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元Wantedly CFO「超カオス。だから飛び込んだ」5年、10年先を見据えて事業のコアを創る

2019年12月、Wantedly元CFOの吉田祐輔さんがキャディに入社しました!

京都大学を卒業後、外資系投資銀行のモルガン・スタンレーで約6年株式アナリストとして従事したのち、外資系PRエージェンシー、旅行系スタートアップのtrippieceを経て2016年6月にWantedlyへ。コーポレートチームにて経営企画を担当し、その後執行役員に就任しマザーズ上場を経験。2017年11月に取締役CFOに就任し、予算管理、経理財務、IR、広報、法務等を統括。そして2019年12月、キャディに入社を決めた吉田さん。

上場企業のCFOという肩書きを捨てて、3年目に突入したばかりの製造業×テクノロジーのスタートアップへジョインを決めた経緯と背景を独占インタビューしました!!

「クビになる!」強い危機感が自分の中に根付いた

ーー今日はよろしくお願いします!まずは吉田さんのキャリアの変遷をお伺いできればと思うのですが、新卒で入ったのは投資銀行のモルガン・スタンレーだったとか?

そうですね、シンプルに成長できそうだという期待がありました。自分の限界に挑戦してストレッチできる環境に身を置きたいという気持ちで。また、年功序列ではないという点も重要でした。自分は工学部の建築学科だったんですが、建築の世界だと40歳でも若手と言われる世界。先に調べておくべきだったんですけど、それでは遅過ぎる!と思って。成果を出したら評価される環境を選びました。正直、待遇面も良かったですし(笑)

在職時は結構波乱万丈で、入社後1年経たずに不況がやってきて、自分を採用してくれた部長がクビになり、その3ヶ月後には尊敬していた直属の上司もクビに。会社全体でも10%くらいリストラされるような状況で、昨日まで近くで仕事をしていた人が、何の前触れもなく次の日からいなくなったり。。会社もひととき潰れかけ、自分はおそらく新卒だったという理由だけでクビにはなりませんでしたが、いきなり社内失業状態になりました。

もともと覚悟して入ってはいるものの、ダメだったらすぐクビになる、という危機感はこの時強く醸成されたと思います。もし現状維持でも時間とともに職位があがっていくような環境にいたら、きっと自分もそれに順応してしまっていたと思うので、最初にハードモードを経験できたのはある意味良かったと思います。

ーーそれはしょっぱなからハードモード過ぎますね・・!その後6年在籍し、転職に至った経緯は?

自ら元上司のやっていたことを引き継いで取り組んでいると、少しずつ社内でも認めてもらえるようになりました。その後、部内異動をきっかけに、株式アナリストとして外に出ていく機会を与えてもらって環境がガラリと変わりました。

それまでは自分がついている上司や社内からの評価だけを考えれば良かったのですが、外部の機関投資家の評価に晒されるわけです。歴戦のベテランたちと同じ舞台で結果を出していかなければならず、1人のアナリストとしてどう生き残っていくべきかを考えるきっかけになりました。

良い上司やチーム、社内外で関わる方々のおかげで若手としては一定の成果が出せたのですが、アナリストとしての経験が広がるに従って、会社を外から見るのではなく事業に直接関わりたいという想いが徐々に強まっていきました。そこで、30歳を目前にして、そもそも一生やりたい仕事なのか?と考えたときに、答えはNOでした。

ーー高学歴、高職歴の吉田さんだったら、引く手あまただったのでは?

いえ…実際はかなり難航しました。金融以外のところにいきたいというふわっとした気持ちしかなく、特段ここにいきたい、何がしたい、という強い意思がなかったんです。なのでメガベンチャーなどを受けましたがことごとく落ちました(笑)。思い返してみても我ながら29歳でこれじゃいけないだろ、という考えの浅さだったなと思います。

結果的に縁あって外資系PRエージェンシーへの転職ができました。アナリスト時代に培った「定量・定性の情報をもとに企業経営や業界動向のストーリーを描いていく」というスキルが、コミュニケーションのデザインをする戦略PRにも応用できるのでは、と初めてまともに自分のアセットの棚卸しができて、採用に至りました。

そうして外部から企業のPRコンサルを行う中で、投資銀行時代からもそうでしたが、いよいよ「事業会社で自社のサービスを通して新たな価値を生み出したい」という気持ちが膨らんできたんです。

