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社員インタビュー No.001

魅力は、スピード感と質。求めるのは、あと1%へのこだわり。

ー最初に白石さんの現在の職務内容について教えてください。

VFXディレクターとして、映画制作のプロジェクトにおける全体的な管理が主な業務です。具体的にはクオリティや進行の管理を行い納品までの全般を管理しリードしています。コンポジットという面においてはどのショットにどんな作業が必要なのかを見極めた上で各アーティストに作業を振り分け、まとめています。つまり、制作の全てにおいて責任を持って作っていく立場にいます。社内での立ち位置としては管理職側にもなりますのでマネジメント面も見ながら、プロジェクトを遂行させているような形です。


ーありがとうございます。長くVFXディレクターとして活躍されている白石さんにとってターニングポイントとなっている映画作品はありますか?

ターニングポイントになった作品でいうと「るろうに剣心 京都大火編」「るろうに剣心 伝説の最期編」の2作品です。これは前職での最後の作品であり、弊社を創業するきっかけになった作品でした。あれほどに大掛かりな作品を担当したのはこの作品が初めてでしたし、前職での集大成だったように思います。この大きな作品をやり切れたことで大きな自信になりました。興行も非常に良く、観てくれた方が多かったこともあり、この作品を担当したということが当時の我々にとっては名刺代わりになりました。

個人的には私が小さい頃からリアルタイムで原作を読んでいたので、大好きな作品に関われたという思い入れもあります。一作目の「るろうに剣心」を制作した際にも非常にかっこいい作品を作ることができたという自負がありましたが、そこからさらにバージョンアップして自分の持っている全てを出し切るつもりで携わった作品だったので自身のキャリアの中でかなり印象深い作品です。


ー白石さんはこの会社を立ち上げたメンバーの一人ですが、その当時のことを聞かせてください。立ち上げたきっかけや当時のヴィジョンなど弊社のストーリーはどのようなものになるのでしょうか?

始まりは前職で代表の小坂と10年ほど同じ映画制作のチームに所属していたことです。当時映画はCMなどに比べると利益率が低く採算がとれにくいことから、社内で軽視されてしまっているような体感がありました。そこで監督から直々に指名を頂いて自分達で仕事がとれるようになっていた私たちは、社内で頑張る意味が見出せないのであれば会社を立ちあげてみようじゃないかという話になりました。

これがSpade&Co.の始まりです。

コミュニケーション面で言うと前職は大きな企業ということもあり、良い意味でも悪い意味でも上下関係がはっきりしていました。管理職になったらどうとか、一般的な会社らしい会社だったように思います。私はそういうしがらみをなるべく無くして、自分達がやりたいことをスピード感もっていくやっていくことが当時のヴィジョンでした。

ただ会社の規模が大きくなるにつれて、それだけを重要視していても上手くいかない壁も出てきました。仲間が増えてきた今がまさに会社としての大きな変遷期であり、どのように良い体制を構築し進んでいくのかは日々思案しているところです。一方で揺るがない軸として、当時も今も変わらず持っているのは「監督が作りたい映像に寄り添い、最大限パフォーマンスを発揮していこう」というマインドですね。


ー現在の障壁として社内体制の在り方を考えているということですが、何かアプローチを考えているのでしょうか?

人員増加と共に、コストもかかるようになってしまう点をどのように技術でカバーするかを考えています。いかに無駄をなくして技術力を上げてスピードをもって効率良く、最短で作業することは大切だと思っています。それはつまり監督の目指す作品にいかに最短で辿り着くか、ということになります。

本音を言えば「無駄をなくす」という言い方は個人的にあまり好きではないんですが、必要なフェーズではあると認識しています。作りたい映像、監督の思い描くものを表現していくためには日々トライアンドエラーを繰り返して、技術や経験を培っていくべきではあるのでこれを無駄として削ぎたくはないんです。

ただ前述したようにスピードへ直結するわけではないので、どのように両立を図るか非常に葛藤しています。先輩から指示されたようにその通りやるのも良いのですが、自分で考えて、実践して結果から学ぶ経験こそが大きな力になります。

