島の小さな会社ですが、毎日、国境をまたいで仕事をしています。
僕たちは、まだ何も完成していない
正直に言います。うちはまだまだ発展途上です。
約300室を回すオペレーションには課題が山積みで、毎週月曜の会議は「次はどうする?」の連続。自社でシステムをつくり、AIでシフトを組み、仕組みを壊しては作り直しています。
でも、だからこそ面白い。決まったレールの上を走る仕事ではありません。問題を見つけ、原因を突き止め、自分で手を動かして仕組みを変えていく。そんな"何とかする人"が、ここでは主役になれます。
こんな人と働きたい
- 旅が好きで、「もっとこうしたら面白いのに」と思ってしまう人
- 正解のない問いに、まず手を動かせる人
- 国籍も年齢もバラバラなチームで働くのが楽しい人
- 大好きな地元や地方から、世界に向けて何かを仕掛けたい人
ホテルの経験は問いません。
広島の空室から、世界中の旅人の「また来たい」をつくる。少しでもワクワクしたら、まずは話を聞きにきてください。