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第一印象は「地味」に見えた予防医療のビジネス。シリコンバレーでベンチャーキャピタリストだった岩上がポテンシャルを感じた瞬間とは?

こんにちは!採用担当の福重です!

今回はCFOの岩上のキャンサースキャン(以下、CS)にジョインするまでの経緯とCSにジョインしてからの取り組みとこれからについてインタビューをご紹介いたします。

(個人的には岩上さんがスラムダンクの画像を米倉さんとのMessengerのやりとりにも利用さてている点、グッときます。笑)

それでは、ぜひご覧ください!

予防医療にマーケティングの手法を取り入れ、がん検診や特定検診の受診率向上に貢献しているスタートアップ、キャンサースキャン。
現在CFOを務める岩上好博は、2019年にキャンサースキャンに入社しました。
代表の福吉が「岩上さんがこの会社にいなくなったら、この会社はダメになる」とまで断言するほど、キャンサースキャンの社員から深く信頼を寄せられています。

そんな岩上は、キャンサースキャンのビジネスを初めて聞いたとき「地味だな」という印象を持っていたそう。東大卒業後、モルガン・スタンレーからMBAを経てシリコンバレーのベンチャーキャピタルという華やかなキャリアを持つ岩上が、「地味」とまで感じたキャンサースキャンに入社したのはなぜだったのでしょうか? その理由を探りました。


■キャンサースキャン取締役CFO 岩上 好博 プロフィール


市場価値を高めるための最速の道として選んだ、金融のキャリア

―もともと、金融の道を志していたんですか。

父が、大手信託銀行の銀行マンだったんです。海外系のキャリアを歩み、支店長を歴任してましたが、会社の中で昇進していくにつれ社内の派閥争いにストレスを多く感じている姿をみてきました。また、優秀な部下がその能力を活かしづらいポジションに配属されていくことに憤っていたのは印象的でした。その後、父は50歳を目前にして外資系ベンチャーにCFOとして転職し、上場にまでこぎつけているんです。そんな話を聞いていたことから、なんとなく「日本の大企業には行きたくない」という気持ちが芽生えていました。

実際に就職活動で外資系金融の説明会に行ってみると、入社2〜3年目の若手の話が論理的で、密度が濃かったんですよね。1を聞くと10の内容が返ってくるような。それまで説明会で話を聞いていた、他の企業の社員とは違うと思ったんです。

この差はなんだろう。若手でも濃い話ができる人がいる会社と、中堅社員でも全く印象に残らなかった会社。この差に危機感を持ちました。自分が10年後に、どういう価値を出せるか真面目に考えないといけないと。自分が何に向いているかもよく分からなかったので、やりたいことが見えてきた頃に、仕事の選択肢を多く持てていた方がいいなと。そのためには自分の市場価値を高める必要があると考えました。最速で自分の市場価値を上げる場所として、外資系の投資銀行を選んだんです。受けた会社の1つではオフィス内にスターバックスがあった衝撃は今でも鮮明に覚えてます(笑)。


―投資銀行では、どのようなお仕事を?

投資ファンドの仕事が中心でした。機関投資家のお金を預かって、運用して収益を上げるビジネスですね。例えばマンションやオフィスビルに投資したり、上場企業の株に投資したり、未上場企業に出資をして価値を高める案件に取り組んでいました。

投資銀行の花形といえば、企業のM&Aや資金調達などにおけるアドバイスをするアドバイザリー業務ですが、僕は投資ファンドの仕事を選びました。支援する立場のアドバイザリーよりも、投資先を自分達で決めて、価値を高め収益をあげる実現方法を考えて実行する投資ファンドの仕事にやりがいを感じました。投資して問題ないかと精査をしたり、契約の交渉をしたり、投資のための資金を借りたり。全て投資担当がマネジメントしていたので、様々な知識を勉強することができました。

また、自分が配属になったチームにも恵まれました。トップからメンバークラスまで、僕が人生で会ったことのないレベルの優秀さで、プロ意識が高く、チームプレーを重んじるカルチャーだったので、心身ともに鍛えられました。


―その後、アメリカの経営大学院に進学して、MBAを取得しました。何かきっかけがあったのでしょうか?

仕事をしていくうちに、日本の将来への漠然とした危機感が強まっていったんです。2009年ぐらいから生活のなかで、徐々にアメリカ企業の存在感が大きくなっていきました。初めてMacBookを買って、その使いやすさを実感して。フェイスブックも流行し始めて、多くの人とつながることができるようになった。不動産投資業務の一環で、全国の土地や建物を見に行っていた立場としては、グーグルマップのストリートビューで、全国の物件をタダで一瞬で見られるのも衝撃的でしたね。そういったものが全部アメリカのシリコンバレーというところから来ているらしいということに気づいて。もはや日本勢がグローバルのイノベーションの話題から消えてしまっていたのです。

金融の文脈でも、「ジャパンパッシング」(日本は素通り。成長性がないので投資先とし無視される存在に。)という言葉が出てきた頃でした。少子高齢化が進む日本が、グローバルに存在感を残すためには、少ないリソースで大きな付加価値を生み出せるテクノロジーの活用しかないと考えるようになりました。そこで、ビジネスとテクノロジーを広く見るためにMBA留学を決めました。勉強が目的ではなかったんですが、大学院では意外によく勉強しましたね(笑)。

地味に見えたビジネス。そんなキャンサースキャンの第一印象が変わるまで


―キャンサースキャンとの出会いについて教えてください

現在のキャンサースキャンの副社長である米倉に誘われたんです。
MBA卒業後、シリコンバレーのベンチャーキャピタルのWiLで働いていたのですが、大学の同級生だった米倉に、キャンサースキャンのCFOの話を打診されました。

―キャンサースキャンに対しての第一印象は?

