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合意形成のプロセスをデザインする。それがこれからのアートディレクターの仕事

プロジェクトのビジュアルを統括するアートディレクター。手掛ける領域はビジュアルデザインに止まらず、企画やスケジュール進行、チームのマネジメントなど多岐に渡ります。


業界や会社によっても仕事内容が異なるアートディレクション。ではインフォバーンのアートディレクターはどんなプロジェクトに携わり、どのような仕事を日々行っているのか。インフォバーンでアートディレクターとして活躍する上野さんに話を聞きました。


「プラスアルファ」を求めてインフォバーンへ


ーー上野さんがデザイナーになったのはインフォバーンに入社する前からですか?


そうです。キャリアのスタートからデザイナーでした。まずは地元である名古屋で、設立間もないWeb制作会社にデザイナーとして入社しました。名古屋なので自動車関連の仕事が多かったですね。


東京への出張も多く、東京ビッグサイトで行われていたショールームのブースデザインなどをやっていました。出張が多くて仕事も大変だったので、2年目ぐらいで「出張しないで済むように」と思って東京の会社に転職しました。インフォバーンの前職にあたる会社ですね。


ーーあんまり聞かない転職の理由ですね。その会社が2社目の会社でしょうか?


そうですね。そこでもデザイナーとして働きました。たぶん5年くらい働いたと思います。2社目にいて転職したいなって思ったのは、Webサイトの外側のデザインだけではなく、中身のデザインもできるようになりたいと思ったからです。


Web制作会社として、またはそこで働くデザイナーとして、プラスアルファ何かしらの長所が必要だと思っていました。私が2社目にいた会社では、そのプラスアルファの長所を見つけることができなかったんですね。インフォバーンに転職したのは、コンテンツという軸がしっかりある会社で、そこで働けば自分の新しい強みを獲得できると考えたからです。


インフォバーンのことは、もともと『WIRED』(インフォバーンCVO・小林弘人が日本版を創刊した雑誌)を読んでいたので、その繋がりで知っていました。『WIRED』の編集後記で小林さんや木継さん(インフォバーン フェロー)のことも一方的に知っていたので「私が知ってるから絶対マッチするでしょ」ってくらいの気持ちで応募した気がします。


合意形成のプロセスをデザインする


ーーポジティブですね(笑)。素人質問で恐縮なのですが、デザイナーとアートディレクターの違いは、前者が手を動かしてデザインをするのがメインで、後者がそれよりも大きな視点でディレクションする、という捉え方であってますか?


はい。アートディレクターの指示にしたがってデザイナーがデザインしていきます。デザイナーだったころ、アートディレクターの確認をとらずに進めてしまってめっちゃ怒られたこともあります(笑)。


しかし、今はそういった上下の関係性が変化してきている流れもありますね。クラウド上での同時編集など、ツールの進化によって「みんなで作る」っていうことがやりやすくなったからです。Aさんが作ったあとでBさんがチェックする。ではなく、AさんとBさんとCさんが一緒に触れて作っていく。というようなやり方も増えてきている印象です。


アートディレクターの仕事について、会社によっても違うと思うんですけど、インフォバーンの場合は制作を外部のデザインパートナーに発注したときの品質管理と、クライアントにデザインの意図を説明して説得する、ということが求められます。


ーー外部とのコミュニケーションが大切な仕事になるんですね。


そうですね。具体的なお仕事ですと、企業のインナーのコミュニケーション施策をお手伝いする仕事があるのですが、その仕事ではクライアント企業の社員の方々にたくさんインタビューをしていきます。


そこでのインタビュー自体が「素材」となります。その素材を元に、言葉やイメージを抽象的にして、何かしらのビジュアルやUIや機能に落としこんでいく。「こういう風なビジュアルが欲しいです」と言われて作るのではなく、対話を通してどのようなアウトプットにするかを自分で探っていく。そしてクライアントを含めたプロジェクトの合意形成に至るプロセスもデザインする、といったことをやってます。


プロジェクトによっては、誰の合意を得てどう進行していけばいいかがはっきり決まってないものもあります。その状態で進めると、優れたデザインを提出したとしても、参加者が納得することができず「私は違うと思ってたのに」となりがちです。その理由はきちんとした合意形成のプロセスがデザインされてないから。デザインの力で合意形成をしていくことがインフォバーンのアートディレクターとして求められるスキルだと思います。


▲関連会社のメディアジーンのデザインも手掛ける上野さん。営業や編集長、編集者など多様なステークホルダーとどんなアウトプットが必要か、どんなメッセージを伝えたいか合意形成しながら作ります


ーー実際にインフォバーンにアートディレクターとして入社すると、どんな仕事をすることになりそうですか?


