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[書評]スタートアップのために書かれた、売上成長に直結するブランディング術


ブランドファースト 中小・ベンチャーの成長はブランドから始まる
ブランドファースト 中小・ベンチャーの成長はブランドから始まる
https://www.amazon.co.jp/dp/4864430810


顧客は企業の「らしさ」に惹かれる

本書は、中小企業やスタートアップのために書かれたブランディング入門書です。著者は、数多くの中小企業向けWebコンサルティングやブランディングを手掛けてきたブランディングテクノロジー株式会社CEOの木村裕紀さん。中小企業やスタートアップ企業を長期的に成長する企業にするために必要なことは何なのか、ご自身の会社で実践してきた知見がふんだんに詰め込まれています。

様々な業種の企業のビジネスを支援するとともに、自社も2001年に会社を立ち上げてから19期連続増収を達成。2019年には東証マザーズ市場に株式上場を果たした、まさに「成長し続けるベンチャー企業」の鑑と言えます。

戦略策定、営業力強化、Webマーケティング、組織作り、財務諸表見直し、人事制度作り、理念策定、ビジョン経営の推進、行動指針策定、採用力強化、教育研修強化、顧問の活用、リーダーシップ研修など、多岐にわたるコンサルティングを行ってきましたが、その中でも成長の大きな原動力となったのが、本書タイトルの「ブランドファースト」という考え方だといいます。

ブランドファーストはブランディングテクノロジーのWebサイトでこのように説明されています。

ブランドファーストは、一社一社の持っている”らしさ”をブランドとしてつくりあげ、経営の軸にすることで強くてブレない経営を可能にすること。ブランドを経営の軸にして、強くてブレない中小・地方企業様が増えれば、日本はきっと豊かに発展していけるはずーー。そうビジョンを描き、ブランドファーストを掲げています。

木村さんは、どんな企業にも「らしさ」があると言います。そして、顧客はその「らしさ」を数ある商品やサービスの中から感じ取って選んでいるのです。「らしさ」を磨き、経営の軸に据える。これが強いブランドを作り、強い企業を作るのです。

中小・ベンチャー企業におけるブランド要素とは?

では、「らしさ」はどう作ればいいのか? ブランドはいくつかの要素から構成されますが、中小・ベンチャーが「らしさ」を作る上で重要なものは下記5つだと言います。

(1)理念としての存在意義
(2)ビジョンという目指す未来
(3)創業から今日までのコーポレートストーリー
(4)大切にしている行動指針や社是、社風、価値
(5)USP(競合優位性)の明確化

ブランディングはこれらの各要素を磨きながら、すべてに一貫性を持たせる取り組みだと説明しています。

つい最近まで、ブランディングについて調べると大企業やグローバル企業の華々しい事例ばかりが目につきました。その背景にはこれまでブランディングを行ってきたのは広告代理店などであり、少なくとも1千万円単位の金額がかかることから、中小企業やベンチャーの成功事例は世の中に出てこなかったからだと木村さんは述べます。

しかし、時代は変わり、ブランディングは大手企業のものだけではなくなりました。中小企業であっても、上記5つの要素を磨くことでブランディングに成功すれば、「採用力・育成力の向上」「顧客・取引先の創造」「組織力の強化」が達成されるため、著しい成長が期待できます。木村さんは自社の成長とクライアント企業のブランディングを手掛ける中で、さまざまな成功事例を生み出し、本書でも実践事例を解説しているので、ぜひ具体的な取り組みについては読んでいただきたいと思います。


中小・ベンチャーのための「100年継栄」

本書は、各章ごとに「誤解」→「効果」→「示す」→「伝える」→「実践」→「対談」という流れで構成されています。

ブランド本にありがちな専門用語は少なく、誰にでも内容が理解でき、またすぐに取り組めるようになっているところが大きなポイント。最終章の対談では、「経営者の覚悟こそが100年続くブランドを生む」という内容で、こちらも中小・ベンチャー企業の経営者にとって非常に魂が揺さぶられる対談となっているので必読です。

とにかく読みやすく、頭でっかちにならずにブランディングを学べるので、中小企業やスタートアップ企業の方々に是非ともおすすめしたい1冊です。

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