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前回の記事では、エンジニア組織が10名から20名へ拡大する中で策定した「7つのエンジニアバリュー」の背景や、そこに込めた想いをご紹介しました。
エンジニア全員で価値観を持ち寄り、意見をすり合わせて生まれたのが、以下の7つのValueです。内容の詳細はこちら
1. 本質を問う
2. 当事者意識を持つ
3. 皆が納得感を持てる仕事をする
4. コトに向き合う
5. 技術へ好奇心を持つ
6. 相互尊重するチームである
7. 家族や自分自身も大切にする
これらのValueがどのような意味を持ち、日々の仕事の中でどのように活かされているのか、具体例とともにVPoEの古谷に改めて話を聞きました。
1. 「本質を問う」
─ 1つ目のバリュー「本質を問う」ですが、なぜあえてこれをバリューとして言語化したのでしょうか?
目の前のタスクをこなすことに集中すると、「自分たちは何を解決するためにこの仕事をしているのか」が置き去りになってしまうことがあります。
だからこそ、一人ひとりが課題の背景まで理解した上で判断できる状態をつくりたかったんです。
開発って、企画・設計・実装など、それぞれの工程で向き合う課題が変わるじゃないですか。
例えば、プロダクトオーナーは施策の内容や優先順位を決めますが、エンジニアも日々たくさんの意思決定をしています。
「なぜこのアーキテクチャを選ぶのか」
「将来的にどんな課題が出てくると考えて、この設計にするのか」
そういった判断にも、必ず解決したい課題や理由があります。
でも、目の前の作業だけを見てしまうと、「世の中ではこうするべき」「一般的にはこうあるべき」という考えに引っ張られてしまうことがあります。
だから、単純に決められたものを作るのではなく、「本当に解決したいことは何なのか」を考えた上で、一人ひとりが判断できる状態にしたかったんです。
そのための共通認識として、「本質を問う」というバリューを言語化しました。
─ 実際の開発現場では、どのような工夫や意思決定につながっていますか?
最近では、開発に入る前にフォーマットを使って、「解決したい課題は何か」「ゴールはどこなのか」を整理してから進めることが増えてきました。
例えば、品質について考える時もそうです。
品質って、追求しようと思えばどこまでも追求できるものなんですよね。でも、今回解決したい課題や目指すゴールが決まっていれば、「どこまでやれば十分なのか」という判断もしやすくなります。
まず課題とゴールを明確にする。その上で、今必要なものは何なのかを考える。そういう考え方が、少しずつチームの中で型になってきていると思います。
2. 「当事者意識を持つ」
─ バリュー策定の中で、「当事者意識」の捉え方はどのように変化していったのでしょうか?
ノーススターのメンバーって、責任感が強い人が多いんです。だからこそ、以前は「自分がなんとかしなきゃ」と一人で抱え込んでしまう場面もあって・・・
前回の記事でも触れましたが、バリュー策定では「当事者意識=一人で解決すること」ではなく、早めに相談したり、周囲を巻き込みながら課題解決に向き合うことも含まれる、という考え方を大切にしました。
ノーススターはもともとフラットにコミュニケーションを取りやすい環境ですが、バリューとして言葉になったことで、「相談することもチームやプロダクトに向き合う行動の一つなんだ」という認識が広がり、以前よりも声を上げやすくなったと感じています。
─ 実際に「見て見ぬふりをしない」動きが生まれていると感じる場面はありますか?
例えば、システムアラートが鳴ったときですね。
「誰かが対応するだろう」と終わらせるのではなく、「自分が確認します」と動いたり、「次はこう改善した方がいいのでは」と提案が出たりするようになりました。
一人で抱え込まない。でも、問題をそのままにはしない。
そのバランスが、少しずつチームに浸透してきていると思います。
3. 「皆が納得感を持てる仕事をする」
─ 納得感を持って仕事を進めるために、どんな工夫や意識をされているのでしょうか?
「皆が納得感を持てる仕事をする」は、今の組織フェーズだからこそ特に重要になってきたバリューだと思っています。
少人数だった頃は、自分たちの中で「これが一番良い」と思う方法を、そのまま進めることもできました。でも20人規模になった今は、誰か一人が良かれと思って進めても、周りが置いていかれてしまうことがあるんですよね。それって、組織としてはすごくもったいない状態だと思うんです。
だから、改善というのは「良いものを作る」だけではなくて、周りにも理解してもらい、一緒に前に進めるところまで含めて仕事だと考えています。
例えば、あるチームだけがAI活用で成果を出していても、他のチームが「何をやっているのか分からない」で終わってしまったら、組織全体では広がっていきません。
なので、意思決定の背景やプロセスはできるだけ共有するようにしています。
「これでいきます」と結論だけ伝えるのではなく、「A案・B案・C案があって、それぞれこういうメリット・デメリットがありました。その上で今回はB案にしました」と伝える。そうすると、仮に自分の意見と違ったとしても、「そういう理由なら納得できる」と思ってもらいやすくなります。
みんなが議論に参加できる状態をつくることが、結果的にチームの納得感につながると思っています。
4. 「コトに向き合う」
─ 人格否定ではなく「問題」に焦点を当てる姿勢ですが、あえてこれを明文化した背景にはどんな考えがあったのでしょうか?
