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私たち学びエイドは、インターネットによる教育サービスの企画開発・提供や教育機関向けコンサルティング、学習塾の運営を行っています。
当社は創立10周年にあたる2024年にIPOを行いました。そこで、今回は代表取締役の廣政社長にインタビューを実施。IPOに至った背景や、今後の事業の展望などを伺いました。
上場が新たなビジネスチャンスを生み出すきっかけに
――学びエイドは2024年5月にIPOを行いましたが、いつごろから上場を考え始めたのでしょうか。
2015年の創業当初から、1日も早く上場したいと考えていました。実際に監査法人や証券会社とのやりとりを開始したのは2020年頃からです。経営環境や組織体制が整ってきたことから、本年IPOを行うに至りました。
――IPOを実現するにあたって、苦労した事柄はありますか?
実はほとんどないんですよ。それもすべて、創業当初から組織の文化づくりに尽力し、代表としての心がまえを持ったうえで経営を進めていたからです。
IPOは、いわば大学受験の「推薦入試」のようなものです。推薦入試で合格するためには内申点が必要ですが、高校生活で高い内申点を取るためには素行が優れていること、そして学業できちんと成績を取ることが求められます。今のたとえにおいて、高校を「証券会社」に。素行や成績を「経営活動や業績」に置き換えてみるとイメージがしやすいでしょう。
また、学校推薦では、高校内での選考に受かると大学で簡単な試験がありますが、それが「東証」にあたりますね。無事に大学の試験まで進めば、不合格になるケースは少ないと言えます。IPOも同様に、四半期の予算・決算の管理や報告などを毎回しっかりと行っていれば、そこまで難しいものではありません。
むしろ当社は、東証グロース市場に上場する企業のなかでも、売上や利益は下から数えたほうが早いレベルです。それにも関わらず上場できた点は大きな誇りであり、自信にもなりました。
――上場を果たしたことで、どのようなメリットがありましたか?
まず、会社としての信頼度の面でとても大きなメリットがありました。特に当社は老舗の出版社などとお取引をするケースが多いのですが、会社の「認知」が高まると同時に、「信用」を獲得するきっかけになっています。また、最近は教育関連以外の企業からも、コラボレーションのご相談をいただく機会が増えました。新規顧客の開拓や販路の拡大という点で、良い効果が現れていると感じます。
さらに、当社内の雰囲気に関しても、以前にも増して前向きなエネルギーが感じられるようになりました。ダイナミックにさまざまな経験にチャレンジできる空気感というのでしょうか。一段と社内の士気が高まったことを実感しています。
教育的知見を用いて社会人教育ビジネスにも参入
――上場を契機に、今後はどのような事業に挑戦していきたいですか?
ビジネスの幅が広がったことにより、もっと多様な教育に貢献したいと考えています。その1つが、社会人に対する教育です。当社がこれまで小中高校生向け事業において培ってきた「教育的知見」を、もっと上の世代や階層の人たちに展開していく予定です。
40〜50年前と比べると、最近は“何となく”大学に進学する学生が増えてきました。管理をされるのが当然だという思考が強く、自律意識が不足した学生たちが社会人になっていく。一方で、企業が行う教育や研修はかつてと変わらず、本当に効果が発揮できているかという点に疑問が残ります。
そのような課題に対して、当社は行動変容を重視した教育プログラムを提供できる強みを持っています。例えば、最近の若手世代に向けてTikTok風の動画マニュアルを作成し、仕事の目的や方法を伝えていく。
当社が大切にする教育的知見とは、まさに「教えられる側」の立場に立った教育を主体としており、彼らのニーズを踏まえた研修プログラムやマニュアル作成を実現したいのです。その際に、当社が得意とする「デジタル」を通じた教育と、「リアル」の教育の黄金比を踏まえながら、さまざまな企業に対して最も効果の上がる施策を提案していきたいと考えています。
――なるほど、新たな領域に事業の幅を広げていくのですね。
そうですね。人材の流動化が進む昨今の状況を鑑みると、人材教育の効率化は多くの企業にとって喫緊の課題になっているのではないでしょうか。実際にマーケットの規模も大きいため、今後は社会人教育事業に関するリソースを強化していく見込みです。
