こんにちは、東急株式会社「URBAN HACKS」採用担当です。
URBAN HACKSは、交通事業を軸に不動産や商業施設開発、ホテル等多彩な事業を展開している東急株式会社が、街づくりにおけるDXを目的に、2021年7月より生まれた新組織です。現在、新たなイノベーションを生み出すべく、積極採用を進めています。
今回は、わずか3か月で「渋谷ワーカーズアプリ」をリリースした開発メンバー3名に、その背景やスケジュール、課題ややりがいをお伺いしました。
URBAN HACKSの強みである爆速開発の秘訣や、東急本体とのスムーズな連携など、プロダクト開発の現場の様子が伝わってきました。
URBAN HACKSの魅力は、新しく自由な仕事へ積極的に携われること
―URBAN HACKSでの業務内容と、入社理由について教えてください。
星川:私は以前、ソニーネットワークコミュニケーションズ(ソネット)でバックエンドやフロントエンドを担当していました。そのほかClassiやクックパッドでiOSエンジニアを務めた経験もあります。
東急に入社した理由は、不動産――特にマンションが好きだったからです。エンジニアとして物理的な街づくりに関われるような企業は、東急以外にほとんどありません。URBAN HACKSのことを知り、チャンスだと感じました。
またベンチャー企業は一般的に内製開発を行いますが、大企業は外注が基本です。作って放置されるだけのアプリが多い中、東急が自分たちでサービスを改善しようとしている動きに興味が湧き、2021年10月にジョインしました。URBAN HACKSでは、モバイルアプリエンジニアとして「渋谷ワーカーズアプリ」の開発を担当しています。
⇧アプリエンジニアの星川
森山:私は新卒でヤフーに入社し、UI/UXデザイナーを務めていました。その後ZOZOテクノロジーズやベンチャー企業を経て、2022年1月に東急へジョインしています。
私がこれまでのキャリアで感じていた課題は、大企業だと一つのデザインを作るために多くのステークホルダーの承認が必要で、デザイナーとして自由な制作が出来なかったことです。一方でベンチャー企業の場合は、自由がある代わりにリーチ出来るユーザーが少ないデメリットがありました。
その点、東急はリーチ出来るユーザー数が多く、URBAN HACKSでなら自由な動きも出来そうだと感じたのが入社理由です。URBAN HACKSでは、UIUXデザイナーとして「渋谷ワーカーズアプリ」のデザインを担当しています。
⇧デザイナーの森山
矢澤:私はこれまでIT業界の事業会社で働いており、主にWebやアプリの立ち上げ・グロースを担ってきました。領域はHRや医療、ECなどさまざまです。東急には2023年4月にジョインしました。
東急に入社した理由は、「これまでにない仕事が出来そうだ」と感じたからです。東急にはいろいろなアセットがあるので、それをかけ合わせるだけでもさまざまなチャレンジが出来そうだと思いました。特に、東急は最終的に「新しい街を作っていく」という目標があるので、そういう目標にデジタル領域から携わる仕事が楽しそうだなと感じています。
URBAN HACKSでは、PdMとして「渋谷ワーカーズアプリ」における東急事業部との連携や、不動産Webサイトのリニューアルに携わっています。
⇧プロダクトマネージャーの矢澤(のアイコン)
優待サービスの利便性UPで、東急ビル内ワーカーの満足度を高める
― 2023年春、東急が提供しているワーカーズ向け優待サービスのDXプロジェクトが始動しました。その目的について簡単に教えてください。
矢澤:東急が運営している渋谷のオフィスビルでは、たくさんの方が働かれています。そのワーカーさんたちに、東急ならではのアセットで満足度を高められるようなプロダクトを提供していくことを目指しています。今は、優待サービスがメインですが、将来的には、より多くの方が、渋谷・東急のオフィスビルに、さまざまな価値を感じていただけるようになれたら、と思っています。
星川:ワーカーの皆様に対する渋谷・東急のオフィスビルの価値を、どんどん上げていきたいです。そうすることで、賃料が上がったり、オフィスビルに入ってくださるテナントが増えたりするかもしれません。その手段の一つとして、既存のワーカーズ向けアプリ「Shibuya WORKERS」をリニューアルし、今後もより使いやすいものにしようと考えています。