ノーススターは、相互尊重を大切にするメンバーが多い組織だと思っています。
ただ、その良さがある一方で、「相手の提案に反対したら傷つけてしまうんじゃないか」「関係性が悪くなってしまうんじゃないか」と考えて、言うべきことを飲み込んでしまう場面もあったんですよね。
でも、私たちが目指しているのは、ただ仲が良いチームではなくて、ユーザーにとってより良いプロダクトを届けるチームです。
提案に対して意見を伝えることと、相手自身を否定することは全く別ですよね。
「ここにはこういうリスクがあるのでは」
「もっと良い方法があるのでは」
そういう議論は、相手を否定するためではなく、プロダクトやチームを良くするために必要なものです。だから、議論すること自体を怖がらずに、お互いの考えを出し合える状態を作りたいと思っています。
─ 実際に現場では、意見の衝突からより良いアウトプットにつながった事例はありますか?
こういう場面は、日々ありますね。
例えば、デザインや機能の提案に対して、AさんとBさんで「自分から見ると、ここに課題があると思うんだよね」と意見がぶつかることがあります。
でも、そこで「どちらが正しいか」という議論にしてしまうのではなく、「本当に解決したい課題は何なのか」に向き合う。
そうすると、A案でもB案でもない、第三の案が生まれることがあります。
一見すると意見が対立しているように見えても、実は同じゴールに向かっているんですよね。
相手を否定するのではなく、課題に向き合って議論する。その積み重ねが、結果的により良いプロダクトや意思決定につながっていくと思っています。
5. 「技術へ好奇心を持つ」
─ 「今までこれを使ってきたから」という思考停止を防ぐために、現場ではどのような意識で技術選定を行っているのでしょうか?
IT業界って、技術の変化が本当に速いじゃないですか。
特に最近はAIの進化もあって、「今までこれが正解だった」というものが、数年後には全然変わっていることもあります。
だからこそ、過去の成功体験だけに頼ってしまうと、自分の中の選択肢がどんどん少なくなってしまうと思うんです。
もちろん、目の前のタスクを早く終わらせることも大切です。ただ、それだけを優先してしまうと、「本当にこの選択が一番良いのか?」と考える機会がなくなってしまう。
なので、常に新しい技術にアンテナを張って、自分の引き出しを増やしてほしいという話はしています。
例えば、「今すぐ実装するならこの方法が一番早いけど、少し時間を使って他の選択肢も調べた上で決めよう」と伝えることもあります。
目の前のスピードと、中長期的な技術力の積み重ね。その両方を大切にしながら、その時々でより良い選択ができるチームでありたいと思っています。
6. 「相互尊重するチームである」
─「相互尊重するチームである」というバリューは、実際の開発現場ではどのように意識されていますか?
日々のコミュニケーションの中では、「相手の背景まで想像する」ということを大切にしています。
例えば、意見が違った時に「なんでこの人はこう考えたんだろう?」と一度考えてみる。表面的には反対意見に見えても、その背景には、その人なりの経験や課題意識があるかもしれないんですよね。
そこを理解しようとすることで、単純に「AとBどちらが正しいか」という議論ではなくて、「じゃあ本当に向き合うべき課題は何なのか」という話に進めることができます。
ただ、相互尊重って「相手を否定しないこと」だけではないと思っています。
優しい組織であろうとするあまり、言うべきことを言えなくなってしまうと、それはそれで良いチームとは言えない。「コトに向き合う」のバリューにもつながることですけど、相手へのリスペクトを持った上で、必要なことはちゃんと伝える。
そうやって、お互いが遠慮せず意見を出し合える状態をつくることが、より良いプロダクトづくりにつながると思っています。
7. 「家族や自分自身も大切にする」
─ 実際に「家族や自分自身も大切にする」という価値観が根付いていると感じたエピソードはありますか?
バリューを話し合うマネージャー陣の対面での会議当日に、参加予定だった1人のマネージャーのお子さんが急に発熱してしまったんですよね。
もちろん、チームにとって大事な会議ではありました。でも、その時にメンバーから出たのは「無理しないで!」という言葉でした。
ご本人も安心してご家庭を優先できましたし、残ったメンバーも自然にフォローしながら議論を進めることができました。
こういう時に、お互いが大切にしているものを尊重できる関係性があることは、すごくノーススターらしい部分だと思っています。
もちろん、仕事に向き合うことは大切です。ただ、長く高いパフォーマンスを出し続けるためには、仕事以外の人生も大切にできる環境が必要だと思っています。
自分自身や家族を大切にできるからこそ、仕事にも前向きに向き合える。そういう状態をチームとしてつくっていきたいですね。
7つのバリューが、チームの行動になるまで
今回は、ノーススターの「7つのエンジニアバリュー」について、それぞれの価値観に込めた想いや、日々の開発現場でどのように実践されているのかを、具体的なエピソードとともにご紹介しました。
7つのバリューは、メンバーを縛るためのルールではなく、組織が大きくなっても同じ方向を向き、より良いプロダクトをつくるための共通言語です。
一人ひとりが本質を問い、相手を尊重しながら議論し、プロフェッショナルとして成長し続ける。
その積み重ねこそが、ノーススターらしい開発組織をつくっていくのだと思っています。