事業会社で働いて改めて感じた「人の多様性と組織の重要性」

ーーそして自身初の事業会社へ、それもまだ10人弱だった旅行系スタートアップのtrippiece(トリッピース)を選ばれたんですね。

(結果的にそのあとに入社することになる)Wantedlyを使ってカジュアル面談を何社かしてみたんですが、その中でもtrippieceのミッションに惹かれたんです。少し意訳になりますが、「旅のような非日常な体験が生み出す、言語や文化は違っても好きなことは共通する人たちとの交流を通して、世の中を平和にしたい」という志でした。当時反中や反韓感情が高まっていたこともあり、国境を超えて人がもっと繋がることができればより良い世界になるのでは、と純粋に共感したんです。

入社当時はまだ社員数10人弱で、それこそ「なんでもやります」のスタンスで取り組みました。一人管理部をしながら、カスタマーサポートの仕組み化やオペレーション構築、資金調達や新規事業など幅広くいろんなことに携わらせてもらいました。

事業会社に初めて身を置いてみて気づいたことは、「人の多様性と組織の重要性」でした。投資銀行にいた時は仕事に対する姿勢やスタンダード、使う言葉もかなり統一されていて、極めて均一性の高い組織でした。それが事業会社ではビジネスサイドからテックサイド、バックオフィスまで職種の幅広さに比例して、集まる人材も多様なバックグラウンドや価値観を持った方々で構成されていて。その中で、当たり前なんですが、「相手の視点に立たないと仕事はうまく進まない」ことや、「事業は組織との両輪で初めてワークする」ことなどを肌身で感じることができました。

ーーそして在籍2年半ののち、前職のWantedlyに転職。何がきっかけだったんですか?

会社として結構大変な時期も乗り越え、新規サービスの収益化が進み、財務的にも安定し今後の展望も見えてきた段階で、逆に自身のストレッチ具合いが減ってきた感覚がありました。これは1社目で培った「現状維持は後退」の危機意識に紐づいてるかもしれません。

そのタイミングでWantedlyの方から声をかけてもらいました。Wantedlyは自分がスタートアップの世界に飛び込むチャンスをくれたサービスですし、採用する側としてもとても良いサービスでした。ミッションとして掲げている「シゴトでココロオドルひとをふやす」を、何より自分自身が仕事に没頭したことで体感していたので、他の人にもそんな選択肢を広げるために貢献したいと思いました。転職は多くの人にとって当たり前なライフイベントになっていくからこそ、知らないことで選べないという機会損失を減らしたい、と。

在籍3年半の中で管理会計、予算策定、上場審査の対応を行い、2017年11月にCFOに就任しました。従業員も40人に満たないところから3倍以上に大きくなり、責任の範囲や直接・間接にマネージする人数も拡大していく中で、スタートアップの上場前~後のフェーズを通じて企業経営の一端を経験できました。

「理念」と「事業」の両方に魅力を感じてキャディへ

ーーなるほど。そしてキャディに出会うわけですが、どんな心の変遷があったのか教えてください。

Wantedlyを通して、企業と個人がよりフラットになる世界を目指してきました。その間に大企業のトップから「終身雇用はこれから先維持できない」という公式発言が出てきたり、自分のキャリアは自分で築くものという認識が少しずつ広がってきました。確実に世の中が変わってきているのを感じ、その変化に至る要因はもちろんWantedlyだけではないですが、実現していく前線に立ち会えた感覚がありました。そしてこの流れは不可逆なところまできたな、というところで自分の中で一つ区切りができたように感じたんです。

その時にあるインタビュー記事でキャディのことを知りました。株式アナリスト時代に製造業を見ていたものの、製造業の受発注マッチングという点よりも、相見積もりに社長の半分の時間が割かれているという町工場の構造的な負を解消するという点に目が留まりました。企業を経営する側としての共感が大きかったんです。経営者は組織を作ったり、戦略を描いたり、販路や商材の拡大など事業運営が本来の仕事のはずなのに、現状ではそれが全くままならない、それが産業の競争力や社会の生産性を押し下げている、ということに強い課題意識を感じました。

ーー聞くところによると、キャディにはWantedlyを使って正面突破したとか!?(大胆・・)

そうですね、すごく興味を持ったので「話を聞きたい」を押しました(笑)Wantedlyはそういうサービスですから。そしたら代表の加藤さんと話す機会をいただけて。過去に良い意味で個性の強い代表を多く見てきましたが、加藤さんは高い次元でバランスのいい人だなと思いました。頭はとても切れるけど町工場の課題解決を含めて業界の負を解消することに対するパッションを強く持っている。そして、未来の事業戦略構想の具体性、解像度の高さに驚きました。

また、話してても虚勢を張ることもなくとてもフラットな姿勢を持っている方だなと。良いところも悪いところも正直に話してくれ、誠実さを感じました。ちょっと何か隠してそうだな?と感じることってあると思うんですが、加藤さんの場合はそれが全くないので、さぐりあわなくていい安心感がありましたね。これは他の経営陣にも共通の印象を持ちました。

ーー事業の面での魅力もありましたか?

