大手企業の伴走者としてオープンイノベーションを支援するPartner SuccessTeamとは
Plug and Play Japanには、企業パートナー*1のオープンイノベーション(以下、OI)の推進・活性化をサポートする「Partner Success(以下、PS)」というポジションがあります。PSは大手企業のイノベーションとスタートアップの成長を支援し、両者の間を繋ぐ重要な役割を果たしています。
本記事ではSenior Partner Sucess Managerの2名にインタビューをし、大手企業に提供している支援内容やPSチームでの取り組み、仕事のやりがいなどについてお伝えしていきます。
ーーPartner Success Teamについて教えてください。
Iris:
現在、PS Teamには10名以上のメンバーが在籍しています。基本的には、メンバーはPlug and Play Japanが運営している8つのVertical*2の中で特定のVerticalに所属し、そのVerticalに参画している企業パートナーの伴走者として活動しています。
私は現在Health Verticalに所属し、デジタルヘルス・ライフサイエンス領域において医療機器関連企業を中心とした企業をサポートしています。
Isamu:
私はInsurtech Vertical所属として、保険業界のイノベーションを支援しながら周辺領域である金融やヘルスケアも取り扱っています。担当企業に対して個社別のOI支援を提供するだけではなく、Plug and Play Japanに現在参画している全ての企業パートナー向けに施策を提供することもあり、支援内容は多岐にわたります。
ーー”伴走者”ということですが、具体的にどのような支援を提供しているのでしょうか。
Iris:
OI活動といっても、大手企業によっては活動を始めたばかりのところもあれば、10年以上取り組んでいらっしゃる企業もあります。また、大手企業が置かれている状況や抱えている課題、業界のトレンドなども千差万別です。そのため、まずは各企業の課題やニーズ、要望などを丁寧にヒアリングし、成し遂げたい目標をすり合わせたうえで、年間の実行計画をたてます。
そのうえで企業のニーズに沿って、ワークショップや勉強会の実施、国内外スタートアップとのマッチングや新規事業立ち上げのサポート、協業先や出資先の探索などの支援を幅広く提供しています。
Isamu:
大前提として、現在の予測不能かつ変化が激しい時代の中で大手企業が成長を続けていくためには、外部連携が不可避だと考えています。そのうえで、Plug and Playが得意とする国内外スタートアップとのネットワークや、多数の大手企業とのリレーション、アカデミアや政府機関との関係を活かし、スタートアップ1社との協業に留まらず、1つの社会課題に対して産官学で連携し、新規事業アイデアを検討する場の提供もしています。
また、企業パートナーとは共に企業課題や社会課題に向き合い解決するパートナーとして、スタートアップとの実証実験や他社との協業において、大手企業ならではの豊富な知見などの社内アセットをご提供いただくなど、ギブしていただくことが多々あります。OI活動を促進するうえで、社内理解の促進や社内における協力体制の構築、OIマインドの醸成を目的に事業部や新入社員向けにワークショップを一緒に企画・実施したりするなど、サービス提供者と受給者という立場ではなく、一緒に取り組むことが重要だと考えています。
(複数社による協業事例はこちらをご覧ください)
ーー大手企業と共にOIに取り組むうえで、PSとして大切にしていることはありますか。
Isamu:
企業パートナーの皆様は、「外部連携を実現することで新しい収益源を見出したい」「有望なスタートアップに投資していきたい」など、さまざまな目的を持ってPlug and Play Japanを選んでくださいます。OI活動は短期間で成果がでるものではないため、私たちは企業パートナーが何を成し遂げたいのかをしっかり理解し、各社が掲げる目標の実現に向け、年間の具体的なアクションプランに一緒に落とし込んでいくようにしています。そのうえで、企業パートナーの方々と頻度高くミーティングを設け、個別スタートアップとの協業を進めるための提案から、新規事業における中長期的な戦略の話まで、丁寧にすり合わせをしながらネクストステップを確認するプロセスを必ず持つようにしています。
Iris:
企業パートナーのニーズに沿ったパーソナライズ支援を提供している一方で、Plug and Play Japanとしては、スタートアップの成長を支援するアクセラレーターの側面も持っており、当社ではアクセラレータープログラム*3を年2回開催しています。
アクセラレータープログラムはスタートアップの成長を目的としているため、企業パートナーの方々には大手企業の経験や知見から、スタートアップのサービスや製品に対してフィードバックをしていただきます。とはいえ、大手企業にとってもインサイトを与えるだけではなく、異業種・異分野の情報に触れることで新たな知見や発想を得られる有効的な場としてもご活用いただけます。そのため、企業パートナーの皆様には、興味・領域外であっても広範にアンテナを立て、イノベーティブな技術やアイデアの情報を収集できる場と捉えていただけるよう、コミュニケーションを取るようにしています。
(メンバーでミーティングをしている様子)
ーー現在チームで取り組んでいることについて教えてください。
Iris:
全ての企業パートナーを対象とする全体施策としては大きく2つあります。まず1つ目は、「Champion Boot Camp」です。第1回目のChampion Boot Campでは、大手企業のOI活動におけるノウハウシェアリングとChamion同士の交流を目的に実施し、60名以上の企業パートナーの方々にご参加いただきました。そもそもChampionとは、当社のプラットフォームに参画するうえで窓口となり、OI活動を大手企業内の中心的存在として進めていく担当者を指していますが、自分から担当を志願する方ばかりではなく、会社の方針で担当者としてアサインされる方も多くいらっしゃいます。そのため、OI活動の推進経験は少なく模索している状況が多々見受けられたため、ある程度ベストプラクティスを出せた大手企業の方々に事業部連携や経営陣の巻き込み方など、具体的な事例を踏まえながらナレッジシェアをいただきました。このようなお互いに勉強しあえる場を提供できたことはChampion Boot Campで提供できた価値の一つだと考えています。
