【代表インタビュー】誠実さとマーケティングの内製化が住宅業界の常識を変える。10代で海外に渡った代表が語る、「全方よし」のビジネスモデル
愛知県を拠点に、注文住宅の相談窓口「おうちモール」を展開するエンゲージェンシー株式会社。
誰も損をしない「全方よし」のビジネスを支えているのは、顧客に寄り添う徹底した誠実さと、それを後押しする本質的なマーケティング力にあります。その根底にあるのは、代表の片山嘉之氏が自身の半生で培った誠実さと、自分でやってみる力。学生時代の海外生活から現在に至るまで大切にしてきた信念と、今まさに強化しようとしているマーケティング組織の未来について語ります。
片山 嘉之 / 代表取締役
愛知県出身。中学を卒業してすぐ高校進学のタイミングで単身ニュージーランドへ渡り、計6年間の海外生活を送る。帰国後はソフトウェアハウス、医療用医薬品卸を経て、住宅不動産会社にて経営企画や採用などに従事。その後、住宅相談窓口「おうちモール」を運営するエンゲージェンシー株式会社の代表に就任。関わる人全てが幸せになる「全方よし」の精神で事業を拡大させている。
10代で単身渡ったニュージーランドでの6年間。異国の地で学んだ「自ら道を切り拓く」生存戦略
ーーまずは片山さんの原体験についてお伺いします。15歳で単身ニュージーランドへ渡られたとのことですが、そこでの経験が現在の価値観にどう繋がっているのでしょうか。
振り返ってみると、このニュージーランドでの6年間の生活が、私の根幹にある、他者への「誠実さ」と、「自分でやってみる」姿勢を形成してくれたのだと感じます。
渡航のきっかけは「日本の高校がつまらなそうだったから」「人と違う方がカッコいい」という単純な理由でした。リスクなんて考えず、「行くと決めたから行く」という勢いだけでした。
しかし、現実は甘くありませんでしたね。英語が最初からできたわけはなく、授業の内容はもちろんちんぷんかんぷん。アジア人として差別的な扱いを受けたりからかわれたりすることもしばしば。いろんなことが新しい体験ばかりでした。もちろん簡単ではなかったですし戸惑いもありましたが、それ以上に面白みも感じてはいました。とはいえ、一番つらかったのはやはり寂しさですね。友達とも離れてゼロからのスタートみたいな、孤独を感じることはありました。
ーー言葉が通じない孤独な環境は大変だったと思います。どのように過ごしていたのですか?
郷に入っては郷に従えということで、ローカルに馴染む姿勢を持ち、今までの自分の経験から何かを判断するのではなく、相手だったらどう判断するんだろうかを考えるようにしていました。仕草やトーンとか空気感などいろんな情報を読み取る癖もつき、細かな単語が分からなくても、感情とか大きな動きは理解できるようになった気がします。
あと、言葉が原因で不本意に勘違いされてしまうのが嫌だったので、とにかく誠実さだけはきちんと伝わるように意識していました。人種や言葉は違えど、誠意ある姿勢は必ず伝わります。そうしていく中で、友達が少しずつ増え、現地の人から見てもローカルな日本人として受け入れてくれました。
ーー自分で居場所を作ったのですね。
いえ、自分の力というよりは、本当に色々な人に支えられたおかげだと思います。
ホームステイ先の家族や、仲良くなった地元の人々、シェアハウスの同居人など、多くの人に良くしてもらいました。本来少し排他的なローカルな環境でも、私の人間性を面白がり優しくしてくれたのです。
そんな彼らに対し、「いつか恩を返したい」という気持ちも生まれましたし、自分のことだけではなく、人のことも考えられる人間になりたいとも思いました。
ーーニュージーランドならではの思い出があったりしますか?
