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ジェンダー学研究者の、大学院進学までの過程として選んだITベンチャー就職。

2019年入社以来、営業部で活躍されている鈴木さん。大学では映像を通してジェンダーやセクシャルマイノリティについて研究をし、大学院進学を考えていたという。大学院進学の前に、あえて一度社会に出て働くことを選んだ理由についてお聞きしました。

苦い高校時代の経験。コミュニケーションのツールとして映像を学びたかった。

ー学生時代について教えてください。

 中学は吹奏楽に夢中でした。高校でも強豪校に進学し、1年生の頃から主力メンバーとして日々部活に取り組んでいました。中学の頃からリーダーとして周りを引っ張っていたこともあり、高校でも演奏を取り仕切るリーダーに選ばれました。でも「上級生もいる中で、どうして1年生がリーダーなのか」という上からのプレッシャーをいつも感じていて、下に見られるのもちゃんと役割をこなせないのも嫌で、自分にも周りにもすごく厳しく接していました。しかし結果として、メンバーや顧問との軋轢が生まれてしまい、途中でリーダ―を降ろされてしまいました。

この経験から、どれだけ自分が思う正しいことをやろうとしても、伝え方や手段が極端過ぎると誰も賛同してくれないし、本来やりたかったことも達成できないことを痛感しました。人との接し方や物事の伝え方に気を使うようになったのはここからです。

そういう経験を通して、言葉だけでなくその場の雰囲気や感情なども共有することができる「映像」を、伝え方のツールとして勉強したいと思い、大学では映像学部に進学しました。

大学3年生の後期からは、カナダのブリティッシュコロンビア大学(UBC)に8か月留学しました。日本にいるだけでは分からなかった価値観や、多様性の認知に感化されました。カナダは多民族国家であるため、ジェンダーやセクシャルマイノリティの分野でも人々の考えや知識が習熟していて、こういう価値観で毎日を過ごせるのは、自分にとってすごく生きやすい環境だなと思いました。めちゃくちゃカナダ良かったなぁ。

実はそのまま大学院に進学するつもりだったんです。就活も考えなくて、4年生の春に日本に帰ってきました。


居心地のいい環境を脱して、課題感を肌で感じたい。大学院までのひとつの過程として選んだ就職。

ーそこから、大学院への進学ではなく就職に至った経緯を教えてください。

 カナダでの経験もあって卒業研究では、ジェンダー、セクシャルマイノリティ、LGBTQ*(レズビアン・ゲイ・バイセクシュアル・トランスジェンダー・クィアの頭文字をとった性的少数派を表す略語)をテーマにしてドキュメンタリーを撮ることを考えていました。そこで、自らのアイデンティティにLGBTQを持ち、それをテーマに活動をしている5人組にカメラを向け、ドキュメンタリー映像を撮りつつ、かれらが行っているアイデンティティ形成について論文を書きました。

大抵の場合、社会的マイノリティは世間の”あたりまえ”から逸脱するプレッシャーがあるのですが、かれらを見ていると全然そういう要素が見当たりませんでした。それだけかれら自身の作る空間が、心理的安全性を確保する大切な居場所になっていたと考えられる一方で、似た価値観を持つ人同士のコミュニティには、(合意形成や協調性は育みやすいものの)新たな課題や、違和感に気付き難い表裏一体さがあるのかもしれません(※かれらの活動を批評する主旨ではありません)。

そしてそれは、今自分が大学にいる状況に似ているなと思いました。高校時代、上級生と上手く関われずリーダーを降ろされたり、突飛なことをしてしまうタイプで周りと馴染めないところもあったのですが、大学では他者との関係を気にすることなく、自分で判断し自由に行動でき、似た考えを持っている人たちに囲まれていました。返ってその環境が、研究を進める阻害要因になる気がしました。

大学院に行ってマイノリティや女性問題、そのアイデンティティ運動について考えていこうとしているのに、大学内だとそういった課題感はいい意味でも悪い意味でも見えてこなかったんです。このまま院にいってしまうと勿体無いかも、と思いました。

だったら一度社会に出て課題感を肌身感じてみようと思ったのが、進学ではなく就職を選んだきっかけです。大学院を諦めて就活をしたというより、大学院が延長線上にずっとあって、それまでのひとつの過程として就職をしています。


強みを活かし、弱みを克服するために選んだ営業職。

ーBearTailとの出会い、営業職を選んだきっかけを教えて下さい。

 就活中の8月に黒崎さんと大阪の食事会で初めて話をして、その後2daysインターンに参加しました。インターンでは、ある会社をM&Aで買収するときにどれくらいの金額が妥当か考えるタスクに取り組んだのですが、わたしは算数が苦手で、「数字は無理です」と事前相談していたのにも関わらず、こんなタスクを割当てられてしまいました。

