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障害者の埋もれた能力を掘り起こそう【ダイバーシティーで目指すもの】

written by:https://salesbox-inc.com/

日本には900万人を超える障害者が居住しています。障害者は保護されるべきだという考えから、今は、共生を目指す社会に変わりつつあります。共生を促進するためITを利用したマッチングサービスなども始まり、障害者のポテンシャルを引き出す取り組みが進められています。

今回は、障害者ならではの気づきの視点から、障害の程度や内容を細かく分析し、活用されずに埋もれている能力を掘り起こすことで、一人一人が障害に関係なく活躍できる社会の実現を目指す取り組みに注目しました。

|最低限のサポートがあれば活躍できる

街を歩いていると、車いすで移動している人や、白いつえをついて黄色い点字ブロックの上を歩いている人の姿を見かけます。しかし、障害者は身体に障害がある人だけではありません。

知的障害がある人、精神障害がある人も含め、厚生労働省の調査によると、日本にはおよそ963万人もの人が何らかの障害を持って暮らしています。全人口の約7.6パーセント、およそ13人に1人の割合です。


日本の障害者人口(厚生労働省の統計より)

この中には生まれつき障害を有している人もいれば、事故や病気で障害を持つことになった人もいます。また、精神障害者の中には認知症を患った高齢者も含まれます。このように障害の部位や程度は千差万別で、必要となるサポートも人によってそれぞれ異なります。

そして、最低限のサポートさえあれば社会で大いに活躍できるという人も少なくありません。アクティベートラボ(東京都新宿区)の代表取締役を務める増本裕司さんもその1人です。2009年に脳出血で倒れ右半身まひとなってしまったが、その経験を糧として2015年に起業し、障害者が生き生きと働ける社会の実現を目指してさまざまな事業を展開しています。

|雇用の共生を妨げる情報不足

ところが、増本さんのようにビジネスの最前線で実力を発揮している人はほんの一握りです。民間企業や公的機関で働く障害者はおよそ70万人で、全体の1割にも満たない。

その背景には、ほんの十数年前まで障害者は保護の対象で、積極的に活躍してもらおうという意識が希薄だったという事情があります」と増本さんは説明します。

2008年に国連で障害者権利条約が採択され、翌年に日本が批准。同じ頃からパラスポーツへの関心が徐々に高まり、日本国内でも障害者と共生しようという意識が高まりつつあります。ビジネスにおいても、障害者と就労継続支援事業所をITでマッチングするサービスへの協力事業所数が1000を超えるなど、共生を目指す取り組みが進んでいます。

また、障害者雇用促進法では、民間企業や公的機関などの事業主に対し、常時雇用する従業員の一定割合(法定雇用率)以上の障害者を雇うことを義務付けています。しかしながら、雇用の大部分を占める民間は、まだ法定雇用率2.3パーセントをクリアできていません。10年前に比べて増えてはいるものの、幅広く活躍する環境には至っていないのが現状です。

民間企業における実雇用率と雇用されている障害者の数の推移(厚生労働省「令和3年 障害者雇用状況の集計結果」より)

問題はそれだけではありません」と増本さんは指摘しています。

(増本さん)「私自身、障害者になってから職探しをして、いろいろと情報を収集したのですが、必要な情報を見つけるのに苦労しました。障害は人によってそれぞれ異なるのに、一口に障害者と言われても、どの情報が自分にとって役立つのかわかりませんよね。」

求人を見つけて選考に進んでからも、苦労は絶えませんでした。

(増本さん)「何十社も面接を受けましたが、聞かれるのは障害のことばかりで、私の能力やできることに関しては全く聞かれませんでした。障害者の活躍に期待しているのではなく、法定雇用率をクリアするための数合わせにすぎなかったのです。

|原因がわかれば対応は体系的に

この実情を体感した増本さんは、自ら起業してビジネスを始めることにしました。障害者がそれぞれの能力を生かして社会で活躍できるようにするためには、まず適切な情報やサービスを提供できるようにしなければならないというのが増本さんの考えでした。

退院してから4年間にわたってリハビリに通っていた増本さんは、そこでたくさんの障害者と出会い、さまざまな障害について調べていくうちに、だんだん自分なりの分析ができるようになったといいます。