さきほどお話ししたような、合意形成に至るプロセスのデザインをお願いできればありがたいですね。そのために、ただデザインするのではなく、クライアント企業の担当者とコミュニケーションをとっていただく機会も多いと思います。クライアントとの会議にも参加した方がプロジェクトへの解像度が上がり、アウトプットの精度も高くなるので。


会議に参加する際は、参加者の発言をまとめたり可視化したりしながら、交通整理的な役割を担うこともあります。これも合意形成に至るプロセスのデザインですね。ただこれはインフォバーン特有の手法ではなく、他社のアートディレクターさんもやってると思います。デザイン領域の潮流かなと。


インフォバーンではアートディレクターだけでなく、デザイナーも募集しているのですが、デザイナーとしてご入社された方には、クライアントと合意がとれた制作物の実制作を担当していただくことになると思います。そこで経験を積んでいただき、ゆくゆくはアートディレクターになっていただければなと。


探究心がある人はインフォバーンに向いている


ーー上野さんが考える「こんな人はインフォバーンに向いている」という人はどんな人でしょうか?


ポインティ。


※株式会社ポインティのCEO(チーフ・エロデュース・オフィサー)の佐伯ポインティさんに画像をご提供いただきました


ーーえ?


インフォバーンで働く100人くらいを重ねたらポインティになると思います。男性なら。


ーー温和な愛されキャラって感じですかね。だとしたらなんとなくわかります(笑)。それ以外だとどんな人が向いてそうですかね?


性格は探求心が強い方がいいですね。具体から抽象にもっていくことが今のデザイナーのキャリアとしても上流ではあるので、そういった領域を探究する気持ちがある方がいいと思います。


インフォバーンは編集出身の人が多いですが、デザイナーも編集的思考というか、そういった思考力、方向性があったほうが絶対にいいとは思います。逆に「自分のやる範囲はここまで」と自分の考える範囲を区切る人は向いていないのかなとも思いますね。


ーーちゃんとした回答があって安心しました。社内でデザイナーのスキル向上のための勉強会とかあったりするんですか?


勉強会っていうほどのものではないですけど、私が管理人をしているSlackチャンネルがあります。そこで参考になるデザインの記事などがあれば流すようにしています。一昨年くらいに勉強会も開催したんですが、最近やれてないのでご入社いただく方がいたら一緒にやってみたいですね。


ーーちょっと真面目なお話ばかり聞いてしまったので、ちょっと関係ない話を最後に聞きます。上野さんがインフォバーンで働いてきた中で一番思い出に残ってることってなんですか?


社歴が長いので逆にわからないですね……。つい最近のお話だと、小林(弘人)さんと『Netflix』のドラマの趣味が近いので、小林さんが見て面白いと言っていた『ビリオンズ』を今見てます。インサイダー取引を追う検事の話。


見てて面白いなと思ったのは、検事もトレーダーも誰も浮気しないんです。男性が多めの世界観でありながら愛妻家という設定が今っぽいなって思いました。


ーーなるほど。『ウルフ・オブ・ウォールストリート』とはある種真逆の世界感なんですね。


そうそうそう。どうしよう。ただの『Netflix』の話になってしまった。


ーーいいじゃないですか。では、ポインティさんに似てて、探究心があり、『Netflix』がお好きな方はぜひインフォバーンにいらしてください! 上野さん本日はありがとうございました。


ありがとうございました。



▼その他、インフォバーンのコアな情報(!?)はポッドキャストにて配信中。上野さんゲスト回も更新されましたので、ぜひチェックしてみてください! #19〜#21が上野さん出演回です。文化人類学系の本や旅行などについて熱く語ってます。

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