こんにちは! 株式会社Nobest 石井です。
Nobestがこれから3年で作ろうとしているものは、なかなか伝わらないから記事にしてみました。技術の話だけでも、思想の話だけでも、業界課題の話だけでも、片手落ちになる。だから、Why(なぜ)→ Pain(現場のリアル)→ How(技術アーキテクチャ)→ Philosophy(判断軸)→ Who & Future(仲間と未来)の5幕構成で、順番にお話しします。
第1回は「自律巡視AIって、結局なんなんですか?」という、いちばん大事な問いから。
「自律巡視AI」って、結局なんなんですか?
――社内では「自律マネジメントAI」とか「Nobest IoT」って呼ばれてます。
『マネジメント』って言うと、なんとなくBPOツールや業務SaaSを想像されてしまう。でも僕らがやろうとしているのは、もっと現場の物理に近い、巡視=Patrolの自動化なんです。だから、技術者の方の頭に絵が浮かびやすい言葉として『自律巡視AI』を採用しました。連載中の本文では『自律マネジメントAI/Nobest IoT』の呼称を併用します
――それで、『自律巡視AI』が目指しているのは、ひとことで言うと?
『太陽光発電所の総合内科医』をAIで作ることです。
これが、いちばん大事な比喩
――内科医。
太陽光発電所のO&M(運用・保守)業界には、これまで
精密検査屋さん(ドローン点検)、
修理屋さん(パワコン交換業者)、
記録係(既存の監視ツール)
はいたんです。
でも、毎日のバイタルを見て、トリアージして、処方箋を書く『総合内科医』だけがいなかった。僕らはそのポジションを、AIで作っている
第1の道:監視ツール
――でも、太陽光O&Mって、すでに監視ツールがありますが、何が違うのか?
「競合の監視ツールは『発電量が落ちています』しか言えないんです。それで止まる。
たとえば発電量が突然20%落ちたとき、競合ツールが出すのは『異常発生』のアラートだけ。その後、何が原因で、誰を呼んで、どう報告して、どう請求するかは、全部人間のO&M担当者の頭の中で組み立てなきゃいけない。
これって、心電図モニターを見て『心拍が乱れています』とだけ言って、その後の診断も処方も全部人任せにしているのと同じ構造なんです。モニターは医師じゃない
第2の道:ロボット・ドローン
――じゃあ、点検ロボットやドローンは?
点検ロボやドローンも素晴らしい技術です。でも彼らは『目』と『手』。現場に行って画像を撮ってくる、物理的なアクセスを担当する。
問題は、撮ってきた画像をどう解釈し、それを過去の修理履歴・気象データ・他のセンサ情報と統合して『じゃあ次は何をすべきか』を判断する司令塔がいないこと。
ドローンが100枚の画像を持ち帰っても、それを毎日見て判断する人がいなければ、結局は人間の認知負荷を増やすだけになってしまう。『目と手を増やしても、脳がボトルネックなら全体は速くならない』——これがO&M業界の構造的な問題です
第3の道:O&M業務全体の司令塔
――『脳』のところを、Nobestが作る。
僕らが作っているのは、SaaSでもロボットでもありません。両者の上に乗る『司令塔』です。
具体的には、こういう仕事をします。
- センサ・カメラ・IoT・気象・点検履歴・修理記録を全部統合して、毎日『この発電所は健康か?』を判定する
- 異常があれば、過去の履歴と照らして『これはたぶん配線劣化、優先度A、損失見込み月◯万円』まで診断する
- そのままタスクを自動起票して、最短対応可能な技術者へディスパッチする
- オーナーへの通知も自動で送る
僕らはこれを『慢性型健全性判定』と呼んでいて、事故が起きてから対応する『異常検知→復旧』モデルではなく、毎日の健康状態を判定し続けるドック型のサービスとして設計しています。
これが第3の道——『O&M現場の自律司令塔』です。
なぜ「巡視」という言葉を選んだか
――『マネジメント』でも『監視』でもなく、あえて『巡視』にしたのは?
『巡視』って、人間の"守り人"の仕事なんです。
電力会社の保安要員、河川管理者、自治体の道路パトロール——彼らはみんな『巡視員』と呼ばれている。
Nobestでは、彼らのことを**『守り人(もりびと)』**と呼んでいて、Nobestが究極的に作ろうとしているのは、この『守り人』の認知負荷を肩代わりするAIなんです。だから『監視(モノを見る)』でも『マネジメント(管理する)』でもなく、『巡視(守り人の仕事を引き継ぐ)』という言葉を選びました。