こんにちは。日本マタニティフード協会の山本です。
今日は、少しだけ書きにくい話を書きます。個人的な考えなので、そう読んでもらえたら嬉しいです。
大変なのは、本当です
先に、私の側の現実を書いておきます。
妻の3人目のつわりが長引いた2ヶ月、私は娘2人を一人で見ながら、新しいお店のオープンを迎えました。保育園の送り迎え、洗濯、急な発熱、その合間の仕事。3人でホテルに泊まりながら現場に通った日もありました。
お金の話も、避けては通れません。子どもが3人になれば、家も、車も、教育費も、いま考えているものでは足りなくなるかもしれません。先のことは分からない、という不安は、子どもが増えるたびに増えます。
だから、結婚や妊娠や育児が「コスト」や「リスク」の言葉で語られることを、私は否定できません。事実として、そういう面があります。
でも、それだけでもない
子供達にとって初めての海
ただ、同時に思っていることがあります。
子どもを持つまでの人生で、私は感じたことのない種類の喜びを、いま毎日のように感じています。
娘に「パパ、それ上下合ってないよ」と言われることも、テレビのお相撲さんを「パパみたい」と指さされることも、2歳の娘がりんごを両手で抱えて笑っていることも。書いてしまえば小さなことです。でも、これまでのどんな仕事の達成感とも、旅行の楽しさとも、違う場所にある感情でした。
もし世の中に「経済」という物差しがなかったら、自分は何に時間を使うだろう、と考えたことがあります。私の答えは、家族と過ごすことでした。こんなことを考える自分が、子どもを持つ前にはいなかった。それ自体が、私にとっては新しい経験でした。
これは、私の場合の話です。人によって違うと思います。ただ、少なくとも私には、大変さと同じくらいの大きさで、良いことがありました。
語られる量が、偏っている気がする
世の中で、妊娠や育児について目にする言葉を、思い出してみてください。
「教育費はいくらかかる」「キャリアが止まる」「産後の体はこう変わる」「共働きでないと無理」。どれも本当のことで、知っておくべきことです。私たちの協会も、妊娠中の食のリスクを伝えるところから始まっています。
一方で、「良かったこと」は、語られる量が少ないと感じます。理由は分かる気がします。良かったことは、口にすると自慢に聞こえたり、持たない選択をした人を傷つけそうで、言いにくい。大変なことのほうが、共有しやすいし、共感も集まりやすい。
その結果、これから選ぶ世代に届く情報が、片方に寄っていないだろうか。これが、私が一人で感じていることです。
選ぶのは、その人です
はっきり書いておきます。結婚することが正しいとも、子どもを持つことが正しいとも、私は思っていません。
結婚するか、しないか。子どもを持つか、持たないか。何人育てるか。どれが正しいということはなくて、その人が自分で決めることです。持たない人生も、同じ重さで尊重されるべきだと思っています。
私が大事だと思っているのは、選ぶ前に、両方の話が聞ける状態にあるかどうか、です。
前に、「今日一日を、自分の意思で選んで過ごせた」と思える人が増えることが幸せにつながる、と書きました。そのためには、選択肢を知っていて、それをフラットに比べて、自分で決める、という手順が要ります。片方の声しか届いていない状態で選ぶと、あとから「そうするしかなかった」に変わりやすい。
大変な面は、いま十分に語られています。だから私は、あえて、あまり語られないほうの話を書いています。世の中の声を打ち消したいのではなく、もう一方の声も、隣に置いておきたいだけです。
だから、BOXを送っています
テレビ東京:ニッポン!こんな未来があるなんて
この考えは、協会がやっているハッピーマタニティBOXにも、そのままつながっています。
ハッピーマタニティBOXとは
妊娠中の方に、無料でお届けしているギフトボックスです。妊娠中から産後の暮らしに寄り添う食品や日用品を、10点ほど詰め合わせています。中身はすべて、妊婦さんを応援したいと手を挙げてくださった企業さんの商品です。2025年7月に始めて、これまでに約1万8,000人の方に応募していただきました。
2026/09時点
妊娠中に届く案内の多くは、これから生まれる赤ちゃん宛てです。妊婦さん本人に向けたものは、ほとんどありません。だから私たちは、妊婦さん本人に宛てて、BOXを送ることにしました。
届けたいのは、商品というより、「あなたのいまの選択を、応援している人がこんなにいます」ということです。10の会社が、あなたの妊娠を知っていて、応援している。それを、BOXを開けた瞬間に感じてもらえたら、このBOXの役目はほとんど終わっています。
そしてBOXの中身は、正解の押しつけではなく、選択肢です。つわりの症状が一人ひとり違うように、必要なものも人によって違います。「これを使いなさい」ではなく、「こういうものもありますよ」の詰め合わせにしています。
「少子化対策ですね」と言っていただくことがあります。ありがたいのですが、少し違います。子どもの数を増やしたくてやっているのではなく、選んだ人が、その毎日を自分で良くしていけるように、選択肢を手の届くところに置いておきたい。それだけです。
最後に
私は、妊娠したことも、出産したこともありません。隣で見てきただけです。だからこの記事に書けたのは、隣にいた人間として感じたことまでです。
これから選ぶ世代の人に、大変な面はしっかり届いてほしい。そのうえで、あまり語られない面も、同じように届いてほしい。両方を知ったうえで、自分で選んでほしい。そういう環境を、箱を一つ送るところから、つくっていけたらと思っています。
ここまで読んでくださって、ありがとうございます。