そうですね、ニュージーランドはセーリング大国でヨットの文化がとても根付いている国なんですが、未経験だったのにも関わらず750ドルでぼろぼろのヨットを買ってきて、庭先で2年かけてこつこつ修理したんです。トレーラーも自分で溶接したり、塗装もすべて一人でやりました。そして、自らの手で再生させたそのヨットに乗り、一人で一週間ほど風の向くままに旅をした思い出は、達成感や冒険心をとても感じたニュージーランドらしい思い出です。
何も分からない状態からでも、自分の手で一つひとつ形にしていく。この「やったらできる」という経験こそが、今の「何でもまずは自分たちでやってみる」という考え方やDIY精神の基礎になっています。
この海外生活を通して、どんな環境でも誠意を持つことの大切さが分かり、やればできるということを身をもって経験ができましたし、恩を返す大切さにも気づけました。この経験が今の自分を作っています。
個人売買で買ってきた直後(Before)
帰国のため手放す直前(After)
「全方よし」の精神が、ビジネスの好循環を生む
ーー帰国後のキャリアについてもお聞かせください。日本に戻って就職されたのは、どのような経緯だったのでしょうか。
当時、同級生とは違う人生を楽しんでいた半面、みんなと違うことがさみしいと感じることもありました。ないものねだりですね。
一時帰国のつもりで日本に戻った際、大学を出て社会人として活躍し始める友人を見て、「自分も負けていられない」「俺だってできる」という気持ちが湧いてきたんです。そこで日本での就職を決意し、縁あってキヤノン系のソフトウェアハウスに入社しました。大学も出ておらず、海外を放浪していた私を、「君、面白いね」と言って拾ってくれたのが当時の社長です。
ただ、入社して半年もすると、先輩社員たちが次々と退職してしまい、気づけば営業部は社長と私の2人きりになりました。新入社員同然の私がいきなり営業部の主力を担うことになってしまったんです。
ーー入社半年でその状況はハードですね。なぜ踏ん張ることができたのでしょうか。
ひとつは私を拾ってくれた社長への恩があります。何の実績もない、海外でサーフィンに明け暮れていたような若造を面白がって採用してくれた。まだまだ未熟でなにもお返しできていない状態で辞めるなんて選択肢はそもそも考えもつかなかったです。
また、正直ハードだと感じたことはなくて、むしろ面白かったというか、最高責任者である社長のそばで仕事ができる環境が自分には合っていたと思います。
それに、逃げずに自分でやるしかない環境に置かれたことで、仕事の範囲が強制的に広がり、結果的に自分でビジネスを動かす仕事の面白さに目覚めることもできました。
ーーその後転職を経験するわけですが、その時はどんな経緯や思いがあったのでしょうか。
ありがちですが、ある程度仕事ができるようになったときに次のチャレンジをしたくなりました。成長欲が人一倍強かったのですが、その組織の中だとなかなかタイミングが合わない。時間は有限だと思い、新たな環境へ進むという決断をしてきました。
ただ、自分を育ててくれた組織や周りの人への恩は常に感じていますから、辞めるにしても自分ができることはすべてやり切ってから次へ進みたい、という思いで動いてきました。後任を自ら採用したり、システムを組んだり、継続取引契約を結んだり、自分がいなくなったあとのことを考えて時間をかけて整理していきました。そしてその行為がさらに自分を成長させてくれました。
あと、全く違う業界への転職を選択していました。というのも、同じ業界に行けばライバル関係になるかもしれませんよね。その会社のおかげで成長できたのに、同業界に行けば恩を仇で返す形になる。横取りする感じがいやだったので私なりに筋を通したかったんです。また、海外にいきなり飛び込んだあの頃のように、すべて捨てて自分を試したかった。根拠なく自信があったのでしょうが、今思うと無謀さだったり損している部分があるなと思う自分がいたりします。
ーー全員に対して義理は通しながらも、成果にコミットされてきたのですね。
そうですね。それぞれの組織で成果を出せたと感じると最終的には自分で組織を運営したいという思いが強くなり、おうちモール事業を運営することになるのですが、実は今でも昔の職場の社長や仲間とは良い関係を築いています。社員として中から支援するのではなく、外から真っ当な支援をすることが私にとっての恩返しです。
自分の利益だけでなく、関わる全ての人にとって良い形を作る。このスタンスは、どのキャリアにおいても一貫して大切にしてきたことです。
誠実なビジネス基盤の秘密。お客様目線とマーケティング内製化のシナジー
ーー現在代表を務めるエンゲージェンシーについて教えてください。誰も損をしない「全方よし」のビジネスが展開できている理由は何でしょうか。
いろんな要素があるのですが、敢えてピックアップするとしたら、お客様への誠実な姿勢による差別化と、マーケティングの内製化が上手く噛み合っているからです。
私がこの事業に関わるようになった当初、運営状況を見て「もっとお客様に寄り添えば、より良いビジネスになるはずだ」というポテンシャルを感じていました。そこで私が代表として引き継ぎ、「お節介をしよう」を合言葉に、方針を大転換しました。
ーーその「お節介」が必要な背景には何があったのですか?
