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【コミュニティメンバー】Co-Studio COO兼SG Lab所長 今林へインタビュー

SG Lab所長 今林さんの武器

—— Co STUDIOに関わるまでどのようなことをされてきましたか?

京都大学工学系研究科では「無機量子化学」といって、化学反応を進める触媒の研究をしていました。卒業後、2005年にオムロン株式会社に入社しました。オムロンではエンジニアとして10年間勤務たあと、グローバル戦略本部やイノベーション推進本部に所属していました。

2020年2月に澤田さんとのご縁もあり、Co STUDIO株式会社にジョインし、COOに就任しました。同年の4月には株式会社Flower Loopを設立し、CEOに就任しています。Co STUDIOの子会社としてマイクロコミュニティ創造事業を実践しています。
2021年5月には子会社の528株式会社を設立し、COOに就任しています。


—— Co STUDIOではどのようなことを武器として活動されていますか?

オムロンに所属していた頃から、Co STUDIO代表の澤田と同じ部門でプロジェクトを検討していたこともあり「ファシリテーター能力が高い」と評価されていました。当時の僕はファシリテーターとして活動していたわけではなく、何を見てそう言っているのかわかっていなかったのを覚えています。

ファシリテーションは会議を円滑に進めるためのスキルで、おそらく「人の話を噛み砕いてわかりやすくまとめられる」ことを伝えたかったのでしょう。

Co STUDIOにご縁があったのも、新規事業のフワフワした話題をまとめる能力が重要だと言われたのがきっかけで、何度もそれを言われるうちにだんだんと自覚してきました。

ファシリテーターという潜在能力に自覚を持ち始めた私は、2020年7月に2030SDGs公認ファシリテーターという資格を取得します。国連が認めた日本生まれのカードゲームを使って、SDGsについて学校や社会人研修といった場面で教えることができる資格です。


—— オムロンではエンジニアとして活躍されていましたが、そこでファシリテーションが磨かれたのですか?

エンジニアの仕事では磨かれていないと思います。

私はオムロン生活の後半戦でアクセラレーションプログラムを担当していた時期があり、テック系ベンチャー企業の支援をするプログラムを企画運営していました。
様々なベンチャー企業を相手にメーカーの持つアセットを使った支援を行うコンセプトで、動きの速いベンチャーに臨機応変に対応する中で、企業や人と接しながら流れを止めない我流の「ファシリテーション」が身についたと思います。


今林さんが社会の冷たさに気づいた瞬間

—— 今までの人生で大きく考え方の変わった出来事を教えてください

28歳のときにエコノミークラス症候群と診断され、入院したことがあります。結婚2年目で仕事もこれからというときの出来事でした。エコノミークラス症候群は、4人に1人が亡くなると言われている病気で、診断後に緊急入院をして3週間ずっと24時間点滴を伴う生活を体験しました。

幸いにして手術の必要もなく、自分自身は元気でしたが、緊急呼出しボタンが至る所にあるようなフロアで生活していました。死を身近に感じたことで、人生について考えるようになったのは間違いありません。

さらに退院してからのできごとが、僕の人生観をガラッと変えました。退院し仕事も再スタートし、家を購入しようとしたときに、既往歴が原因でローンが組めませんでした。

30年近く生きてきて初めて、社会的弱者というレッテルを貼られたような感覚を覚えました。

この頃から社会は弱いものには冷たいんだと感じ、保険や社会保障などの社会の仕組みを学ぶことになりました。弱者になった瞬間に世の中から冷たく見放されるのであれば、ある程度、計算して生きていかなければなと思いました。

例えば、母子家庭と父子家庭では行政のサポート内容も大きく違います。グレーな部分や、知らないと損をする制度に気付けたのはすごく大きくて、社会課題が他人事じゃなく身近なところにある事に気付きました。困ったことが起こった時、世の中にもう少し手を差し伸べてくれる仕組みがあればいいのにと考え、自分にできることがないか探しています。

Co STUDIOにジョインするタイミングでも僕の考えを変えられた経験があります。先にも触れましたが、自分でも気づいていなかったたファシリテーションスキルに気付かされました
人前に立つことは苦じゃなかったのですが、それがファシリテーターとしての素養だと気付き、人は人から言われることでその気になるんだと感じました。
アクセラレーションプログラムでもベンチャーが困ったところを支援してきた経験とも重なり、「僕はこういう支援をやっていきたいんだ」と考えるようになり、僕も人に光を与えるような人になりたいと思っています。


—— その考え方は今の仕事に対する姿勢にどのように影響していますか?

