【技術監修者インタビュー】お客様の人生に伴走できるトレーナーを育てたい。本場アメリカで学んだスペシャリストがBFMにジョインした理由
設立から3年目を迎えたBFM。パーソナルトレーニングジム『BEST FIT ME』を中心としたフィットネス事業は、着実に会員数を伸ばしています。
今回は『BEST FIT ME』の技術責任者としてジョインした井上さんにインタビュー。本場・アメリカで学んだアスレティックトレーナーとして経験を積み、一般向け女性のフィットネスでも数多くの実績を残してきた井上さんのキャリアや当社にジョインした理由、トレーナー育成への思いについて伺いました。
井上 かな映 / BEST FIT ME 技術監修者
2005年に渡米。2008年に米国ネブラスカ大学オマハ校大学院を卒業し、アメリカの国家資格『BOC公認アスレティックトレーナー』を取得。その後、WNBAヒューストンコメッツでトレーナー経験を積む。2010年に帰国し、女子バスケットボール部の専属アスレティックトレーナーを務めた後、フリーランスとしてアスリートをサポート。2019年から東京都世田谷区内にて一般女性向けのピラティス&パーソナルトレーニングジムを経営するかたわら、講師としてトレーナーの育成にも注力している。2022年11月に株式会社TORCHを設立。2023年より『BEST FIT ME』の技術監修者としても活躍中。
アメリカで学ぶ日々から訪れた転機
ーーまずは、井上さんがトレーナーを目指したきっかけを教えてください。
高校までバスケットボールをプレーしていましたが、私はケガが多かったんです。ただ、地方に住んでいたこともあって治療やリハビリを満足に受けられる環境がなくて。
スポーツ選手がどのようにケガから回復してパフォーマンスを出していくのか、高校生ながらずっと考えていたんですね。その経験がきっかけとなり、トレーナーを目指しました。
ーーどのような環境で学ばれたんですか?
まずは大学で解剖学やスポーツ医科学全般を学び、バスケットボールやアメリカンフットボールなどさまざまなスポーツで学生トレーナーを務め、コンディショニングやリハビリの経験を積みました。
そして、大学卒業後には「本場のアスレティックトレーニングを学び、プロスポーツの場で活躍したい」と考え、アメリカの大学に留学しました。国家資格のアスレティックトレーナー資格を取得し、WNBAに所属するチームのトレーナーも務めることができました。
ーー順調に思いを叶えていく中、井上さんは23歳で日本に帰国しました。その理由は。
母が病気により、51歳でこの世を去りました。当時私はアスリートの健康管理を担うスペシャリストを歩みながら、身近な人の健康を守れなかった。大きなショックを受けるなかで「人の健康を守るためには、アスリート向けのトレーニング以外にも方法があるのではないか」とキャリアを再考したんですね。そこで、トレーナーを軸に仕事の幅を広げようと考え、マッサージやコレクティブ・エクササイズ、ピラティスなどさまざまな領域を学びました。
2010年の帰国後、日本の女子バスケットボールチーム・JALラビッツでトレーナーを務めたことで私の目標は1つ達成できました。そこで、アスリートの健康管理やパフォーマンスサポートは継続しながら、一般の方を対象としたパーソナルトレーニングに取り組むことを決意します。
ーーフィットネス分野でのキャリアをスタートされて、2019年からピラティス&パーソナルトレーニングのスタジオを経営するなど活躍の場を広げていますね。
そうですね。私は女性からご依頼をうける機会が多かったこともあり、女性の体の特徴をあらためて学び、試行錯誤しながらプログラムを作っていきました。
健康でしなやかなカラダを創る『美トレ』や、自身の出産経験を経てスタートした『産前産後トレーニングプログラム』などのエクササイズが、その一例です。
フィットネス領域で感じる確かなやりがい
ーーアスリートのトレーニングをサポートしてきた一方で、一般の方に教えていくギャップはありましたか?
当初はやはり感じましたね。特に普段から運動習慣がない方は、基本的なトレーニングもなかなかハードルが高いんですね。しだいに相手に寄り添う姿勢を学び、トレーニングするうちに楽しさを見出しました。
体が整うと、本当にみなさん心も整っていきます。少しずつ前向きになって、人生が変わっていく人たちを目の当たりにしました。
それまではアスリートを対象にした、ある意味華やかなシーンでトレーナーを務めてきました。その一方で、一般の方向けのフィットネスにも楽しさと大きなやりがいをたしかに感じています。
ーーフィットネス領域でのキャリアも積みはじめたなかで、当社との取り組みをスタートしたきっかけを教えてください。
ピラティス&パーソナルトレーニングのスタジオをオープン後、同時期から講師としてトレーナーの育成もはじめました。あるときに、トレーナーを養成する専門学校での教え子から紹介される形で、代表の山本さんに会う機会があったんですね。
その際に、山本さんから『BEST FIT ME』が目指す方向性をお聞きして。私が「利用者に寄り添い、健やかなライフスタイルを実現をサポートできるトレーナーをもっと増やしたい」と考え授業や講座で実践する中、私の想いとBEST FIT MEが描くビジョンとマッチしていると感じ、『BEST FIT ME』のトレーナーの育成をサポートする技術監修者としてジョインしました。
より多くの人に質の高いトレーニングを
ーー『BEST FIT ME』に共感してジョインしたんですね。具体的には、どのような点に心が動いたのでしょうか。
山本さんは「ビジネスの側面からマーケティングに力を入れてジムに集客することは重要。そのうえで、トレーニングプログラムやサービスのクオリティにもっとこだわりたい」と話していました。トレーニング、フィジカルコンディショニング、カスタマーサービス(=顧客満足度)を高めるために、私が持つフィットネスの知識やスキル、お客様とのコミュニケーションで大切にするポイントをトレーナーに伝えながら、育成をリードしてほしいというお話でした。
私は小さなジムを運営していますが、もう完全に知識とスキルのみを活かして経営してるようなものです。マーケティングに注力しているわけではないので、私ができることはお客様に満足していただいてずっと通ってもらうことに尽きるんですね。実際に、14~15年間通い続けていただいている方もいます。「BFMが持つマーケティングの強みと私の経験・スキル・クオリティが一緒になれば、相乗効果により多くの人にアプローチすることが叶うのではないか」と、大きな期待感を抱きました。
そして“真摯さ”を感じたことも大きかったですね。山本さんとディスカッションを重ねて理解し合えたと感じましたし、事業を着実に推進する実行力も高く、信頼できると思いました。
ーーどのような点に真摯さを感じましたか?
