建築関係の仕事を語る上で欠かせないのが「建築士」と呼ばれる人たちの仕事です。
この資格を持つ人たちの仕事は建築物を造る上で欠かせないのですが、等級などで区分されていることもあり、仕事の内容が具体的には案外知られていないのでは無いかと思われます。
そこで、ここでは建築士を取り上げて「どの様な仕事」か「等級の違いによってどの様に違うのか」を解説したいと思います。
建築士の仕事とはどんな物か
まずは建築士の仕事について挙げてみましょう。
建築士と聞くと建物の図面を引く仕事と思えるかも知れませんが、実はそれだけでは無く、施工に関する仕事もしているのです。
建築物の設計をする仕事
まず第1に挙げられるのが「建築物の設計をする仕事」です。
建築物は施主の挙げる指示や、施主の描いたイメージを建築物として具現化し、それを図面に描き起こす仕事です。しかし、建築物の設計は建物の外観や内装だけではありません。必要となる機能を検討し、そのための設計にも当たるのです。
さて、建築物は前提として建築法規を遵守する必要があります。建築法規には建築物の耐震性や防火性など、様々な性能や仕様が細かく規定されています。仮にその規定を守らないならば、違法建築物になってしまうので、良くありません。仮にモダンなデザインを狙った設計としたとしても、法規に則っていなければ、それは法的にアウトとなってしまうのです。
また、今の建築技術は日進月歩。しかも大きな建設会社は新しい建築技術を研究していますので、常に情報を収集していなくてはいけません。ある意味において、一級建築士は毎日が挑戦の連続なのです。
建築物の施工に携わる仕事
第2に挙げられるのが施工に関する仕事です。
建築物は図面を書くだけでなく、図面通りに造らなければ意味がありません。そのため、工事の段階で確認作業が入るのですが、この確認作業にも建築士が携わります。
建築に携わる建設会社はプロの集団ではあるのですが、作業するのは人であるため、ミスを起こすかも知れません。しかし、建築士がチェックすることにより、不具合点などがあれば是正することも出来る様になります。
確実に建物が出来ているかどうかの確認は非常に大切。建築士の施工監理の仕事は大切なのです。
建築士は建築士法と言う法律を元にした資格
建築士とは国家資格で「建築士法」という法律を元にしている資格です。建築士法は建築設計や工事監理の技術者の資格を定めて、より良い建築物を作るための法律と言えます。資格としては扱う物の規模により、一級建築士、二級建築士、木造建築士に分けています。
建築物は安全性や意匠性、そして経済性などの様々な条件を同時に実現させなければなりません。建築士法は、その様な品質の高い建築物を造り出すための法律とも言えるのです。
等級による違いについて
前述の様に建築士は一級建築士、二級建築士、木造建築士の3つに分かれます。
等級によって可能な仕事は異なります。それぞれの資格について挙げてみましょう。
一級建築士
建築物であれば何でも扱うことが可能な資格です。ですから、戸建て住宅やマンションだけでなく、高層ビルや学校、そして病院なども扱うことが可能です。
さて、建築物の特性として、戸建て住宅とマンションなどは全く異なります。マンションなどのビル建築であれば戸建て住宅などとも耐震性や耐風圧など、建物に加わる条件が違うから。一級建築士はその様な構造を使い分けながら設計をしているのです。
尚、一級建築士の資格は簡単には取れません。その様な構造物を設計するのですから、非常に高いレベルの資格。取得が困難なのです。
二級建築士
二級建築士は設計可能な建築物が限定されます。戸建て住宅のレベルまでが設計可能です。
戸建て住宅と言っても、今の住宅はテクノロジーの結晶とも言える物。様々な技術を知らなければなりません。構造にしろ防災にしろ、戸建て住宅を設計するためには多くの知識が必要なのです。
木造建築士
木造建築士とは戸建て住宅レベルの木造建築物の設計が可能な資格です。その様に見ると、木造建築士の出番は非常に少ない様に見えるかも知れません。しかし、日本の住宅はまだまだ木造の在来工法が大半を占めるため、木造住宅を扱える技術者が必要なのです。
また、木造住宅であっても様々な知識を習得しなければなりません。決してハードルは低いとは言えないのです。
まとめ
建築士の仕事と等級の違いについて紹介しました。それぞれの仕事についてイメージが出来たことと思います。
また、資格としてのレベルの高さも分かったことと思います。
日本の国土は地震や台風など、様々な自然災害が襲い掛かる場所。しかし、そんな困難な環境にあっても安全に生活出来るのは、しっかりした建物があってのこと。建築士はその様な生活の安全を陰で支えるエンジニアと言うことが出来るのです。