また、私たちは伴走者とはいえ、OI活動を実行するのはあくまでChampionの皆さんになります。OIへの理解やマインドセットが社内に醸成されていないフェーズでは、担当者は孤独になりがちです。また、自社の取り組みが正解かどうかがわからない不安な気持ちも抱えている中で、企業パートナー同士でサポートしあえるようにネットワーク構築も目的とした内容にしたことで、参加者の方々から好評をいただきました。さらに企業パートナーのみが参加できるクローズドなセッションとしたことで、率直な意見交換にも繋がったことも高い評価に繋がり、この取り組みは今後も定期的に開催していきたいと考えています。
Isamu:
もう1つの施策としては、Plug and Play Japanが創業して7年経つ中で蓄積されてきたスタートアップのデータベースと、Plug and Playグループで持ち合わせるデータベースを掛け合わせ、開示情報を集約した情報プラットフォームでは得られない当社独自のリッチな情報を提供していくことです。過去の協業の成功事例や途中で頓挫してしまった事例などを分析し、ボトルネックになりがちな部分やどうしたら課題を解決し実装まで持っていけるのか、競合優位性や協業をするうえでの検討ポイント、どのような企業との事業シナジーが高く、どういうステップを踏むことで結果に繋がりやすくなるのかなど、スタートアップに関して幅広く、かつ深掘りした情報をスタートアップの紹介や協業の提案と併せて弊社独自のインサイトとして提供することで、より付加価値の高いサービスを提供できると考えています。
ーーどんな時にやりがいを感じますか。
Iris:
OI活動に正解はないからこそ、企業パートナーの皆さんと共に試行錯誤しながら歩みを進め、結果的にパートナー企業内でOIに対するマインド醸成ができたり、事業部を巻き込みながらスタートアップとの連携が実現できたりと、日々の活動の積み重ねによる結果が見えた時には大きなやりがいを感じます。
例えばある企業では、事業部を巻き込むハードルが非常に高く、Championの方々も苦労されていました。それが一緒に取り組む中で徐々に社内の仲間も増えていき、今ではSub-Championと呼ばれるOI推進メンバーが各事業部にアサインされ、体制を構築できるまでになりました。また、組織としてプロジェクトを動かしていくためには、意思決定層である上層部にOI活動を見える化しながら理解を得て、巻き込んでいくことが重要です。この企業は、定期的に上層部にも報告しながら活動を継続されており、結果も出てきているため、このような好事例が生まれる時は本当に嬉しく感じます。
Isamu:
大手企業やスタートアップから感謝される瞬間がシンプルに一番嬉しいですね。
また、こちらがこれまで培ってきた経験や知識から課題に対する解決案をご提案した際に、提案内容に対して新たな気付きを得られたと言ってもらえる時などはやりがいを感じます。
ーーどんな人と一緒に働きたいですか?
Iris:
自分の成功ではなく、他人の成功や幸せの実現に向けて行動できる人が向いていると思います。 あくまでも私たちは伴走する側なので、顧客の課題がどこにあり、何を求めているのかを考えながら、日々のコミュニケーションで信頼関係を構築した上で一緒に取り組んでいくことは、このポジションの本質的な部分だと考えています。 大手企業の支援パートナーとして、OI活動で課題を解決しながら進んでいく自信のある方にぜひジョインしていただきたいです。
Isamu:
大手企業に何に興味を持ってもらえるのか、感度を日々研ぎ澄ませながらスタートアップの最新トレンドや新しい技術情報などを自発的に情報提供していくため、お節介だと思われるくらいギブの精神が強い人が向いていると思います。
大手企業の課題の棚卸しをしたうえで、その課題を解決するスタートアップを紹介すれば、スタートアップにとってもビジネス機会にもなり、しいてはスタートアップ支援にもつながるわけです。私たちの仕事は大手企業のOI活動支援だけではなく、大手企業とスタートアップを繋げる橋渡し的役割もあるため、両者に携わりたいという方にはぴったりのポジションだと思います。
また企業カルチャーとしても、本社があるシリコンバレーの自由闊達でポジティブな雰囲気があり、役職やチームの垣根を超えてフラットにコミュニケーションが取れる組織でもあります。挑戦したいことがあれば社内で提案できる仕組みもあるので、Plug and Playのカルチャーに共感し、失敗を恐れず目標に向かって挑戦し続けられる方のご応募をお待ちしております!
1:Plug and Play Japanでは、企業パートナーの注力分野や技術ニーズに基づいて、「バーティカル」と呼ばれる業界テーマごとにスタートアップを支援しています。2023年8月現在ではFintech(金融サービス), Insurtech(保険), Mobility(自動車・運輸・物流), Health(医療・製薬), Smart Cities(建設・不動産), New Materials(素材・化学), Energy(エネルギー), Food & Beverage(食品・飲料)の8バーティカルを運営しています。
2:企業パートナー:関心領域の事業課題や技術フォーカス分野におけるスタートアップとの協業促進を目的としたパートナー契約をした企業
3:アクセラレータープログラム:Plug and Play Japanが提供するアクセラレータープログラムとは、大手企業と国内外のスタートアップを結び、イノベーションを創出することを目的としています。本プログラムを通し、大手企業は自社のイノベーションを加速させる国内外スタートアップとのマッチングが可能になり、スタートアップは幅広く大手企業との連携機会を得られます。国内だけでは得られないようなイノベーションに関する最新情報を取得できるほか、業界の垣根を超えた交流が生まれる場となっています。