正直、自治体の市場というものがよく分からなくて、地味なビジネスだと思ってしまいました(笑)。

―その状態で、お誘いがきたわけですね。

いつも米倉と会うのはカフェなのに、その日は寿司屋で。分かりやすい接待をしてきましたね(笑)。


―ジョインのお誘いがきたときは、地味だなという印象だったんですよね。印象が変わったタイミングはあったのでしょうか?

そうはいってもキャンサースキャンは伸び始めていたので、自治体とのつながりや事業で扱うデータの価値を上手く活用できれば、さらに成長していけるのではないかと考えるようになりました。伸びしろにできそうな素材はある、と考えてジョインしました。成功・成長する可能性が未知数なベンチャーに飛び込むなら、うまくいかなかったとしてもその事業をやっていたことに意義を感じられ、やってよかったと思えること = 重要な社会課題 に取り組みたいという思いも強く、少子高齢化が進む日本にとってヘルスケアはまさにそれだと思いました。もちろんロジカルな判断だけでなく、私自身、過去に親が癌を早期発見できなかったことなどもあり、キャンサースキャンのビジョンには共感できる部分が多かったという点もあります。

―実際に入社してみて、キャンサースキャンの印象に変化はありましたか。

ポジティブなサプライズが2つありました。

まず、マーケティングのDNAを持っていることが、差別化になっていると感じました。競合企業が同じようなサービスを立ち上げても、なかなか同じような効果が出せない。マーケティングのコミュニケーションデザインの知見を持っていることの差が、想像以上に大きかったですね。

「検診・健診に行く」という行動変容を起こすうえで、1人ずつ対話をするのは、大変です。一方でマーケティングを活用すれば、効率的に集団を動かすことができます。「人と社会を健康にする」という、インパクトのあるミッションを実現するための手段として、マーケティングは有効な手段だと改めて実感しました。

次に気づいたのが、自治体の市場で、信頼と実績を積み上げることの難しさです。入社から数ヶ月後に、とある大企業からコールドメールで協業検討のお話をいただきました。自治体への営業を広げられずに苦戦していたんです。キャンサースキャンの実績を見て、共同営業のお声がけをいただきました。大企業でも苦労するほど、自治体にサービスを広げていくのは大変なことだと実感しました。その自治体という特殊なマーケットのなかで、基盤を拡大して維持していくのは、想像以上にアセットになりそうだと思いました。

自治体と協力ができるというのは、自治体の先にある住民の方々に価値を提供できるということなんですよね。自治体との関係を作ることができていれば、住民の方々のデータを活用して、確実にターゲットへメッセージを届けることができます。自治体とのリレーション、データ解析、そして、マーケティングの知見、この3つがないとできないことです。

行動変容を起こそうとすると、関連性のあるメッセージをタイムリーに送ることが一つのポイントになると思います。糖尿病ではない人に糖尿病のメッセージを送ったら、その人は気分を害するし、逆に当たり障りないメッセージを送っても行動変容は起きません。行動変容を起こすことができるメッセージを作って適した人にピンポイントで届けられることが、想像以上に価値が高いものだと思いました。

デジタル化と透明化に邁進した2年間

―入社してから取り組んだことを教えてください。

デジタル化と、透明化に取り組みました。
まずデジタル化ですが、キャンサースキャンはアナログな会社だったんですよね。色々なものが紙だったし、勤怠はエクセルシートで管理。当時の40人の社員全員分、式が壊れていないかもチェックして、一人一人の勤怠の確認作業を行なっていました…。そういった、アナログな仕組みを、勤怠ツールに置き換えました。社内の効率を上げるために、十数個のITツールを導入しましたね。
(参考:導入したツールの1つであるAsana社から当時受けた取材記事

透明化については、OKRを導入しました。キャンサースキャンとしての目標を決め、それに紐づいて、各チームが取り組むことを決める。さらに、各チームの目標に紐づいて個人の目標を設定しました。組織と個人が目指すことを決めたうえで公開することで、透明性を高めようとしました。透明性を高めることで個人が自律・自走しやすくなり、組織の人数が増えても変化に強くなり、パフォーマンスも向上すると考えています。目標の設定がきちんと行われていなかったので、その辺りを整備しました。

―これからどのようなことに取り組みたいですか。

守備固めをしながら攻めの手を緩めないことです。僕自身は足元ではセキュリティや業務改善の強化に一旦集中しますが、同時に向こう3〜5年において事業の高い成長率を維持するために、既存事業の拡大と新規事業の立ち上げのための手を打っていきたいと思っています。そのために攻守共に採用も強化しています。


―新規事業の具体的な内容は?

今はまだ広く潜在的な事業機会を模索しているフェーズですが、なるべく早いタイミングで勝負する領域を絞ろうと思っています。その際に意識している点は2つあります。

1つ目は、予防医療以外の分野も視野に入れるということです。広義のヘルスケアのなかで、幅広く仮説検証していきたいですね。キャンサースキャンのミッションに当てはまるものであることが大前提ですが。

2つ目は、素早くスケールするポテンシャルをもった事業にフォーカスすることです。ビジネスモデル上、ある1点を超えると、急速に伸びる可能性を秘めた事業であることは必須だと考えています。

弊社のコアバリューに「Social and Profit(社会貢献とビジネスの両立)」という言葉がありますが、これまでのキャンサースキャンのビジネスは、「Social(社会貢献)」から着想されたものでした。もちろん「Social」も保ちながら、よりビジネス目線から、短期間で高い社会的インパクトを出す規模のビジネスを、逆算思考でどんどん起こしていくことに取り組んでいきます。

(キャンサースキャン 取締役CFO 岩上 好博、取材・構成/吉田瞳、撮影/横田貴仁)

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