ちょうどインターネットだけで完結しないビジネスの可能性にも関心が強まってきていたところでした。「Software is eating the world」と以前から言われてきましたが、実際に本格的な変化が起き始めてきたのはここ最近だと思います。「デジタルトランスフォーメーション(DX)」という言葉もチラホラ使われ始め、これからは巨大な既存産業をテクノロジーの力で変革していく動きが加速すると思いますし、自分としてもそこに貢献したかった。

その点、キャディは強いテクノロジーを持ちつつ、同時にテックカンパニーの範疇を超えてかなり泥臭く事業開発してるところに、難度の高さとおもしろさの両方を感じました。印象的だったのは、サプライパートナー開拓を担当している後藤さんが「キャディは泥臭いと言われるが、自分たちとしてはあえて「泥臭くあろう」とやってるわけではない。お客さんやパートナーさんのことを考えた先の行動が結果泥臭い、となっているだけ」と仰っていた言葉で。大事なことは現場や顧客の課題をいかに解像度高く理解して解決策を打てるか、だと思っているので、それを偽りなく自然体でできるマインドセットがあることに感銘を受けました。

”厚み”のある事業開発が必要だからこそ、強いジェネラリストが求められる

ーー価値観としてのマッチがとても高い印象ですね。12月から正式入社ですが、吉田さんがこれから取り組むことを少し教えてください。

カスタマーオペレーションシステム(COS)というチームで圧倒的なオペレーショナルエクセレンスの構築がミッションです。キャディの事業の強みは、テクノロジーとデータベースがあるからこそできる最適発注、そしてリアルなオペレーション(上流から下流までのバリューチェーン)を持ってること、にあります。

オペレーション構築は、いかに自動化・効率化・仕組化して既存産業の慣習では成立していないところにメスを入れられるか、が鍵。製造業ではまだまだ非効率な領域が多いですが、システム作ってはい終わり、というわけにはいかないのが難しくもおもしろいところ。完全自動化はやったらやったで逆に融通が効かなくなる領域もあります。自動化するところと人が介在して柔軟性を持たせるところとのバランスが大事です。

これらは一見地味だけど、卓越すれば簡単には真似できない競争優位性になるし、キャディのビジネスの場合、オペレーションから新たな事業展開を生み出すことまでできると考えているので、ワクワクしています。

ーー今このフェーズのキャディに入る魅力はどんなところにあると思いますか?

メディアでの露出が増えているため、もしかしたら、キャディはすでにあらゆるところが綺麗に整ってて、企業として出来上がっているように外から見えるかもしれないですが、実際は100に対してまだ0.01くらいのフェーズ。5年後10年後、振り返った時にキャディの基礎になるところを今作っています。超カオスです。だからこそ飛び込みました。そこに立ち会えるチャンスは、そもそも人生でそんなに巡ってくるものではないと思っています。

あとは”厚み”のある事業開発ができること、ですね。キャディの場合、カスタマー営業、パートナーアライアンス、バリューチェーンを支えるオペレーション構築、それらの裏側で走るテクノロジーと、関わる変数が非常に多い事業で、「この1点を突破すれば軌道に乗る」というシンプルな構造ではありません。緻密に計算していかなければならず、そのどれか一つ欠けても軌道に乗らない可能性があり、各チームが常に高いレベルで全体最適を考え抜く必要がある。そんな複雑性を持っています。

中長期的な視点で見たときにも、商材の拡張、物流最適化、ファクタリング、生産管理など、周辺アプリケーションサービスへの展開要素がたくさんある。これから先じっくり腰を据えてできそうな事業だと思っています。

これらの点から、スペシャリストだけでなく、視野や守備範囲の広い「強いジェネラリスト」も活躍できる会社だと思います。自分も経営管理からオペレーションへの転身という形ですが、今までの経験に役割が限定されないので、自分の可能性を広げられる環境です。

ーーそれでは最後に、どんな人と一緒に働きたいですか?

「危機感」を持っている人、ですね。今おかげさまで注目もされつつありますが、楽なことばかりではない、というかむしろ大変なこと99.5%で大変なことしかない、というのが正しいです。キャディが挑戦している業界はポテンシャルも大きい一方、難しさも大きい。めちゃでかい壁に思い切り突っ込んで跳ね返されることばかりでも、それもむしろ「望むところだ」と思って来てくれる人を歓迎します。

Photo by Yu Ueki

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