みなさんこんにちは!CyberACE愛読書紹介リレー、第四弾です!
今回はアカウントプランナーの小田周平さんが紹介してくださいます!
<PROFILE>
小田周平(おだしゅうへい)
CyberACE第二営業局・アカウントプランナー。趣味は踊ることと蛇の飼育。
【小田さんが選んだのはビジネス書ではなく、なんと歌集……?!】
『月を食う』
出版社:角川書店 出版年:2019年 ISBN:978-4-04-884288-4
著者:佐佐木 定綱(ささき さだつな)
「 男性の吐瀉物眺める昼下がりカニチャーハンかおれも食いたい 」
「 チェ・ゲバラのキーホルダーを付けているアルバイトと我と係長 」
「 売りたくはないけど売れる本並べ腎臓なんかも売った気がする 」
「 YouTubeで知らないブルース聞きながら煮込めば歌う細切れの豚 」
「 おれの飼う蛙に君が言う「ただいま」をしあわせの音としている 」
国語の時間に正岡子規や与謝野晶子を習いますよね。きっと短歌はそれっきりって方が大多数だと思います。あとは『サラダ記念日』(著:俵万智)なら聞いたことがあるかな、くらい。僕もそうでした。
ある日知人から教養として読んでみたらとお勧めされ、手始めにと穂村弘さんの『シンジケート』を読んでみたところ、ドハマりしました。それからいくつか読んでみて、去年発売されたこの一冊が気に入りました。佐佐木定綱先生のデビュー作だそうです。
佐佐木家といえば、代々歌人の名門一家。曾祖父は短歌の巨匠・佐佐木信綱、父はこれまた短歌界の重鎮・佐佐木幸綱(早稲田大学名誉教授)で、兄の頼綱さんも歌人。……すごい。綱ばっかりだ(笑)
この本は日常を描いた歌集です。歌から察するに、主人公(著者)は、たぶん優しい男性。東京のどこかの書店で働いている、恋人か配偶者がいる、カエルを飼っている。そしてほんの少しだけ、棘を持っている。
優しく無風で、どこか物悲しい日常に、一滴の毒が広がっているんです。
労働への皮肉や、世間に対しての怒り。サラリーマンなら分かる……そんな一滴の毒のお陰で、読者の心にすんなりと言葉が入り、知らず知らずのうちに共感していきます。
短歌はネットでもかなり盛り上がっているようですね。誰もが自作の歌をSNSで簡単に世間に披露できる時代です。
短歌はたった31文字で、情景や心情を汲み取るに留まらず、ひとつのストーリーになるまで想像して膨らませることができます。
僕も以前は初めは言葉通りにしか読むことができず、これはどんな状況だろう?何が言いたいのだろう?とばかり考えていました。でもふと、国語の授業じゃないんだから、解釈は自由で良いのだと気が付きました(笑)
それからは、ひとつの歌でいろんな時代背景のパターンを考えてみたり、登場人物の視点を変えて考えてみたり……。自由に捉えるようになったら、どんどん読むのが楽しくなっていきました。かなり想像力がついたと思います。
【短歌で深層対話力が伸びる……?!】
営業の仕事は、顧客が何に困っていて、どういったことをこちらに求めているのか、会話中にふと零れたひとことで多くのことを察さなくてはいけないこともあります。
相手の気持ちを汲むこの『深層対話力』の大切さについては、第三弾で澤野さんが紹介した『サービスマンという病い』がとても解りやすいのでぜひそちらをご覧ください。
想像力が伸びたことで、周囲に対するヒアリングが少しだけ上手くいくようになりました。以前よりも分析力が向上したり、思慮が深まったように思います。
想像力が、自分の隠れた才能や可能性を広げてくれたんですね。
【最後に……】
短歌の入門としてこの『月を食う』をおススメしますが、ぜひ他の歌人もチラ見してみてください!自分にピッタリの歌風の人に出会えるかもしれません。ちなみに、佐佐木幸綱先生(お父さんのほう)もおススメです。体育会系の強い男!!といった感じが歌から伝わります(笑)
小田さん、ありがとうございました!次回もお楽しみに!
【愛読書リレー】
第二弾『USJを劇的に変えた、たった1つの考え方 成功を引き寄せるマーケティング入門』コンサル局・佐塚さん