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【アニメ制作会社の中の人#03】若手IP運用インタビュー/モニターの前で指をくわえて見ているよりも、モニターの反対側にいきたい。

宋 京舟(ソン ジンジョ)。東京工科大学メディア学部卒。現在は『GREAT PRETENDER(グレートプリテンダー)』のプロデューサーと『攻殻機動隊 SAC_2045』の海外コーディネートを担当している。


入社3年目の若手ながら、プロデューサーとして製作委員会組成やビジネススキーム構築といった、企画サイドからアニメに関わっている宋さん。高校時代「アニメを作りたい」と一念発起し、中国から日本の大学に進学。その後も学部代表に選ばれるほど勉学に励みながら、仲間たちと一緒に地域のタウン誌を創刊・運営するなど、エネルギッシュな学生生活を送った。徹底的に行動派を貫く宋さんに、外からは見えにくい「アニメの企画」と、その働き方について伺った。



宋さん、今日はよろしくお願いします!早速ですが、宋さんはいまどのようなお仕事をされていますか?

現在携わっているのは、主に2つのタイトルです。1つ目は『GREAT PRETENDER』。I.Gが幹事会社を務め、グループ会社のWIT STUDIOがアニメーション制作をしている、完全オリジナル作品です。この作品でのクレジット上の肩書は、プロデューサーとなっています。


すごいですね!具体的な業務内容を教えて頂けますか?

仕事の内容は、主に3つになります。1つ目は、製作委員会幹事業務の一部です。例えば各種契約書の進捗管理だったり、条件確認だったりを行います。また、宣伝を担当してくださっている東宝さんと一緒に宣伝施策も考えています。2つ目はセールス業務です。世界中の視聴者に作品を見せるため、作品を好きになってくださる皆さまにコレクション商品を届けるためのとても大事で欠かせない仕事です。3つ目は本編の外国語監修で、作品の世界観を最大限守り、セリフや翻訳が演出意図に沿っているかどうかチェックをします。

ちなみに『GREAT PRETENDER』のPVを作ってくださったのは株式会社10GAUGEさんなのですが、このPVがとにかくすごく良くて、感動しました。

TVアニメ「GREAT PRETENDER」(グレートプリテンダー)ティザーPV


たしかに、とても魅力的なPVですよね!それでは、もう一つ担当されているという作品も教えていただけますか?

もう一つのタイトルは『攻殻機動隊 SAC_2045』です。そのうち自分が担当しているのは、海外販売・海外ライセンス業務になります。

自分が担当している海外販売の仕事は、一言でいえば「作品のバリューを使って商品を開発してwin-winなビジネスを構築すること」がメインになります。そのうち大きな収入源は、配信と商品化の2つです。『攻殻機動隊 SAC_2045』は中国でも配信できることを目指していて、中国のプラットフォーム会社さんと話して、条件をすり合わせて、ということを行っています。

また、日本以外の地域での商品化も担当しています。バンダイナムコアーツさんとの協業になります。一般的な商品化の流れとしては、企画提案を受け、委員会に共有して、委員会承認を得たあとに実働に入る形です。その後は契約書を結び、支払いを受け、商品監修を行っていきます。主に時間がかかるのは、企画書や契約の段階での条件や時期、企画内容の調整になりますね。


なるほど、若手ながらかなり幅広い活躍をされていますね。そういった仕事の中で、どんなときにやりがいや楽しさを感じますか?

作品によって違うのですが、『GREAT PRETENDER』の完成映像を関係者やライセンシーさんにご覧いただいた際、見てくださった方たちから作品の内容に対して好意的なリアクションを頂けたときは、とても嬉しかったです。

あとは、クレジットに自分の名前が載っているのを見ると、すごくわくわくしますよね、自分がこれまでやってきた仕事がちゃんと形を持って存在している、認知されている、これ以上に最高に自己顕示欲を満たせることってないと思います。


ご活躍されている宋さんですが、学生時代はどんなことをしていましたか。

学業では成績が認められて、卒業のとき、学部代表に選ばれました。変だと自覚していますが、授業ではいつも最前列で一人陣取っていました。卒論では「機械学習を用いたアニメ絵コンテの自動着色手法」を発表したのですが、これもとある学会で表彰いただきました。手を動かして人工知能ソフトでプログラムを組んで実験しました。目標としていることを実現まではできませんでしたが、様々な改善を重ねることで実現の可能性を示唆できたと思います。

学業以外では、「98!」という名前のタウン誌を作っていました。


タウン誌ですか!?