出来上がった成果物も数字の部分は滅茶苦茶な内容になってしまったのですが、黒崎さんがすごく評価してくれたのが、プレゼンテーションだったんです。「話し方や振る舞いが営業に向いてるからぜひやってみなよ」って言われました。でも私は「営業しか候補はないんですか」と聞き返すくらい、営業は嫌でした。それでも黒崎さんは「確かに算数の所は壊滅的だったけど、営業のパフォーマンススキルはあるんだから、数字の部分は営業をやりながら解消できたら、それってなんか、鈴木さん最強にならない?」と。すごいポジティブで笑っちゃいました(笑)

そのあと内定を頂いたのですが、しばらく大学院に進学するか就職をするかで迷っていました。最終的には社会人を3年経験したあと、大学院に進学するというスケジュールを立てて、いったん社会に出ようという結論に至り、BearTailの内定を承諾しました。




社会人1日目にして感じた「なんで就職なんてしてしまったんだろう。」

ー実際に社会に出てみて、セクシャルマイノリティや女性問題について課題感は感じましたか?

 ものすごく感じました。特に「女性」についてです。実は就職1日目から「なんで大学院に進まなかったんだろう、なんで就職なんてしてしまったんだろう」って思っていました。わたしはBearTailの中では女性として初めて営業部に入ったメンバーです。社会全体でみても営業というポジションは圧倒的に男性のプレーヤーが多くて、女性というだけで、良くも悪くも若干異質に見られます。良い振る舞いをすれば、「女性のあの営業さん」と印象に残りやすかったりはしますが、若い女性だからと、少し見くびられた対応をされたこともあります。

また、一番衝撃的だったのが、毎年ビッグサイトや幕張メッセで行われるIT系製品・ソリューションが一堂に集まる展示会で、上場企業や有名なシステム会社がコンパニオンを採用していたことです。法人向けシステムの呼び込みのために、チアリーダーのような女性にドリンクやノベルティを配らせているのを見て「”女性”を客寄せ道具にすんなや!」「なんで業務効率化の検討の場で、男性の機嫌取りせんとあかんねん!」と、怒りと虚しさがこみ上げていました。

社会人になって一番ショックな出来事でした。正直展示会には二度と参加したくないです。

同時に、男女共同参画機会に関わるジェンダー格差の改善にはまだまだハードルが高いと思いました。最近では、現政権が小泉内閣時代に提言した「2020年までに女性管理職を3割に引き上げる」という目標に遠く及ばず、達成を10年先送りにしたことも話題でした。大学にいたときには気づけなかった課題感や問題点を、今本当に色々拾い上げているなあという感覚です


社会人として過ごす中で見えてきた、大学院進学だけではない道。

ー鈴木さんの今後について教えてください。

 カナダのUBCで研究を進めたいという気持ちがあります。留学で他国から見た日本を学ぶ機会が多かったのですが、国内にいたときよりも日本社会や文化の特徴が見えやすかったんです。また、マイノリティ問題や女性問題を解決するために、他国事例をもとに日本にローカライズした施策を考えることができるんじゃないかと期待しています。

一方、日々仕事をしていく中で「営業力」を高めることのメリットも感じています。

初対面の人と打ち解けて円滑な取引関係を作ったり、相手の課題感を汲んで解決の提案・実行することや、その価値を適切な価格で提供することは、どんな活動にも活かせるスキルだと思います。

例えば社会学研究の場でも、ラポール(調査者と調査対象者間の信頼関係)の構築や、問いを立てて研究のテーマを設定したり、その研究意義を訴求して研究費をとることが肝要です。「営業力」はかなり活きると思います。

また今では、大学院に進学する以外の選択肢も考えています。

ビジネスに身をおいて実感をしたのが、より広範囲に影響を及ぼすには市場を動かす必要があるということです。例えば、今やスマホの保有率は世帯で約八割(総務省「通信利用動向調査」)と言われていますが、それは行政や法律にスマホを持つことを強制されたからではなく、「生活が便利になる」と人々が認識しているからですよね。

ニーズがあって生活を良くする価値があれば、こちらから働きかけなくても多くの人の手に渡ります。そういった意味では、女性問題や社会的マイノリティに焦点をあてたビジネスソリューションや、プロダクト開発にも興味があったりします。

そんなこともあり、ある意味今後は不明ですね。BearTail で営業職に従事することについて、今は前向きに捉えています。


就職は社会問題を研究する「フィールドワーク」

ーこれから社会に出ようと思っている人や、大学院への進学を考えている人にメッセージをお願いします!

 社会問題について研究しようと考えると、フィールドは結局社会に立ち返ります。大学に居続けると思考がアカデミズムに偏るので、就職を「フィールドワーク」と捉えて社会に出てみるのは、結構ありなんじゃないかと思います。視野が広がるのもそうだし、何よりビジネスがわかる(市場を動かせる)研究者は強いと思います。

正直、身体的精神的に負担が大きいこともあるけれど、押し潰されそうだからこそ気付けることや、その体験をバネにして、アカデミアに戻ったときの研究テーマにしてやる!というモチベーションにつながると思います。だから挑戦する価値はあると思います。

辛くなったら、 一緒に飲みましょう。(笑)


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