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さらなる価値提供を目指して、SaaSシフト【パートナー対談 第1回】

ウェルネス・コミュニケーションズはグローバル経済をリードする企業や社会基盤を支える健康保険組合、働く人たちやその家族等、生活者一人ひとりの健康管理や健康づくりをサポートしています。そのために、社内メンバーだけでなく、あらゆる分野のスペシャリストとタッグを組んで新しい挑戦を続けています。

今回は、パートナーとして既存事業のSaaS転換をサポートしていただいている、SaaS専門事業コンサルティング会社である株式会社deflagの代表取締役社長 佐々木 陽氏と当社代表取締役社長 松田 泰秀の対談を全3回でお届けします。

第1回は、事業のSaaS転換の背景や当時の苦労について振り返ります。

さらなる価値提供を目指して、事業転換

--改めて、SaaSへの転換を始めた背景を教えてください。

松田:これまでウェルネス・コミュニケーションズは、どちらかといえばBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)事業を中心に展開してまいりました。しかし、同ビジネスモデルではお付き合いできる企業の数に限界があり、さらなる価値提供には抜本的な事業転換が必要だと感じていました。

そこで、新しいサービスとして、お客さまが利用できるプラットフォームづくりに挑戦することにしました。我々が提供しているサービスの一部、健康診断の予約手配、健康診断結果のデータ化、社内の健康診断の進捗管理などが、お客さま自身で簡単にできるようになれば、もっと多くのお客さまに我々の価値を届けられると思ったのです。

さらに構想を練るうちに、我々が考えているサービスはSaaSのモデルに近いとわかり、とある方の紹介で佐々木さんと知り合いました。彼のSaaSに関する経験と知識の深さに感銘を受け、ぜひ事業転換を手伝ってほしいとご依頼をし、それをきっかけにSaaSシフトが加速しました。

--なぜお引き受けいただけたのでしょうか。

佐々木:松田さんの覚悟というか、本気度を感じたのが一番大きかったですね。

SaaSシフトのためには、既存事業とは全く違う思考に社員一人ひとりが切り替えることが必要です。ときには痛みを伴うこともあります。それでも考え方を変えてもらうには、外部の人である自分の声を正当化してくれる存在が必要です。松田さんがいるなら、自分の声も会社に届くかもしれないと感じ、お引き受けすることを決めました。

0からのスタート、痛みを伴いながら急成長

--SaaSシフトに着手した当初の課題感を教えてください。

松田:そもそも社内の誰も「SaaSとはなにか」「どのようなKPIを設定するべきか」といった基礎的な内容からわかっておらず、まずはそこから佐々木さんにインプットしてもらう必要があると感じていました。

佐々木:私もまずは、これまでの事業モデルとSaaSとの違いからお伝えしたほうが良いと思い、KPIの種類、数値によるモニタリングの重要性といった基本の基本からお伝えを始めました。

松田:いくら私や社内の人間が勉強して説明をしても、みんな聞く耳をもってくれないかなと感じていて、プロフェッショナルである佐々木さんからお話いただくことで、社員の意識を変えて欲しかったのです。

--特に大変だった時期はありますか。

松田:やっぱり最初の1年間ですね。佐々木さんには定例のミーティングを通じて、SaaSに関する知識やノウハウを社内中心メンバーにインプットしていただきましたが、どのメンバーも結構苦しそうでした。用語もわからなかったところからスタートしてまさに、痛みを伴いながら意識変革を続けて、今の事業モデルを少しずつ組み立てていきました。

その苦しみを乗り越えられたのは、何と言っても結果が出たところが大きいと思っています。サポートに入っていただいた当初、SaaS事業は全社営業利益の3%ほどしかなかったのが、徐々にその割合を大きくし、2年後には50%を超えました。

その頃から、社内メンバーに意識の変化が表れ始め、使う言葉も「顧客サポート」から「カスタマーサクセス」といった具合に変わりました。

サポート当初から感じていたポテンシャルの高さ

--佐々木さんから見たウェルネス・コミュニケーションズの印象を教えてください。

佐々木:課題も多かったですが、ポテンシャルの高さも感じていました。

まず、松田さんが非常に稀有な存在であることです。大企業にいながら新会社を立ち上げ、元の会社にも価値を提供しながら事業を育てることは、並大抵のことではなかったと思います。それを実現させた大胆さ、力強さを持ったトップがいることは会社の強みの一つだと思います。

また、エンタープライズ領域の顧客獲得をし続けられることも大きなアドバンテージだと思います。会社の成り立ちとも繋がりますが、一般的なスタートアップが最初からはお付き合いできない規模の会社と、商談の機会が持てるのは強みだと思います。

さらに、これまで丁寧に事業をつくられてきたこともストロングポイントだと感じました。SaaSでは、いかにチャーン(解約)レートを下げるのかが重要なポイントの一つですが、ウェルネス・コミュニケーションズさんはお客さまからの解約が少なく、新規の顧客獲得に注力しやすいと感じました。

松田:ありがとうございます。特に、丁寧な事業づくりにはこだわっていまして、これまで何度もあったサービス変革のタイミングでは、どうしても多少の混乱は避けられませんが、その度に関係構築をし直してきました。

我々の事業は人の健康や、組織の健康を支えています。そんな我々のサービスが安心・安全に使えなければ、なんの課題も解決できません。だからこそ、常にお客さまにはファンでいてもらいたいと思っていて、社員も同じ気持ちを持ってくれていると思います。

第2回はこちらから

第3回はこちらから


<佐々木 陽>

株式会社東急エージェンシー、株式会社リクルート、株式会社Kaizen Platformを経て、2015年株式会社Oneteamを創業。2019年に職場のコミュニケーションツール「Oneteam」事業を株式会社リンクアンドモチベーションへ譲渡。同年、それまでの経験を活かしSaaS企業発展のためのSaaS専門事業コンサルティング会社である株式会社deflagを創業し、代表取締役社長に就任。上場企業からレイター、アーリー、シードまでこれまで60社を超えるSaaS企業の伴走を行い、累計の資金調達金額は150億円を超える。株式会社basic 執行役員 最高戦略責任者 formrun/ ferret /事業戦略部 管掌役員、情報経営イノベーション大学客員教授を務める。


<松田 泰秀>

伊藤忠商事株式会社に入社後、22年にわたり、主に、国内・米国(シカゴ/ニューヨーク駐在)・中国・アジア等におけるIT・ヘルスケア関連領域において事業開発・市場開拓に従事。2003年には伊藤忠商事の社内ベンチャー制度下で、ネットを活用した健康管理システム「ヘルスサポートシステム(現:Growbase)」を企画開発。2006年にはウェルネス・コミュニケーションズ株式会社を創業。2016年4月より現職。

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