矢澤:「ワーカーズ」とは、東急が運営している渋谷のオフィスビルで働かれている方々のことです。渋谷スクランブルスクエアや渋谷ヒカリエなどで働く方々ですので、大手企業の社員の方もいれば、個人事業主の方もいます。ワーカーズのペルソナや課題、アプリに必要な機能については、まさにこれから深ぼっています。
⇧Shibuya WORKERS アプリのイメージ
―以前のワーカー向け優待サービスには、どのような課題があったのでしょうか。
森山:東急のオフィスビルでは、ワーカーズ向け優待サービスとして「Shibuya worker’s pass」という、紙のカードを配っていました。お店で「Shibuya worker’s pass」を見せると「お会計より10%OFF」「ワンドリンクサービス」といった優待を受けられます。ただ、「Shibuya worker’s pass」の使い方に関する案内があまりなかったんです。その結果、どこでどう使えるのかがあまり知られていませんでした。今回のアプリのリニューアルは、こうした課題を解決する目的もありました。
星川:私も過去に「Shibuya worker’s pass」を使おうとしたことがあります。お昼休みにお店で昼食を済ませ、お会計のとき社員証ケースに入っていた「Shibuya worker’s pass」を見せたんです。すると「うちはワンドリンクサービスなんですよ」とのことで、会計前だったためドリンクはもらえず、悲しい思いをしたんですよね。こういう原体験も踏まえて、事前に優待の対象かどうか、優待の内容は何かが分かるようにしたいです。現状まだこの課題は残っていますが、今後の改善でさまざまな機能が追加されるので、ゆくゆくは解決出来ると思っています。
あともう一点、数年前に作られたワーカーズ向けアプリ「Shibuya WORKERS」が、ほとんど使われていないことも課題でした。メンテナンスもされていない状況だったんです。また、そのアプリや紙のカードで優待サービスを実施していた頃は、誰がどれくらい優待サービスを利用したかが分からない状態でした。今回そのアプリをリニューアルしたのは、サービス利用者のデータを把握したいという目的もあります。
⇧未来のユーザー体験のイメージ
爆速開発実現のカギは、密な連携とすり合わせ
―今回のアプリリニューアルは、どのような体制やスケジュールで進められたのでしょうか?
星川:体制としては、アプリエンジニアが私で1名、バックエンドエンジニアは当初0名でした。デザイナーが森山さん含め2名、PdMが矢澤さんで1名、POが1名の合計5名で進めました。
スケジュールとしては、4月の終わり頃に「開発が動き出すかも」という話があり、5月のゴールデンウイーク明けにキックオフしました。URBAN HACKSと東急事業部の間で、開発体制やアプリの未来像を話し合いました。その後、MVPの設計を話し合って開発に入ったという流れです。
森山:MVPの設計については、5月末には大体のデザインが出来ていました。そこで星川さんがすぐにプロトタイプを作ってくれましたね。
星川:6月中旬に、東急の次期社長に向けたプレゼンの機会があったので、それに向けてプロトタイプを作ったんです。POの田中さんとVPoEの宮澤さんがプレゼンをしてくれて、おかげさまで「ベリーグッド」と言っていただけたようです。あとは7月頭に、アプリに反映する店舗情報や優待情報など、必要なデータを東急事業部の方と連携して揃えていただきました。そこからデータを流し込み調整して、QAも行ったうえで7月31日にリリースしました。
⇧ビジュアルコンセプトやMVPのイメージ
―実質3か月ほどの爆速開発でしたが、リリース時期は7月末と決まっていたのでしょうか?
星川:いえ、「いけると思ったから7月末にした」というくらいで、特に急いでリリースしないといけない理由はありませんでした。ですので、情報の共有や開発が遅れていたら、8月リリースになっていたと思います。
―URBAN HACKSの開発スタイルはアジャイルとのことで、チーム内外でどのように連携されましたか?
