こんにちは、スタジオ・アルカナのデザイナーの清田です。
今回の記事は、親会社であるナシエルホールディングスのコーポレートサイトが2025年8月にリニューアルした際に、私が担当したプロジェクトで使用した3Dモデル制作の裏側についてお話しします。
そのプロジェクトで用いたのが、私にとっては初めての挑戦となる「Blender」でした。以前から興味はあったものの、今回初めて本格的に触れることになりました。どのように完成までたどり着いたのか、その道のりをご紹介したいと思います。
1.イメージは手書きから
企業ミッションの視覚化
このプロジェクトの出発点は、「胸が高鳴る世の中に。」をミッションとして掲げるナシエルホールディングスってどういう会社なの?をわかりやすく具現化することでした。物件情報の提供、不動産仲介から店舗の経営戦略まで、企業の成長を360度支援するナシエルの姿を表現するため、話し合いを重ねて「ナシエルタウン」を創り出すことになったのです。
ナシエルを中心に、「その土地に店舗がオープンして人が行き来し、大きくなり、次のステージへ進む」を様々な店舗やビルなどを建たせ、街として栄えているイメージを作りました。 (メモ帳に描き始めたら足りなくなってしまい、裏側にテープを貼って繋げて作りました…)
初期イメージ(手書き感丸出し…きったなくてすみません)
Figmaでより具体的に
ナシエルの成長イメージを様々な店舗やビルなどを混ぜた形で手書きスケッチとして描き出しました。手書きのイメージを元にさらに具体的なビジュアルを構築するため、Figmaに移りました。
Figmaでは単なるレイアウトの確認に留まらずデザイン意図を明確にするための試作を繰り返しました。
- 初期試作(ナシエルカラー): まずはナシエルカラーを基調としたミニマムな街並みを作成しました(初期画像:左上)。
- 建物増加と配色変更: その後、もっと建物を増やしたいとのことで数を増やし(建物増画像:右上)、全体の色を変更して賑わいを出し(色変更画像:左中)、アイソメトリックな構図を横にずらしてレイアウトを調整しました。 またナシエルは支援する立場なので「中心」にあることに違和感があるとして位置を変更しました。
- 環境要素の追加: さらに横丁(横丁追加画像:右中)と市場(海追加画像:左下)もほしいとのことで追加。
- 最終調整: 最終的には畑も追加してデザインが決定しました(時間追加画像:右下)。
このFigmaでのプロセスを通じて、ナシエルと制作チームとビジュアルの方向性を確認し、修正を繰り返しました。
2.ここからBlenderで作り始める
Figmaでデザインが確定し、いよいよBlenderでのモデリングを開始しました。
立ちはだかったツールの壁
Blenderは、ショートカット、作り方、用語など、今まで使ってきたデザインツールとは全く異なるものであり、慣れるのに大変苦労しました。 使い方は主にYouTubeや書籍などで公開されているチュートリアルを見ながら、とにかく手を動かして習得していきました。
リアリティを追求するための現場観察
ナシエルは新宿にあるため、デザインした建物が近かったこともあり現場を見に行ったりして、リアリティを追求しました。この現場で得た具体的なディテール(例:建物の形など)の観察が、モデル制作の助けとなりました。
モデリングと雰囲気作り
まずは全体の外観の建物の形を作成し、その後マテリアルで色の設定を進め、徐々に街の雰囲気を出していきました。
最終段階ではライティングにもこだわりました。今回はより自然な表現を目指し、ワールドの「大気テクスチャ (Nishita)」を使用して、光の当たり方や環境を調整し、昼間のシーンを完成させました。
さらに、夜の街の雰囲気(夜バージョン)も作成しました(こちらは未リリース)。 ナシエルビルの照明に注目です…笑
3.ベイクと次回への学び
モデリングは出来上がったのですが、最終的にゲームエンジンで使用するためにはこのままでは使えないのでベイクする必要がありました。
☝ベイクとは
複雑な計算結果(ライティングやマテリアルの質感、物理演算の結果など)を画像データ(テクスチャ)に変換して保存する処理のことです。これにより、リアルタイムでの負荷を軽減し、環境に依存せず一定の見た目を保つことができます。
ベイク処理を行うために、まず3Dモデルの表面を2次元の平面に展開するUV展開が必要です。ざっくりですがイメージ的には牛乳パックをリサイクルに出す時に切って広げたあの感じです。この作業を建物一つ一つに処理していきました。
しかし、ベイクを完了させた後、見る側のPCスペック等の問題もあり残念ながら最終的なゲームエンジンでの表示が期待通りにいかないという結果になりました。これは次回以降に活かせる技術的な大きな課題と経験になりました。
4.やってみた感想
初めてのBlender挑戦でしたが、その経験を通じて多くのものを得ることができました。
最初の頃は「本当に完成できるのか?」という不安が常に頭の中にありましたが、ミッションを達成するために「なんとかして完成させるぞ」という強い思いで進めていました。
新しい技術を習得し、今までできることがなかったことができた結果、純粋に達成感と喜びがありました。不安がだんだんと薄れそれに変わって楽しさが大きくなっていったのが実感できました。
もちろん、3D経験者から見れば、もっと効率的で良い作り方があるのだと思いますがこの経験で私なりに技術が一時的に成長できたことは間違いありません。
この機会をきっかけにBlenderへの理解が深まり、今でも少しずつ勉強を続けています。
「10日でBlender4入門」という本で作成しました。