私たちは事業を進める中で、
「なぜAIを使うのか」
という問いを、繰り返し自分たちに投げかけてきました。
新しい技術であるからでも、話題になっているからでもありません。
私たちにとって技術は常に手段であり、
目的はあくまで、より意味のある体験を届けることにあります。
その前提に立ったとき、
AIという技術を採用する理由を、改めて整理しておく必要があると考えました。
技術を導入すること自体が目的になってしまえば、
本来の価値から簡単に離れてしまうからです。
まず前提として私たちが重視しているのは、
「人が本来価値を発揮すべき時間を守ること」です。
医療や心のケアの領域では、
人が向き合うべき仕事と、そうでない仕事が混在しています。
情報の整理やデータの確認、一定のルールに基づく処理など、
繰り返し発生する作業も少なくありません。
一方で、相手の状態を理解し、判断し、対話することは、人にしかできない仕事です。
現実には、その両方が同じ時間の中で扱われています。
結果として、
本来もっと時間をかけるべき対話や判断に、十分な余白が確保できないこともあります。
もしAIが、情報整理やパターン抽出といった部分を適切に補助できるのであれば、
人はより本質的な判断や対話に集中できるようになります。
AIを導入する意味は、単なる効率化ではなく
「人が価値を発揮する時間を増やすこと」にあります。
もう一つ私たちが重要だと考えているのは、
個別性に向き合うための仕組みをつくることです。
心の不安や不調は同じ言葉で表現されていても、
その背景や状況は一人ひとり異なります。
本来であれば、その違いに丁寧に向き合う必要があります。
しかし従来の仕組みでは、どうしても画一的な対応になりがちでした。
時間やリソースの制約がある中で、
個別性に合わせた対応を続けることは簡単ではなかったからです。
データを適切に扱い、状況に応じた情報や選択肢を提示することができれば、
個人の状況に合わせたサポートの可能性は広がります。
AIは、そのための一つの手段として有効だと考えています。
つまりAIは、人の違いを無視するための技術ではなく
「違いに向き合うための技術」として使うべきものです。
ただし、AIを使えばすべてが解決するとは考えていません。
むしろ重要なのは、
どこまでを技術に任せ、どこからを人が担うべきかを見極めることです。
判断の責任や、相手の感情に向き合うことまでを機械に委ねるべきではありません。
技術にできることと、できないことを冷静に区別しなければ、
かえって体験の質を下げてしまう可能性もあります。
AIは人を置き換えるための技術ではなく
人が本来やるべき仕事に集中するための補助線であるべきだと、私たちは考えています。
私たちはこれからも、技術そのものを目的にすることはありません。
常に問い続けるのは、「誰にどんな価値を届けるのか」ということです。
その問いに対して意味があるならAIを使うし、意味がなければ使わない。
それくらいの距離感で技術と向き合うことが重要だと思っています。
AIもまた、数ある手段の一つに過ぎません。
本質にとって意味があるかどうかを基準に判断すること。
それが、私たちの変わらない在り方だと考えています。