特にコンポジットはその側面が強いです。

自分の感性で作品の完成を導くので振り幅が大きいですし、そこに合わせて多くの引き出しを持ってもらいたいと思っています。どうしても無駄に見える部分ではありますが、若者達にはそういうことを進んで取り組んでいってもらいたいので今、私の中には大きなジレンマがあります。

特段良いアプローチができているかと言われるとまだ思案中といったところです。効率と泥臭い努力の両立ができる環境づくりに尽力していきたいです。


ー非常に大きな転換期を迎えていることがよく分かります。成長しているからこその苦しみでもあり、ありがたい悩みでもありますよね。悩みながらここまできた今までの7年を経て、これからの未来をどう見据えていますか?

創業当時は人も少なく、技術として提供できることも限られていました。それが仲間が増えてきたことで、外注さんの協力も得ながらではありますが多様な技術を提供できるようになりました。

そのおかげでNetflixのような世界レベルの大きな作品に携われるようにまで成長しています。

つまり、世界中のオーディエンスに見てもらえる作品を担えるまで成長してきているということでもあります。これからもこういった大きなチャンスは掴んでいきたいですし、今まで共にやらせていただいてきた監督やスタッフの方々がそういう作品に入られるのであれば今まで以上に協力していきたいとも思っています。それは社内だけでなく業界全体の底上げにもなりますし、しっかりと力を注いでいきたいですね。


ー白石さんの思う、内側からみたSpade&Co.の魅力はどんなところにありますでしょうか?

コンポジター目線でいうと、実写でこれだけ多くの映画をやっており、年間で担える本数が多い会社はなかなかないですよね。その分、他と比較しても経験値の上がり方が格段に速いです。コンポジターから始まり、ディレクターやスーパーバイザーを目指したいという人にとっては想像以上のスピード感でその未来がくると思います。

頑張れば頑張った分だけ努力は評価されやすい環境ですし、逆も然りではあります。努力してスキルを上げている人は誰が見ても結果を出していることが一目でわかりますからね。その努力が自発的にできる人が多いのは、大作に多く関わりスピード感と質の両方を求められる環境だからこその特別な魅力だと感じます。


ー白石さんから見たコンポジットチームのカラーはどのように写っていますか?

コンポジットチームはVFXの映画制作の最終的な工程を担当している立場になります。そのためCGチームが作り上げた素材と実写の素材を受け取り、そのショットを任されたら完成させるという作業なので黙々と完璧に仕上げていく人が多いです。

「ショットを完成させていくために何が必要か」など考えながら職人的に突き詰めていく人たちの集まりですから、常に楽しくとは言い難いかもしれませんね。お互いに協力しながら良質なコミュニケーションはとっている印象で、情報共有して各々が日々スキルアップしていくために集中できている空気があります。

チームの底上げができる良きライバルであり、良き仲間であるという一番良い関係を構築できているのではないでしょうか。


ー採用活動も担当されていらっしゃいますが、共に働く仲間を選ぶポイントはどのようなところにありますか?

コンポジターという点でいうと、大前提としてまずは向上心の高さが重要です。それに加え、フィニッシングに関わる作業ですから細部にこだわれるかどうかです。

また作業において自分で何が必要か調べ、考え、現実であればどんなことが起きだろうと探ることができるかどうかです。現実でその現象が起きた場合はどういう影響があるかリファレンスを探して、現実世界での見え方を追求するなど研究に没頭できるタイプで、細部にまでこだわりきれる気概のある人が良いです。

私は講師として専門学校などでコンポジットに関する授業をすることもあるのですが、多くの人は時間の制限があるので作業を途中で諦めてしまいがちです。その限りある時間の中で時間を逆算して最大限何ができて、完成をもう1%上げることができるのかにこだわれる人というのが理想的であり、弊社のコンポジターにはこのようなタイプが多いです。

担当したショットに深みを出すためにも、一般の視聴者にはわからないかもしれない1%にこだわることのできる諦めの悪い人材に出会えたら嬉しく思いますので是非ご応募お待ちしております。


インタビュアー:松田 萌友

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