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【出張レポ】Vinexpo Asia 2023 in Singapore

WineBankの戸髙です。今年5月に世界最大級のワインの展示会であるVinexpoがシンガポールで開催され、参加して参りましたので、現地の様子をレポートします!

Vinexpoとは

Vinexpoとは、1981年にフランスボルドーで始まった世界的規模のワイン展示会。

ボルドーで始まりましたが、フランスの他の街、香港やニューヨーク、上海、そしてニューデリーなどでも、同じ主催団体による同種のワインイベントが開催され、今やワイン・アルコール業界を牽引するイベントとなっています。

Vinexpo Asia 2023 in Singapore


今回のシンガポール開催においては、アジア近郊のワイン業界のプロフェッショナルが多数参加。運営側によると、出展者の数は35か国から1,000社以上、訪問者は64か国から約10,000人が参加したとのことです。

会場全体は、大規模試飲会会場、セミナー会場、出展者ブースに分かれ、出展者ブースは国別に設けられていました。。展示国はフランスエリアが会場の約1/3を占め、イタリア、オーストラリア、アメリカ、スペイン、その他ヨーロッパ・ニューワールド諸国と続きます。

UGCB試飲会

UGCB(Union des Grands Crus de Bordeaux)

5/23に開催されたUGCB(Union des Grands Crus de Bordeaux)の試飲会に参加。

UGCBは、100以上のボルドー地域のシャトーが集まった組織であり(公式HPによると加盟シャトーは130)、今回は最新ヴィンテージである2020年の大規模なお披露目となりました。

朝10時~17時の開催で、開場時から大変な熱気。ボルドー各地区の代表的なシャトーのワインを一同に試飲できる機会は非常に貴重な機会となりました。

ボルドー2020年ヴィンテージ


2020年ヴィンテージは、6月頃に一部天候の不順でベト病の拡大が危ぶまれたものの、その後天候は回復し、乾燥し十分な日照に恵まれました。夏に雨量が少なかったこともあり、果皮は厚く、果粒は小さいブドウになり、凝縮感のあるワインになったとのこと。

出展者の多くが、難しい年だったが前年の2019年に続き良い年になったと仰っていたのも印象的でした。収量が少なかった一方コロナ禍でやや価格が抑え目となったことも特徴です。

ブースでの面談


総じてアジアの中でも日本市場におけるワイン需要の高まりとさらなる市場拡大など、今後のワイン市場の可能性についてコメントを得ることができました。ただ、東南アジアや中国でワイン人気の高まりが見られる中、日本はアジアの中でも一段成熟した市場であることが改めて理解できました。

ワインセミナー


展示会ではワインセミナーやマスタークラスも開催され、ワインの専門知識を深める機会がありました。

私は"What are Sommeliers looking for in 2023?"(ソムリエたちが2023年に求めるワインは?)というセミナーに参加。このセミナーでは、ソムリエが顧客のニーズに応え、業界のトレンドに適応するために注目している要素について詳しく説明されました。(パネリストのソムリエのプロファイルは、欧州、東南アジア、香港)

持続可能性とオーガニック

近年、顧客の中には、環境にやさしい選択肢を求める人々が増えており、ワインリストにおいても配慮する点が増えたとのこと。特徴としては、世界的なヴァンナチュールのシェアの拡大。ファインダイニングでのシェアはそれほど高くないものの、より若い年齢層をターゲットにした飲食店ではグランヴァンよりもナチュール人気が高まっている。Story Tellingであることも若者にウケている理由の一つ。

また、サステナビリティの観点から、生産者以外でのワイン業界は何ができるか?という議論の中で、空のワインボトルの処理や活用の可能性についてもコメントがあり、レストランにクラッシャーを置き、絶対量を減らしているといった話もあった。北欧では、バッグに入ったワインが増えてきているとの話もありました。(シンガポールの高級系スーパーでもバッグ入りワインを目にしました)

高いブルゴーニュ人気と代替ワインの可能性

欧州、東南アジア各国いずれにおいても依然としてブルゴーニュワインの人気が高い一方で、価格の高騰と供給数の問題により潤沢な在庫は持てなくなっています。

その中で、以下の産地が代替となるワインとして挙がりました。

ブルゴーニュの代替候補に挙がったワイン産地

フランス・ヨーロッパ産地

ジュラ、シャンパーニュ(スティル)、ローヌ、ラングドック、ボージョレ、スペイン、イタリア、ギリシャ、ジョージア

その他

オーストラリア、ニュージーランド、ナパ、南ア、ウルグアイ

ブランドより味わいやペアリング

レストランの形態、客層にも依るが、顧客が成熟してきた市場では、ブランドではなくワインそのものの味わいと食事とのペアリングを意識。未開拓の産地のワインを開拓する楽しみを求める顧客が増えている。(ただし、必ずブルゴーニュの熱狂的なファンは存在するので仕入は必須)

まとめ

今回の出張を通じて、世界のワイン業界の最新状況、アジアのワインビジネスの勢いの高まりを知る大変貴重な機会となりました。ワインリストをプロデュースし、現場に立つ世界各地のソムリエがパネリストとなったセミナーも非常に興味深く、ソムリエの視点からワイン業界の最新トレンドについて学ぶことができました。

出張レポート:戸髙 薫 / 編集:池田 眞琳

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