そうです。“求人八王子”、略して「98!」です。大学近くで学生のために何か面白いことをやりたいと思って、自分と同級生の男2人で企画して創刊しました。1コマ500円、1ページ16コマで学生向けの広告を集めていましたが、原価計算してみると、人件費はなかったので“ボランティア”でしたね。当初の想定通りなので問題なかったのですが、仕事でやると一瞬で会社がつぶれてしまいますよね(笑)。

結局、志を共にする運営の後継者がいなかったため途中で止まってしまいましたが、月いちのペースで7号まで発行することができました。ただ、1号を発刊したあとは、過労で1週間入院しました(笑)。


ものすごくアクティブですね(笑)。 ちょっとアクティブすぎるぐらいな印象ですけど、休日とかどういう風に過ごされるんですか?

基本的に、ゲームをしているか、アニメや映画を見ているか、ゲームしているか…です。最近よく遊んでいるのは『天鳳』(オンライン麻雀)と『World of Tanks』(PCゲーム)と『アークナイツ』(スマートフォンゲーム)と『Dying Light』(PCゲーム)です!仕事では運動量が少ないので『リングフィット アドベンチャー』(Nintendo Switchゲーム)も定期的にやります。自分の部屋で、Tシャツ・短パン・あったかいポンチョを羽織ってやるのがスタンダードです。

休日の過ごし方を再現してくれた宋さん。


急に親近感が沸いてきました。それでは本題ですが、なぜProduction I.Gに入社しようと考えたのでしょうか?

こういったとき、だいたいみんな「I.Gの作品が好きだから!」と言うのかもしれませんが、僕はそれが一番の理由ではありません。“人”がいるから、入りました。その“人”というのは、櫻井さん(櫻井大樹 現Netflixアニメチーフプロデューサー)と郡司さん(郡司幹雄 現IGポート執行役員 ※)です。プロデューサーの櫻井さんと、経営をメインにやっている郡司さん、このお二人がいるから、I.Gに入ろうと思いました。

※IGポート:Production I.Gをグループ傘下に持つ持株会社


人というのも、入社を決める際の大きな理由になりますよね。ちなみに、どういったきっかけでお二人のことを知ったのでしょうか?

きっかけは櫻井さんで、5年ぐらい前でしょうか。大学在学中、アニメ業界のインターンシップを探していたのですが、大学にそういった制度もなく、コネクションが全くない状態でした。その後いろいろ調べたところ、大学で櫻井さんが非常勤講師で講義を持っていたことがわかりました。藁にも縋る思いで、学部のいろんな人に櫻井さんのメールアドレスを聞いて回りました。

その結果、どうにか連絡先をゲットし、「役に立つかわからないけど話しませんか」と4、5回メールを送り続け、なんとか会ってくださる機会をもらいまして、そこからインターンが決まりました。

それから1年ぐらい経ったある日、自分が間違えて祝日に会社に出勤してしまったときがありました。誰もいない会社で呆然と櫻井さんに電話したら「仕方ないから自分がいま参加してるイベント会場にくる?」と『攻殻機動隊 REALIZE PROJECT』のイベントに誘って頂き、そこで現地にいらっしゃった郡司さんと知り合いました。

その後、『攻殻機動隊 REALIZE PROJECT』パンフレットなどの翻訳作業に参加することとなり、郡司さんともやり取りをさせていただいたのですが、郡司さんは年下の人にも敬語で話してくださいますし、若い人の言葉にも耳を傾ける柔軟な方だなと感じて、この人の下なら面白い仕事ができそうだと思ったんです。


I.Gに入るまでに、そんなストーリーがあったのですね!そのあと、就職活動自体はしたのですか?

もちろんしました。アニメ業界をいろいろな側面から考えて、メーカー、パブリッシャー、レーベル、放送局、また融資という切り口から銀行も受けました。最終的には、I.Gともう1社で考えていたのですが、先ほどの“人”が決定打でI.Gに決めました。あと、あまり大きい声では言えませんが、I.Gのトイレがきれいだったというのも、ひそかな決め手でした(笑)。


就活の時、意外にそういうところが気になったりしますよね(笑)。 アニメ一本に絞りきれていた理由はあるのですか?

そもそも、日本に来た目的がアニメだったので、アニメを軸に決めていました。東京工科大に入ったのも、アニメが勉強できるとCMで知ったからでした。高校まで中国にいて、アニメが好きだったのですが、ある時「モニターの前で指をくわえて見ているよりも、モニターの反対側にいきたい」と考えて、アニメの道に進むことを決めました。


高校からの目標だったのですね。それでは、次の目標はなんでしょうか?

自分で企画したアニメを作ることです!


素晴らしいですね!宋さんが企画されたアニメを見れることを楽しみにしております。ありがとうございました!


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