Noteからの転載となります。
7/24パシフィコ横浜で開催されましたCEDECでの講演についての振り返りを書かせていただきました。
講演後、多くの方から質問やコメントをいただき、その中で改めて自分自身が考えるようになったことがあります。
コチラを振り返りとして、連載を終えたいと思います。
仕様書を作るのは、全自動or半自動なのか?
私たちは、DifyやNotion APIなどを活用しながら、AIによる仕様書作成支援の取り組みを行ってきました。そして、正直なところ、現段階では人間の手を使わずに完成に持っていくことはできません(もちろん目指してはいますが)。つまり、今のところは半自動ではあります。
そして、いつかは全自動、なのですが、それはそれで以下の疑問点が生まれるわけです。
そもそも、完璧なゲーム仕様書はあるのか?
色々ご質問していただいて、以下の問いが生まれました。これは、いいテンプレートはあるのか?といった質問をいただいたときだったと思います。
結局なところ完璧というよりも、自分は要件を満たす仕様書を書いていたことがわかったのです。
仕様書が超えるべきレベル(その通りにエンジニアやアーティストがコードやアセットを作れば、誤解なくゲームに必要な素材が完成する)を到達すれば、それ以上は目指さずにその時間で他のことをやったほうがいいという話です。
🛠 AIが出したものを、そのまま渡すことはできない
AIに仕様書を書かせると、形式的にはそれっぽいものが出てきます。
でも、それをそのまま社内で使ったり、クライアントに渡せるかというと、やっぱり難しい印象です。
それを一つひとつ確認して、調整して、文脈に合わせて整えていく。
(ここのコストと精度を磨き上げていくのがAIワークフローのテーマであるのは確実です)
この「最後の手直し」が思った以上に重要で、その工程にこそ“自分の仕事力”が問われると感じるようになりました。
これは、今のところ逃れられない作業で、これをそのまま投げてしまうと、つまり自分の責任を放棄する形になってしまうと考えます。
🔍 クオリティの基準は、誰が決めるのか?
AIが生成するテキストの質はどんどん上がっています。
ただ、それでも「これで十分だ」と判断するのはあくまで人間側といいますか、もう少し言ってしまうと、評価者であったり報酬を払うクライアントです。
たとえば、仕様書において「読みやすい」「伝わる」「誤解がない」「判断を支援する」などの要素をどうバランスさせるかは、明確な正解があるわけではありません。
結局、どのあたりを「合格ライン」とするかは、自分たちの業務や組織の基準、そして何より、受け手に対する配慮によって決まってきます。
📚 AIを“評価し、手直しする力”が問われる時代
もちろん、AIの導入によって工数は減らせますし、たたき台を用意してくれることで思考の助けになります。
ただ、そのたたき台を「自分の仕事として仕上げる」には、これまでの経験や判断軸がどうしても必要でした。
🧭 結局、仕事ってそういうものかも。。。
これはAIに限った話ではなく、もともと自分がやってきた仕事でも同じことがありました。
たとえば、部下やパートナーが作ってくれた資料をチェックして、最後に整えて提出する。
「こういうニュアンスで伝えたほうがいいな」と判断して、文言を微調整する。
その役割は、まさに“クオリティを担保する人”としての仕事でした。
AIもそれと同じで、「クオリティの最終ラインを決める人」が必要なんだと思います。だからこそ、AIの出力に頼るのではなく、自分の目で見て、整えて、責任を持つ。
それが、AI時代における“プロの仕事”なのかなと、今は感じています。
つまり極端な話、相手に仕様書のクオリティを指摘されて「それはAIがやったのでわからないですし直せないです」とは言えないわけです。
✍ おわりに
CEDECという場で、自分の取り組みを話す機会をいただき、それに対してリアルな質問やフィードバックをもらえたことで、
「自分はAIに何を求めているのか」
「どこからが“仕事”になるのか」
ということを改めて考えるきっかけになりました。
AIができることは確実に増えています。
でも、その成果物に責任を持つのは、やっぱり“自分自身”なんだと思います。
だからこそ、これからもAIをうまく使いながら、自分の判断力も一緒に磨いていきたいと感じています。