そして、増本さんが得た結論は「実は、障害というのは化学のように原因や状況をとらえて説明することができる」ということだった。

一例を挙げると、「うつ病は脳内のセロトニンという物質の欠乏が関連しています。このように障害を化学反応のようにとらえて対策を考えると、明快でわかりやすい気がします。ボランティア精神によるサポートだけだと、それで終わってしまって次につながりません。ところが、原因がわかれば、障害によって体系的な対応策を考えることができるんです」と増本さん。

|マッチングエンジンで部位を細分化

 の対応策を実践すべく、増本さんは新たな仕組みの構築を始めました。まず初めに開発したのが障害者同士で情報を交換・共有できるプラットフォーム「OpenGate」。そして、同じ障害をもつ人がわかるように、障害の部位を細分化したマッチングエンジン「ブイくん」が組み込まれました。

身体障害者の場合、現在の障害者手帳では部位の分類が上半身、下半身の2種類しかありません。すると、増本さんはまひしているのが右半身のみで、左手も左足も自由に使えるにもかかわらず上半身、下半身とも重症になってしまう。

これでは障害について正確な情報は伝わりません。そこで、全身の部位を細かく分け、各人がイラストをクリックすることで自分の障害について発信できるようにしました。こうすると、同じ障害を有する人同士で有益な情報を共有できます。


増本さんが開発したマッチングエンジン「ブイくん」は、身体障害の可視化を実現した(アクティベートラボ提供)

さらに、増本さんたちは「障害者翻訳システム」を開発し、特許も取得しました。これで企業の人事担当者に、各人の障害に関する詳しい情報や必要な配慮を出力して提供します。

企業側も、障害者と言うだけでは対処できなかったことが、個々の障害の内容や程度がわかることで考慮すべき点が明確になり、対応方法や業務内容などが具体的に考えられるようになります。加えて、アクティベートラボでは障害者雇用コンサルティングを行っており、障害者目線でのアドバイスによって採用活動を支援しています。

このように対象をひとくくりにせず、中の多様性を分析して分類し、価値を創出するアプローチはビジネスの世界で有効な手段と考えられています。しかし、それを障害というフィールドに当てはめて、眠っていた能力を社会に活かす取り組みは斬新です。

このシステムによって担当者は選考過程に入る前に障害について理解でき、面接においては各人のスキルや強みを聞くことができます。増本さんがかつて味わったような、障害のことしか聞かれない面接から脱却できるのです。

障害者がもっと社会で活躍できるようになれば、移動や実務において彼らをサポートするための手段が考えられ、新たな技術が開発されるでしょう。その中には障害者だけでなく健常者にとっても有益な技術もあるに違いありません。

|より多くの障害者が活躍できるように

脳出血によって発話も不自由になったという増本さんですが、現在の流ちょうな話しぶりからはとても想像ができません。障害者の思いを伝えるには自ら話さなければならないと社員たちに言われ、経営者としてビジネスを成功させるために必死で取り組んだのだそうです。


(増本さん)「ほとんどの障害者はそんな環境に置かれないと思うんです。」

しかし、アクティベートラボの社員たちの熱意と増本さんへの信頼によって、頑張らなければならない環境が形成され、それに増本さんが応えて努力しました。その結果、障害について自ら発信できるようになり、社会に役立つシステムを生み出すことにつながった。人によって環境はさまざまで、一概には言えないけれども、あきらめずにリハビリを続けることでできることもあるようです。

 (増本さん)「これからは教育が大切です。できることをできる範囲で、いかに実現するかを教えることが大切なんだろうなという気がします。」

加えて、異なる障害を一括でとらえるような法律の不備を改善することも必要だと増本さんは考えています。

(増本さん)「近いうちに、システムを再設計してクラウド化しようと計画しています。いずれは日本だけでなく世界に持っていきたいですね。」

アクティベートラボからアクティベートキャリアへ

株式会社アクティベートラボを立ち上げた増本さんですが、現在は株式会社アクティベートキャリアにて主席研究員としても活躍しています。

アクティベートラボではITやAIを駆使して障害者のデジタルデバイドを解消、特に「働くこと」で社会参加する障害者を増やしていくために必要なことを準備。現在アクティベートキャリアにて代表取締役の大神田さんとともに、障害者雇用の発展に尽力しています。

最後に

株式会社アクティベートキャリアは障害者の雇用を通じて障害の有無に関係なく誰もが活き活きと働ける環境を提供する会社です。

定着支援やセミナーの開催など障害者雇用に関する様々なサービスを提供し、企業およびそこで働く障害者のサポートをすることが私たちのミッションです。

この記事で新しくアクティベートキャリアに興味を持ってもらえたなら幸いです、また関心を持たれた方は、アクティベートキャリアにカジュアル面談や選考にぜひご応募ください!

引用元:https://scienceportal.jst.go.jp/gateway/sciencewindow/20220810_w01/

written by:https://salesbox-inc.com/

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