星川:PdMの矢澤さんが中心となって、東急の事業部の方とやり取りしたり、仕様の詳細を詰めたりしていました。URBAN HACKS 側で集めたデータが正しいか確認や新しいデータの依頼をしたり、仕様が問題ないかなど事業部に見てもらっていたので、よく連携していましたね。
森川:前提として「ミニマルリリースしよう」という共通認識があったので、まず理想のUIを作ってみて皆さんにお見せして、それからアプリの機能のMVPを皆で決めた感じでした。
星川:皆でなんとなく合意したことを、矢澤さんが仕様として文章化してくれたので、私はその仕様書や森川さんのデザインを見ながら実装していく流れでしたね。
矢澤:私の方では、細かい点や未決定の部分をリストアップして、適宜相談したり認識のすり合わせをしていました。そして、プライバシーポリシーや利用規約など、機能面以外に必要なこともあったので、抜け漏れがないよう東急事業部の方々と連携しながら、確認しつつ進めていました。
⇧アプリのカスタマージャーニー
自由度の高さに比例した難しさも、チームプレーで乗り越える
―プロジェクトをリリースするまでに苦労したことや、やりがいを感じたことを教えてください。
星川:エンジニア目線ですと、さまざまなビルのいろいろなお店の情報を、ひとつのUIに表示することが大変でした。優待の内容やお店のカテゴリー、画像の有無など、お店によって内容もデータの揃い方も違ったため、整理されていない情報を綺麗にまとめる必要があったんです。そこをしっかりとやらないと、後々の拡張性が失われてしまうので、気を付けていましたね。あとは、東急の事業部側と連携してデータをもらうようお願いしていましたが、ただ待つだけではなく、お店のHPを参照して先にデータをまとめていました。その上で「これはこのデータでよいですか?」と事業部に確認形で進めていたので、それもスピーディな開発が出来た理由の一つかもしれません。
実装面では、東急ホテルズのアプリ開発の時と同じく、Flutterで開発しました。私一人だけでiOS・Android両方のOSに対応したアプリを作れたので、それもよかったですね。
開発に際しては、ぬるぬる動くような体験が出来るよう心がけました。アニメーションを入れることで、背景がぐりっと動いたり、画像がにゅっと動いたりするように作りました。自分から提案していろいろな動きを入れたので、とても楽しく働けましたね。今回、テーマ的にポップなデザインだったこともあり、それもアニメーションの動きの発想につながりました。あと、当時はバックエンドエンジニアがいなかったので、GoogleスプレッドシートやGoogle Apps Scriptを活用して、バックエンドにデータを置く仕組みを作りました。そこは結構頑張ったところですし、出来てよかったと思っています。
森山:デザイナー目線としては、ユーザーの属性やペルソナがはっきりしていない中で、デザインの自由度が高かったことが逆に難しかったです。機能もビジュアルコンセプトも自由な一方で、7月末まであたりにはリリースしたいという目標があったので、楽しい反面クオリティと納期の兼ね合いを見つけるのが大変でした。ここまで自由な開発は、初めてだったかもしれません。ただ、星川さんは詳細まで詰めなくても雰囲気をくみ取ってどんどん実装してくれますし、矢澤さんは事業部とのやり取りを全部引き受けてくださいました。2人のおかげで、私はデザインを考えることに集中出来てありがたかったです。
矢澤:PdM目線だと、対象企業が200社ほどあったため、データの粒度を合わせるための調整がなかなか大変でした。量もありますし、それぞれの店舗で出せる情報が違ってくるので、その調整は企業側とも結構すり合わせて連携していました。あとは、星川さんが先に店舗データを揃えてくださっていたのですが、その運用スキームが今でも役に立っています。リリース直前まで、東急の事業部から調整が入ることもあったのですが、そのあたりもすぐ対応出来るような連携でしたし、事業部の全面的な協力もあって、それも爆速開発の要因の一つかなと考えています。店舗情報は特に、ロゴや画像の調整が厳しかったのですが、2人とよく連携していたおかげでスムーズに進みましたし、ありがたかったですね。