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「地球を守る仕事」を成し遂げたい――花王元ESG活動推進部部長の柴田学が語る、なぜ今booostでESGに取り組むのか【CSO(サステナ責任者)インタビュー】/前編

2023年1月、booost technologiesのCSO(Chief Sustainability Officer/サステナ責任者)に花王株式会社 元ESG活動推進部 部長の柴田学さんが就任しました。
就任に関するプレスリリース

今回は、柴田さんにESGへ取り組む背景やbooostへのジョインの経緯、今後について伺いました。


プロフィール

花王ESG活動推進部部長を経て、booost technologiesに参画
日本唯一のCDP「トリプルA」3年連続獲得をリード

柴田 学/CSO(Chief Sustainability Officer/サステナ責任者)
1988年、花王に入社。 研究所に所属し、さまざまな製品の生産技術開発と工場への実装を経験。その後、本社の環境の管理部門へ異動。環境全般と人権にかかる業務を推進。

エネルギー・GHG管理、再生可能電力、プラスチック関連、水管理、LCA評価をはじめとする環境分野全般と人権活動を専門とし、中長期戦略策定や目標設定、グローバルな管理体制の構築と運営などを実施。さらにCDPをはじめとする社外調査対応や情報公開も担当。気候変動やサーキュラーエコノミー、プラスチックの分野で複数の社外委員を務めるとともに、社外講演にも多数登壇。

2023年1月、booost technologiesのCSOに就任。



Q. まず、花王時代の話をお聞かせください。
なぜ、花王に入社されたのでしょうか。また、ESG関連の業務を担当するまでは、どのような仕事をされていたのですか?

花王への入社については、特別な理由や大きなこだわりはないのですが、強いていうなら親でも知っている会社に入りたいと思っていました。また、生活に身近な製品を作っている会社のほうがやりがいを感じやすいと考えていました。

入社後はケミカルエンジニアとして、研究室で製品化された石鹸や化粧品などをいかに工業化していくか、工業プロセスを考える役割を担いました。その一環で工場のオペレーションおよび建設にも携わり、現場についての経験や知識を培いました。



Q. その後、本社に異動となりESGに関わる業務をするようになったのですね。

はい、本社の環境の管理部門へ異動しました。まずは、工場を対象にした環境・安全の管理の実務を担当し、個々の工場の管理体制をグループ全体にも広げるため、トライアンドエラーを繰り返しました。

その後花王は、「環境に関して工場の中だけで対策していればよいのか」という疑問を会社として持つようになり、製品の環境負荷についても研究するようになりました。すると、CO2排出量を指標としたとき工場の環境負荷は、事業全体の10%にも満たないということが研究結果から分かったのです。

そこで全社的に、残りの約90%の環境負荷にも対応するため製品全体の環境に取り組もうという大きな路線変更に至りました。花王は昨今で言うscope3の重要性にいち早く気づき、scope1、2だけでなく3を減らすために、工場だけでなく製品および事業全体の管理体制を整えはじめたのです。

私はその路線変更のど真ん中で実務をやっていた訳ですが、先ほどの研究に携わるとともにその管理体制がどうあるべきなのかを提案するとともに、気候変動、水の管理、生物多様性、プラスチックなどの廃棄物といった環境全般についておおかたの経験を積みました。



Q. E(環境)以外のSG(社会、ガバナンス)の業務についてはいかがですか。

花王は生活者に身近な製品を扱うので、購買層の声をセンシティブに受け止めています。ですので、人権尊重に対する感度はとても高いです。そのチームをリードしていました。当然ながらDEI(ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンの略/多様性、公平性、包括性)についても取り組んでおり、人材に関するチームと歩調を合わせる形で、Sの重要項目である人権について一緒に取り組むという推進体制の構築にも携わりました。

Gについては会社全体の取り組みですので、一部の領域と運営をサポートしていたという形で関わりました。このような流れで、E全般とSの人権そしてGの一部において、一通りのESG実務を経験してきたということになります。




Q.現在booost にジョインし、引き続き企業の脱炭素およびESG課題に向き合っていらっしゃいますが、その根底にこれらの課題に対する想いやエピソードなどがあるのでしょうか。

研究所から環境管理の部門への異動は、自ら希望を出してという形ではなく、研究所時代の上司がたまたま環境管理の長をやっており、声をかけてもらったことがきっかけでした。その上司と、工場の環境対応の設備開発を手掛けたことがあったため、その延長線で環境関連の大きなことをやるのだと特に違和感なく異動しました。

思い返すと、大学一年生のときに一般教養の教科書で見た、ハワイのマウナロア観測所のことが頭に浮かんだのを覚えています。この観測所は温室効果ガスの濃度を長期的に記録しているのですが、あの右上がりのグラフに取り組むのだなとぼんやりと思いました。

当時はIPCC(国連気候変動に関する政府間パネル)の最初の報告書がでた頃で、社会的な意識はまだ温暖化にあり、気温が上がってからの気候変動についてはあまり認知されていなかったように記憶しています。

出典:ハワイ州観光局公式ラーニングサイト

エピソードとしては、異動に際して転勤があって、子供にこれから何の仕事をするか尋ねられたときの話でしょうか。子供は小学一年生だったので、「地球を守る仕事をやるんだよ」と答えました。それから勉強して、気候変動が将来の人たちにとって多大なリスクだということへの理解が自分の中でどんどん進み、30~ 50年後に「おじいちゃん、地球守ってないじゃん」と言われたくないという想いが強く芽生えました。この想いが大きなモチベーションとなり今に至っています。



Q.人権に関してはどうでしょうか。

人権も業務の一環で取り組むことになりましたが、基本的には同じモチベーションです。SDGsのウェディングケーキでは、環境の上に社会や経済が成り立っています。社会=人権あってこその環境や経済なので、違和感なく自然と取り組めているという感覚です。

出典=Stockholm Resilience Centre



Q.余談ですが、柴田さんが日常生活の中で行っているサステナブルなことがあればぜひ教えてください。

取り立て話すほどではないかもしれませんが、花王の人間でしたので、洗剤などの詰替えは率先して行っています。また、犬の散歩の際にゴミ拾いも行うなど、本当に身近なことを行っています。最近は、以前よりもサステナブルに配慮した製品も見かけるようになりました。

booostでも、カーボンフットプリント(商品・サービスのライフサイクルの各過程で排出された温室効果ガスの量を追跡し、 得られた全体の量をCO2量に換算して表示すること)が分かるサステナ素材の靴を履いている人がいますね。ただ、そういった製品は価格も高く、全ての生活者が購入するかというと現状は厳しいです。花王でも、アンケートでは購入するという結果でも実態は伴わないというケースが有りました。

私は100点を取ることはとても難しいと思っています。便利さや価格を我慢して、無理をしても継続ができません。小さなことでも続けることが大切だと考えます。


後編につづく!













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