スキルセットや人の肩書きに注目する人が多いけど、埋もれている経験やスキルについて社会は光を当ててくれません。その人が持っているポテンシャルを丁寧に聞き出して引き出していかないと、本当の自分の能力は陽の目を浴びることがないです。

おそらく、多くの人が社会で活躍できていないとすると、これが理由だろうと思います。

社会的な弱者というレッテルを貼られたときに、光が当たっている肩書きばかり気にしていると、レッテルを貼られてネガティブになってしまい、活躍の場を失ってしまいます。

「この側面では失敗したけど、こっちの面ではまだまだ活躍できる」となるような優しい社会が必要なのではないかと思います。

相手のポテンシャルを引き出すにはまず、相手に対して興味を持つことから始まります。そのためには自分が好奇心旺盛であることも必要でしょう。話しぶりやこだわりが見えたときに、おもしろがって興味を持つことは常に意識しています。

「それはすごいですね!」と聞けるようになると、話す側は気持ち良くなってどんどん話してくれるようになります。自分から話す状態になるとより深い部分を聞き出すことができるので、やはり興味を持って聞くことが大切です。相手の深い心情から開花させるべき能力を見出します

僕の場合は、大手企業出身の人間という陽の当たるキャリアがあり、話し相手からは「横文字をたくさん使いそう」「一方的に話されたらどうしよう」と思われることが多いようです。

しかし会話で相手に興味を示し、昔ながらの知り合いのように話すことで、いい意味でギャップを生み警戒感を解くようにしています。偉そうにするのではなく、これからも好奇心高く自分のスタイルを貫くつもりです。


調味料を掛け合わすことの「面白さ」

—— いままでの苦労をどのように乗り越えられたのですか?

自分の好奇心が原動力となっています。それぞれの性格は再現性がなく、百人百葉なので面白いなと思うことが尽きません。

人のパターンはありますが、深掘りしていくとこんなことがあったんだという感情が生まれ、こうやったら光が当たるかもしれないなと想像しています。相手に光を当ててそれが社会のために役立つことならなお良しです。

好奇心を持って相手と接することが楽しいので、乗り越えられています。


—— たくさんの苦労を乗り越えられてきた現在、仕事においてどのようなことが楽しいですか?

多くの人と接したり深い心情を知ったりするうちに「この人はこうやったら伸びそう」「この人とこの人を掛け合わせたら面白そう」と考えるようになりました。料理の味付けをする感覚で、相手の魅力(調味料の味)を知って掛け合わせるのか一つで成り立たせるのかを考えてより美味しい料理を作っているように思えます。
これは学生時代の化学反応の触媒の研究が役立っているのかも知れません。

528株式会社(弊社子会社)のジェシーさんと話したときも、僕は音楽のことがわかりませんでしたが「音符で表現してもらってもいいですよ」といいながらジェシーさんに自然体でお話ししていただきました。

全くわからない状態から相手の話を聞いて、試行錯誤していくうちに、理解できるようになった瞬間はすごく楽しさを覚えました

相手のことをおもしろがって実現に向けて進んでいく。世の中のおもしろい考えに触れることができる。そんな化学反応の場、あるいはクッキングスタジオ、それがSG Labだと思います。


ーー壁にぶつかったときに大事にしている言葉はありますか?

私は樹木希林さんの「おごらず、人と比べず、面白がって平気に生きればいい。」という言葉がとても好きなんです。樹木希林さんはいつでも自然体で、存在自体がオリジナルキャラクターとして確立していたと思います。

僕はこのような『自然体』が仕事に臨むうえで一番強いのではないかと考えています。多くの方は、場所や雰囲気、その場にいる人によってキャラクターを使い分けているかと思います。しかし私は「人は人、自分は自分でいい」と考えています。

従って自分が感じる楽しい、面白いということを大切にしながらもどのような時でも自分が持つ好奇心を曝け出すようにしています。


まとめ:今林さんの想い

—— 最後に、Co STUDIOで実現したいことにかける想いをお聞かせください。

僕が人の意見を聞いてまわってお節介をすることで、その人の可能性であったり社会のためになることを達成したりするのが目標です。

いきなり社会のためにとなると大それたことになってしまうので、基本的には個人をターゲットにして、個人に立脚してその人が光り続けられる仕組みを作りたいと考えています。

もっと多くを引き出す必要があり、そのためには僕1人では不可能だと思っています。僕以上に癖の強いお節介な人がSG Labにはいることで、その人の持ち味をさらに引き出すことができると考えます。シェフが増えるとその分いろんな味付けのサラダが増えるのと同じでしょう。

Co STUDIOにとって大企業の新規事業部隊や行政、スタートアップ等のビジネスサイドがメインのクライアントですが、公の場に出てこられない子どもや主婦、ハンディを抱えた人といった光があたりにくい人にも、焦点を当てて活躍の場を見出していきたいです。

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