たとえば、トレーナーの教育プログラムの方針ですね。私はずっと講師も務めてきたこともあり、BFMのトレーナー向け教育プログラムは当初スキルアップを重視した構成にしていました。
ただ、山本さんには「中長期的な目線で考えて、『BEST FIT ME』のトレーナーたちが自走してサービスを提供できるプログラムとしたい。井上さんに指導し続けてもらうスタイルにはしたくないです」と話されたんです。
ーー率直に意見交換していたんですね。
あくまでビジネス的な意味合いで考えれば、私は継続的にご依頼いただいた方がいいですよね。ただ、教育的な観点では「教えを受けたトレーナーは、将来自走できた方が絶対にいい」という思いは私にもあって。
私もそのような育成を実践したいとずっと思っていたので、山本さんのお話を聞いて納得しました。
ーー現在『BEST FIT ME』のトレーナーには、どのようなプログラムで教えているんですか?
機能改善のエクササイズとフィジカルトレーニングですね。特に女性の骨格を踏まえた効果的な動かし方や指導法や、それを踏まえたジム内のマシンやウェイトトレーニングを活用したメニューについて、週2回程度指導しています。
プログラムは機能改善、バイオメカニクス、スポーツ医学、運動生理学、コンディショニングなどの各領域から構成されています。ポイントは、お客様の体や動作をしっかりと見極めて評価し、状態に合わせたプログラムを選んでオーダーメイドでメニューを組んでいくこと。1つの動作の反応に合わせて選ぶメニューが変化するため、強度や難易度を考慮してエクササイズを選ぶスキルが必要になります。その点を網羅的に学べる内容ですね。
優れたバランス感覚を持つトレーナーを育てたい
ーー経験豊富な井上さんのメソッドにより確かな実力をつけることで、トレーナーとして市場価値を大きく上げられますね。
基礎的知識や資格取得に必要な知識・スキルを深く学べるアカデミックなレベルを担保しながらお客様への指導力を磨き、どこに出しても活躍できるトレーナーを育てたいですね。
「かな映さんに教えてもらっていたんだ」「BEST FIT MEでトレーナーをしていた」と話した時に「じゃあ、大丈夫だね」といってもらえるよう、知識・スキル・人間力を兼ね備えたバランス感覚を持つトレーナーを育てられたらと思います。
今活躍中のトレーナーに教える際には「先を見据えて、後輩や新人トレーナーにどう教えていくか意識しながら取り組んでほしい」と話しています。中長期的な視点での育成や『BEST FIT ME』が目指す世界観の実現に向けたプログラムづくりは、私にとってもチャレンジですね。
ーー『BEST FIT ME』が目指す世界観に共感したポイントを教えてください。
「身近に自分の体を見てくれるかかりつけのトレーナーがいる」状態をできる限り作りたいという話はよくしていますね。もう本当に「病気になったら病院に行く」と同じような感覚で、『BEST FIT ME』が日々の生活に近い存在であり続けることが理想形です。
運動をもっと身近に感じられるようになれば、トレーニングを無理なく続けられます。
私は「無理をせずにいい体の状態をキープして、健やかに生活を送り続けられる」ことがフィットネスの価値だと考えています。その点を踏まえて、顧客満足度を高められるトレーナーを増やしたいです。
ーーアメリカと日本を比べて、フィットネス業界の違いを感じますか?
アメリカでは老若男女を問わず運動への意識が高いと感じます。大人や子どもが施設を利用して、ランニングや筋トレをしている姿が日常的でした。日本ではフィットネスクラブの利用者が少しずつ増えていると思いますが、運が好きな人はまだまだ少ない印象があります。運動は“一大イベント”ではなく、食べることと同じくらいに日常生活に定着していいものなんですね。
「健康であることが幸せ」と思える。それは究極かもしれませんが、ウェルビーイングでいることを望める社会になってきていると思います。その点、正しい運動に取り組むことが最善の方法であることをもっと伝えたいですね。
たとえば、ビジネスパーソンのパフォーマンスやコンディショニング向上といった、普段のライフスタイルをより良くするトレーニングは有効だと思います。
ーーありがとうございます。最後にトレーナーを目指している方々にメッセージをお願いします。
トレーナーは、学んだ知識をしっかりと実践することが大切です。実践を通じて、お客様が納得する指導を提供できます。“頭でっかち”にならないように意識していただければと思いますね。
知識を身につけること、実践を通じてスキルを磨くこと、そのバランスがあるトレーナーは各方面から求められます。仕事・学び・遊びをそれぞれ頑張ることは社会人にとって大事なことです。まずは自分を磨きながら、バランス感覚のあるトレーナーを目指してほしいと思います。