こんにちは。クラウン情報テクノロジーの増井です。
「現役エンジニア社長シリーズ」第14回です。
前回のストーリーでは、私たちが金融ITにこだわる理由について書きました。
その中でお伝えしたのが、
「金融ITという領域を、狭く、深く。」
という考え方です。
では、これから金融ITの仕事に挑戦する人は、何から始めればいいのでしょうか。
私が最初にぶつかるものの一つだと思っているのが、「言葉の壁」です。
株式、債券、先物、オプション。
さらに実際の仕事では、約定、受渡、残高、時価、利回りなど、さまざまな言葉が当たり前のように出てきます。
金融ITを初めて経験する人にとっては、
「そもそも、この言葉は何を意味しているのだろう?」
というところから始まることも珍しくありません。
でも、私はそれでいいと思っています。
最初から金融に詳しい必要はありません。大切なのは、分からない言葉を分からないままにしないことです。
最初は、会話そのものが分からない
金融ITの現場に初めて入ると、技術以前のところで戸惑うことがあります。
会議に参加していても、知らない金融用語が次々と出てくる。
一つの言葉が分からないと、その後の話もつながらなくなる。
システムの説明を聞いているはずなのに、何の話をしているのか分からない。
これは、金融ITを初めて経験する人にとって決して不思議なことではありません。
エンジニアとしての経験があっても、金融業務については初めてなのですから、知らないことがあるのは当然です。
問題なのは、知らないことではありません。
分からない言葉を、そのままにしてしまうことです。
用語を覚えるだけでは、まだ足りない
例えば、「債券」という言葉を知らなければ、まず調べます。
そこで意味を知ることは第一歩です。
ただ、金融ITエンジニアとして仕事をするなら、その先が重要です。
「このシステムでは、債券をどのように扱っているのか」
「この項目は、債券の何を表しているのか」
「なぜ、このタイミングでこの処理が必要なのか」
言葉の意味と、実際の業務、データ、システムの処理を少しずつ結びつけていく。
そうすると、最初は単なる専門用語だったものが、だんだんシステムの中で意味を持つようになります。
私は、金融ITの業務知識は、用語集を暗記するだけではなかなか身につかないと思っています。
言葉を知り、業務を知り、システムと結びつける。
この繰り返しが大切です。
分からない言葉が出てきたら、まず調べる
では、どうやって金融知識を増やしていくのか。
特別な方法があるわけではありません。
分からない言葉が出てきたら、まず調べる。
それでも分からなければ、詳しい人に聞く。
そして、自分が担当しているシステムの中で、その言葉がどのように使われているのかを確認する。
地道ですが、この積み重ねです。
例えば会議で知らない言葉が出てきたとき、その場では話についていくことで精一杯だったとしても、後から調べることはできます。
一つ調べると、また知らない言葉が出てくる。
それも調べる。
そうして少しずつ点が増えていき、やがて点と点がつながります。
すると、以前は何を話しているのか分からなかった会議でも、
「ああ、これはあの業務の話をしているのか」
と分かる瞬間が増えてきます。
私は、そこから金融ITの仕事が少しずつ面白くなってくると思っています。
「分からない」と言えることも大切
このシリーズでも以前、「分からないと言える人ほど、成長が早い」という話を書きました。
金融ITでも同じです。
専門用語が多い世界だからこそ、分かったふりをすることは危険です。
特にシステムの設計では、言葉の意味を間違えて理解したまま進めれば、設計そのものを間違える可能性があります。
だから、
「この言葉の意味は、こういう理解で合っていますか?」
「ここまでは調べましたが、この部分が分かりません」
と確認できることが大切です。
もちろん、何でもすぐに人に聞けばいいということではありません。
まず自分で調べる。そして、自分なりの理解を持ったうえで確認する。
「分からない」から「調べる」、そして「確認する」。
この習慣が、業務知識を身につけるうえでも大切だと思っています。
金融の知識が増えると、システムの見え方が変わる
金融ITを続けていると、少しずつ変化が起きます。
最初は意味の分からなかった項目名が、何を表しているのか分かるようになる。
なぜこの処理が必要なのかが分かる。
そして、ある機能を変更したときに、
「ここを変えると、あの業務にも影響するのではないか」
と考えられるようになる。
これは、プログラミング言語を覚えただけでは得られない変化です。
業務知識が増えることで、システムを「処理の集まり」としてではなく、実際の業務と結びつけて見られるようになる。
私は、これが金融ITエンジニアとして成長していく一つの段階だと思っています。
最初から金融に詳しい必要はありません
前回の記事では、将来的には現役のトレーダーやファンドマネージャーと金融業務について会話しながら、要件定義ができるエンジニアを育てたいと書きました。
そう聞くと、
「金融を知らない自分には難しそうだ」
と思う人もいるかもしれません。
でも、最初からそこまでできる人はいません。
最初は、一つの言葉を知るところからです。
株式とは何か。
債券とは何か。
先物とは何か。
オプションとは何か。
そこから実際の業務を知り、システムを知り、経験を重ねていく。
一つずつ理解していった先に、お客様が話している内容を理解し、自分の考えを伝え、システムの要件について一緒に考えられるところまで成長していく。
「知らない」ことは、スタート地点にすぎません。
大切なのは、そこから知ろうとすることです。
「狭く、深く」は、一日ではつくれない
私たちが目指しているのは、何でも少しずつ知っているエンジニアだけではありません。
株式なら株式。債券なら債券。
先物やオプションなら、それぞれの金融商品や関連する業務。
自分が経験した分野について、少しずつ深くなっていく。
もちろん、新しい技術を学ぶことも大切です。
その一方で、何年もかけて積み上げた業務知識は、その人ならではの専門性になります。
だから私たちは、
金融ITという領域を、狭く、深く。
という考え方を大切にしています。
専門性は、短期間で突然身につくものではありません。
今日、一つの言葉を知る。
明日、その言葉と業務がつながる。
そしていつか、その知識を使ってお客様と要件について話せるようになる。
その積み重ねが、金融ITに強いエンジニアをつくっていくのだと思います。
最後に
金融ITの仕事を始めると、最初は知らない言葉がたくさん出てきます。
会議の内容が分からないこともあるでしょう。
でも、それを「自分には向いていない」と考える必要はありません。
分からない言葉を一つ調べる。
業務との関係を考える。
システムの中でどう使われているのかを確認する。
分からなければ、詳しい人に聞く。
その小さな繰り返しが、やがて大きな専門性になっていきます。
最初から金融に詳しい必要はありません。
でも、金融を知ろうとするエンジニアであってほしい。
私たちは、そう考えています。
そしていつか、現役のトレーダーやファンドマネージャーと同じテーブルで金融業務について話し、一緒にシステムの要件を考えられるようになる。
そこまで成長できれば、金融ITエンジニアとして大きな強みになります。
クラウン情報テクノロジーでは、金融ITの経験をお持ちの方はもちろん、「これから金融ITを学びたい」「業務知識を身につけ、上流工程へ進みたい」という方とも、ぜひお話ししたいと思っています。
少しでも興味を持っていただけましたら、ぜひ一度カジュアル面談でお話ししましょう。
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