2022年5月末に愛媛県が起業家・創業支援として行っている
「EGF(Ehime Glocal Frontier)」のセミナーにて講演をしてきました。
講演では「ソーシャルビジネス」をテーマにお話をしたのですが、これを少し掘り下げてお伝えしたいと思います。
≪ソーシャルビジネスとは≫
「マルクって福祉の会社じゃないの?」
「マルクって障がい者支援の会社じゃないの?」
よく聞かれる言葉です。
どれも間違いではありませんが、正解でもないと思っています。
私はマルクって何の会社?と聞かれたら
「マルクはソーシャルビジネスの会社です」と答えます。
皆さんの中にも会社説明会や研修で、あるいはニュースなどで
「ソーシャルビジネス」という言葉を聞いたことがある方も多いと思います。
では、そもそも「ソーシャルビジネス」とは何なのか?
それは『何らかの社会的な課題をビジネスの手法で解決すること』です。
そして「ビジネスの手法を用いる」ということは、
社会的な価値だけでなく、事業的な価値を生み出すということです。
(これがマルクのグループビジョンの軸となる考え方【CSV=Creating Shared Value】に繋がっています)
なので、これをもう少し因数分解すると、
私はソーシャルビジネスとは、
『社会性 × 事業性 × 革新性 × 共感性』 という4つの要素から構成されると考えます。
≪マルク=ソーシャルビジネス?≫
それでは、これらの要素をマルクのやっていること(事業)に置き換えてみましょう。
我々の事業とは言うまでもなく「障がいのある方たちの社会的な自立の支援」です。
一見するとそれはとても福祉的で、
実際、事業としての成り立ちも福祉制度に根差しているものではあります。
しかし、少し視点を広げて自分たちの事業を見てみると、
障がいのある方たちの社会的な自立の支援に取り組むことは単なる福祉的な役割だけでなく、
①本人たちにとっては就労・自立の課題の解決
②企業にとっては人材不足の解消
③日本という国にとっては税収の増加と社会保障費の適正化
④社会全体にとってはインクルーシブな多様性を認め合う社会の実現
など、これだけ多くの社会的な課題を解決し、
同時に『社会的な価値』を生み出すことに繋がっているのです。
これを先ほどの「ソーシャルビジネスの4つの要素」に当てはめると、
社会性 =障がいのある方の支援を通じて社会的な課題の解決を目指す
事業性 =適正な収益を上げ、それをより多くの方の自立に繋がる事業に再投資して成長する
革新性 =そのなかで「児童の就労自立準備」「就労継続支援で日本初の株式上場」などこれまでにない新しい価値を生み出す
共感性 =その結果、世の中から信頼され応援してもらえる企業になる
ということになります。
「マルクは福祉の会社です」は間違いではないが正解でもない、
「マルクはソーシャルビジネスの会社です」という言葉にはこのような意味があるのです。
≪最後に≫
ソーシャルという枕詞が付いていても付いていなくても、
福祉の世界には『ビジネス』という言葉があるだけで拒否反応を示す人がいます。
理念を失い、金儲けや搾取が目的になってしまう所があるのもまた悲しい事実です。
ただ、我々には決して揺るぎない、目指しているのものがあります。
それはもちろん経営理念である
『強さと優しさが循環する社会の実現をもって解散する』です。
そして、その実現のためには、やはり「目の前の一人ひとりの支援に全力を尽くす」ことが
何よりも大切だということも我々は全員が知っています。
マルクはそのためにソーシャルビジネスという手法を取っているに過ぎません。
社会を実現するのは誰のため?
経営理念は何のため?
答えはもう分かりますね。
社会や理念という大きな概念も、巡り巡って目の前の一人ひとりのため、です。
その視点を失わないことも我々が目指す『循環する社会』の一つの形なのだと思います。
そしてそれを体現してくれているのは、
目の前の社員さんや生徒さんの支援に日々全力を尽くしてくれているスタッフの皆さんです。
皆さんがいてくれるからこそ、マルクはマルクで在り続けられるのです。