住宅業界特有の、住宅を購入するお客様が不利になりやすい構造です。
住宅というのは低頻度・高価格の商材であり、どうしてもプロである売り手と経験が少ない買い手との間に圧倒的な情報格差が存在します。そのため、売り手が有利になりやすく、お客様は判断材料が少ない中で人生で最も高価な買い物をすることになります。
また、低頻度であるがゆえに、住宅会社は長期的な関係を築くより目先の利益を優先するセールス手法になりやすい構造もあります。お客様にとっては一番高い買い物をするのにもかかわらず、圧倒的にお客様には不利な状況とも言えます。
ーーなるほど。お客様が不利になりやすい構造なのですね。
はい。とはいえ住宅会社の人たちはそんな利己的な人ばかりじゃなくて、本当にお客様のことを大事にした会社や担当者の方も多く居ます。問題はその人たちにどう出会うか。そんな素敵な人たちと出会えたらお客様にとってはいいだろうなということで、おうちモールという紹介サービスの開発につながっていくわけです。
また一方で、住宅会社にとってもセールスの難易度は年々上がっています。
少子高齢化や住宅の高性能・長寿命化などの影響で着工棟数は減少し、物価や金利の高騰が消費者の購買判断を鈍らせているため、商談のチャンス自体が少なくなっています。
そんな希少な機会を獲得するために、住宅会社は莫大なマーケティングコストを払い、見込みの薄いお客様へのアプローチに営業リソースを割かざるを得なくなっています。例えば、住宅展示場での子供向けイベントに訪れた「まだ家を買う気がないご家族」にも広くアプローチするケースなどです。
ーーそんな両者に不合理がある中で、おうちモールはどんな役割を担っているのですか?
私たちが間に入り、双方にとって損のない、むしろそれぞれのメリットが増える環境を作っています。
お客様には、手厚いサポートを提供し、住宅の正しい知識や情報をしっかりとお伝えして理想の家づくりに近づけるよう伴走します。長期間の関係を大事にしているので、すぐには購入しないお客様に対しても、FP資格をもったアドバイザーが無料で親身になって相談にのっています。また、準備が整えられることで、住宅会社から見たときに「優良なお客様」になることができ、より商談がスムーズに進み大事にされます。
住宅会社に対しては、私たちが精度の高いマーケティング施策と、伴走することによりお客様の準備が整えられていくことによって、予算や好みそして相性など、予めニーズがマッチした期待の高いお客様を絞り込んでご紹介しています。そのため、本来力を入れるべき商談に集中できる環境を提供できるのです。その結果無駄なコストが大きく削減され、住宅会社も成長する。その効果によりお客さんに還元されるぐらいの仕組みこそ私たちが目指している状態です。
さらに、私たちの介在価値が発揮された時、つまりコストが削減されてかつ実際に目的が達成したとき(契約が成立しただけでなく着工してから)だけお金が発生する「成功報酬型」を採用しています。きちんと目的を達成した時にだけ報酬をいただく仕組みの方が、健全だと思っているからです。
このように全てのステークホルダーに誠実でいることは、結果的にお客様、住宅会社、自社の「全方よし」に繋がり、ビジネスの基盤をより強固なものにしていると確信しています。
ーービジネスを支えるもう一つの柱である「マーケティングの内製化」については、どのような体制で行っているのでしょうか。
もともとは私自身でデジタル広告の設定運用からチラシの構成、HPの作成や修正までなんでもやっていました。外注するよりもコストが抑えられますし、圧倒的に早い。何より成果を出すために、誰かに依存するより自分の力をつけるべきだと思ったからです。