もちろん、これまで当社が注力してきた小中高生向けの教育にも尽力していきます。例えば、オンライン鉄人予備校「テツヨビ」が1つの取り組みです。塾内に予備校を作ることで、学習管理や大学受験情報の発信などをサポートするサービスですが、学びエイドが提供する7万本以上に及ぶマイクロ講義をより活用していただくことを目的としてます。
当社は、教育業界ではある種特殊なサービス展開をしており、いわば“半導体メーカー”のような立ち位置です。みなさんがPCを買うときに、どのメーカーやブランドの製品かを気にするかと思いますが、PC内部の半導体の種類まで確認することはありませんよね。同時に、競合するPCメーカー同士が、同じ半導体メーカーの製品を使っているケースもあるでしょう。
同じように、当社の映像コンテンツは、ライバルの塾であっても同じものを使っていただいています。蓋を開けてみると「これも学びエイドが作ったコンテンツなんだ」という状態ですね。そのような価値提供のスタイルを今後も継続していきたいですし、より多くの学習塾にご利用いただけるよう展開していきます。
――まさに「モジュール」コンテンツの強みを今後も活かしていくということですね。
はい。提供先(学習塾)は競合同士でも、モジュールの組み合わせは無限にありますから、いくらでもカスタマイズができるんですよ。お客様のニーズに沿って、それぞれの塾オリジナルのコンテンツを作り上げることが可能になります。
従来型の映像教材は90分のコンテンツが中心であり、映像内での講師たちのパフォーマンスやアプローチを通じていかに生徒のモチベーションを高めるかが主眼となっています。いわば、情緒的な価値を提供しているわけですね。一方で当社の教材は、1つの項目をいかに効率的に学ぶかを重視しており、多くのコンテンツが5分以内の講義です。つまり、「機能的な価値」のみを映像に詰め込んでいるのです。
ですから、その価値を感じてもらえないと「つまらない授業」だと思われてしまいがちな側面もあります。でも、みなさんがGoogle MAPを使う際に、エンタメ要素を求めますか?目的地に行きたいというモチベーションがあるわけですから、必要な機能は最低限で構わないですよね。同様に、関係代名詞の非制限用法を学びたいというモチベーションに対して、検索したらすぐに映像教材が見つかり、5分程度でシンプルに要点を学べたらどうでしょうか。生徒自身の集中力もタイムパフォーマンスも向上できるのではないでしょうか。
今の時代に即した学習方法として、各コンテンツをさらに充実させていくことも今後の目標です。
ピンチの場面を楽しみながら乗り越えられる人材が活躍できる会社
――今後学びエイドをどのような組織にしていきたいですか?
当社の企業理念である『Be a player.』に表現されるように、何でも楽しめる前向きな人たちで溢れる組織にしたいですね。大小問わずトラブルに遭遇した際に、ネガティブになるのではなく、楽しみながら立ち向かえる人を求めています。『ルパン三世』に出てくる次元大介の名セリフに「さて面白くなってきやがった」という言葉がありますが、まさにそんなイメージです(笑)。ピンチのときこそ、自分への期待感を持ちながら、解決に向けた道を模索していく。私自身も常に意識している考え方ですし、社員たちにもそのようにあってほしいと願っています。
――「何事も楽しめる前向きさ」というお話がありましたが、新たな事業を展開するうえで、他に求める人物像があれば教えてください。
「読解力」のある人材を増やしたいですね。上場したことで、対峙する方々のレベルがより高くなっている状況です。先ほどお話しした社会人教育や企業向けのマニュアルなどを作るにあたっても、相手の背景や真意などを汲み取る読解力がないと、十分な成果を提供できないでしょう。クライアントとのコミュニケーションを円滑に進めるためにも、「空気を読む」スキルが必要不可欠だと考えています。
――最後に、求職者のみなさんへメッセージをお願いします!
当社の仕事はもちろん楽しいことばかりではなく、やらなければならないことや、厳しさを感じる側面もあるかと思います。ただ、前向きな人たちが集まっている分、みなで解決していこうというポジティブな一体感が生まれる点が当社の特徴です。また、一人ひとりに与えられた裁量が大きく、高い志を持って挑戦できる環境があることも大きな魅力でしょう。
創立10周年を迎え、なお日々進化しつづける学びエイドとともに成長したいという意欲を持った方に来ていただけたら嬉しいですね。