現在は、優秀なマーケティングマネージャーが在籍しており、彼女の下で少数精鋭のマーケチームを作っています。
先ほどもお伝えしたように、基本的にはマーケティングは自社内で完結しています。本来的には代理店を挟むところ、あえて自分たちで行う。そうすることでどんどん精度はあがり、社内のナレッジも集積されて個々の力もついていく。結果、代理店より費用対効果が高く、ビジネスの基盤強化にも寄与してくれています。誰かに頼むより成果を出しやすくて、他責にしないですみますし、手触り感があるから楽しいんです。
そのようなインハウス環境だからこそ、マーケティング担当も成長できる環境だと自負していますし、インハウスでかつDIYなので一番手触り感があると思います。
扱う領域の広さや裁量権の大きさは随一です。CMの予算管理や制作ディレクション、Webサイトの改修、デジタル広告運用、コンテンツ制作にも携わります。新たな施策の検討導入ももちろん担当します。
大手企業のように縦割りで一部の業務しかできない環境とは異なり、ここでは予算管理からクリエイティブ制作、データ分析まで、フルファネルを一気通貫で経験できます。代理店任せにせず、自らの手でPDCAを回すからこそ、手触り感のある本質的なマーケティング力が身につきます。
完成されたモデルを全国へ。本質的なマーケティング力で、新たな市場を切り拓く
ーー今後の展望についてお聞かせください。
まずは、この確立された「誰も損をしない全方よしのビジネスモデル」をさらに磨き、全国展開を進めていくことが直近の最大の目標です。
現在は愛知県を中心に展開していますが、近隣県や関東や関西など全国へエリアを広げていきたいと考えています。
手前味噌ですが、私だけでなく社員がみんな本気で全方よしのサービスをやれていると自負しています。なので、もっと多くのお客様や住宅会社のお役に立ちたい。なんの後ろめたさもなく真っ当なサービス提供ができて喜びを分かち合い稼ぐことができる仲間を増やしたい。そんなおせっかい心から、拡大する方向で進めています。
また、その先の可能性として、私たちが培ったマーケティングのノウハウを活かした、BtoBマーケティング支援などの新領域への参画も視野に入れています。
もともとは私たちも外部の力を借りたいと思い、いろんな方たちと会ったり調べてきました。ですが結局DIYに行きついている。同じようにDIYができる会社はいいが、そうではない会社もいっぱいある。そんな方たちに私たちの経験やノウハウが提供できるのではという思いから、違ったビジネスにつながると良いなと思っています。マーケ会社を立ち上げて任せられるような人材が出てきたら面白いですね。
ーー最後に、これからどのような仲間と一緒に働きたいですか。
きちんと質を追求し、これからさらにレベルを高めていける仲間を求めています。
私たちの会社には、マーケチームの責任者やほかにも優秀なバックグラウンドを持つメンバーが集まっていますが、そんな彼らでも、この環境で「まだまだ成長している感覚がある」と言ってくれます。それは、完成されたレールの上を走るのではなく、自らの手で市場を切り拓く面白さがあるからでしょう。
求めるのは、「価値あるサービスを正しく世に広めたい」という思いを持ち、そのために自分の役割範囲を自ら拡張していけるマインドを持つ方です。
財務的な基盤ができた上で拡大フェーズに入ったばかりのこれからが一番楽しいはずです。
住宅業界という枠を超えて、経営視点を持ったマーケターとして成長したい方。ベンチャーならではの手触り感を楽しみながら、私たちと一緒に新しい市場を創っていきませんか。自ら手を動かし事業を動かす醍醐味を、ぜひここで味わってください。