「それいけケンダマン!」をMaker Faireに出展しました
こんにちは。BCGデジタルベンチャーズでエンジニアをしている岡田です。BCGデジタルベンチャーズは大企業のアセットとデジタルをかけ合わせることで新たな事業を生み出すという活動を行っています。ですので普段は「どういった潜在ニーズが存在するか」「どのような仕組みで大きなビジネスにしていくか」ということを考えながら事業開発を行っています。
一方で、業務外活動として「ユーザがいてもいなくても、自分たちのパッションを全面に出して、作りたいモノを楽しみながら作り、普段使わない技術やに触れ、それによっていろいろなことを学べるんじゃないか」というメンバーが集まり、DV Make部という活動を行っています。先日Maker Faire Tokyo 2019というイベントに「それいけ!ケンダマン!」という作品を展示してきたので、どのようなプロセスで作品を作ってきたのかご紹介します。
「それいけ!ケンダマン!」とは?
「それいけ!ケンダマン!」とは、高さ1.5mほどの巨大なけん玉のけんに、これまた巨大な玉を入れて遊ぶゲームです。ただし、けんと玉の間は紐で繋がれておらず、ドローンと操縦用コントローラを使って玉をけんまで運びます。
巨大なけんに玉が飛んでいきます
コントローラを操作することでドローンを操ります
物理的でシンプルなコントローラをつかうことで、ドローンの操縦をはじめてする人でも楽しく操作でき、光や音の演出によってゲーム性も高めたエンターテイメントになっています。ちなみに、ドローン自身による風にあおられてドローンが揺れたりするので簡単に見えて結構難しいゲームに仕上がっています。
この「それいけ!ケンダマン!」を8月3日と4日に東京ビッグサイトで行われたMaker Faire Tokyo 2019に出展しました。Maker Faire Tokyoはものづくりが大好きな人があつまるDIYの祭典であり、独創的な電子工作やロボット、クラフト、乗り物や新しいコンセプトの食べ物や服まで、さまざまなものが展示されています。作った人と観客が、目の前で動く作品を見たり触ったりしながらふれあい、話し合う大規模なお祭りです。「それいけ!ケンダマン!」もたくさんの子供たちや海外から来た方を含むさまざまな方にプレイしていただきました。
「それいけ!ケンダマン!」のアイデアの生み出し方
DV Make部の活動は「なにを作りたいか、なにを作ったら楽しいか」を考えるところから始まりました。メンバーみんなで「こんなものがあったら・作れたらおもしろいんじゃないか」というアイデアを簡単なイラストで共有し、イラストを眺めながらアイデアをミックスさせたり発展させたりして議論を進めました。
その中でマーケティング&ナレッジ担当であり2児の母でもある中根さんの「昔ながらの遊びを再発明したら誰でも楽しく遊べるものが生まれるんじゃないか」「たとえばARを使った絵のないかるたや、ドローンを使ったひものないけん玉とか!」という発想から「それいけ!ケンダマン!」のアイデアは生まれました。
たくさんのアイデアをスケッチにして机に並べて議論中
作りたいアイデアをアピールしていきます
「それいけ!ケンダマン!」の初期アイデアはこちら。音声認識でドローンを操作します。
まなんだこと:
- Maker Faireなど明確な目標と締め切りがあると検討や開発がすすめやすい
- 作りたいものをイラストやスケッチにして並べてみると議論がもりあがる
- 実現するためにパッションを伝えることが大事
制作過程よもやま話
ひとまず作りたいものが決まったところで、どうやって作るかを考えていきます。とはいえ、普段は主にデジタルサービスを開発しているメンバーなので、どうやって巨大なけん玉を製造すればいいのか、どうやってドローンを操作すればいいかなどわからないことだらけです。
とりあえず秋葉原に出かけて電飾用のLEDやコントローラの部品になりそうなものを探してみたり、ドローンを購入してPCやスマホから操作できるようにプログラムを組んでみたり。
その過程でできること・できないこともわかってきました。たとえば、もともとドローンのコントロールは音声認識を使って「右!」「左!」と叫ぶことで実現しようと思っていました。しかし、テストしてみると周りが賑やかな状況やインターネットの接続が悪い環境では音声認識の精度がうまく出ないことが発覚。急遽方針を変えて小型けん玉型のジョイスティックをつくってコントロールすることにしました。
ゲームコントローラーを改造してつくったけん玉型コントローラー
オリジナルアプリを作成してドローンを操作します
巨大な発泡スチロール製のけんの制作も大変で楽しいものでした。通販で長さ1.5mの円柱型巨大発泡スチロールを買い、それを発泡スチロールカッターで削ります。削ってるうちに発泡スチロールカッターが傷んでしまい急遽買い替えたり(結局削り終えるまでに3つの発泡スチロールカッターをダメにしてしまいました…)、大量の削りカスでオフィスの部屋が大変なことになったり(事前にビニール袋等で部屋を養生していてよかった…)。
大まかな形を削り出したあとでヤスリを使って表面を整えていきます。粉塵を吸い込んでしまうのかマスクをしていても喉が痛くなってしまい...粉塵マスクのようなプロ用の器具を使ったほうが良かったのかも。発泡スチロール加工をする際は皆さん気をつけましょう。週末を3週つかいようやくけん玉の形になりました。
スチロールカッターで大まかに形をつくっていきます
大量の削りカスが...
ヤスリがけして造形完了です
その後、塗装を行い完成!! 最後に電飾をけん玉に取り付けて完成です。電飾は距離センサーと連動し、玉がけんに着地したら光のパターンが変わります。
塗装を塗り重ねる事により味を出していきます
オフィスの一室でテストをしてみます
ここまでで、発泡スチロールやドローン、加工道具や塗料を購入するのに結構お金がかかってしまい、当初の予算をオーバーしてしまいました。そこで社内で募金活動(クラウドファンディング?)を実施。いくつかのリワードを設定した上で(カリグラフィーが得意なデザイナーが組み文字を作ってくれる、エンジニアが持っているガジェットを使って遊ぶなど)、社内で応援してくれる人を募集し、支援をいただきました。社内の皆さん、ありがとうございました!
まなんだこと:
- 電子工作やドローンプログラミングなど、やったことのない試行錯誤は時間がかかるけど楽しい
- やりたいことベースで考えたアイデアは開発が難しい部分が出てきてしまう。柔軟にスコープを再検討しよう
- 発泡スチロール加工や塗装など、物理的な加工のときは安全に気をつけよう
- 予算オーバーも逆手に取ってクラウドファンディングイベントにすると楽しい
そしてMaker Faire当日!
けん玉やドローンなどをMaker Faire Tokyo前日にビッグサイトに搬入しました。今回、小型とはいえドローンを屋内で飛ばすということで、事故が起こらないように、タープと防炎ネットをつかいブースを覆いました。
加えてグラフィックも造形もできるデザイナーの金浜さんがデザインしたロゴ、キャラクターをパネルにしてネット内に配置しました。無骨だったブースが一気にエンタテインメントな空間に!!
けん玉と装飾を安全確保用のネットに配置して準備完了!
ネットの外にも急遽提灯を配置しました
当日は子供たちや親子連れの方、ドローンの専門家の方を含むたくさんの方に「それいけ!ケンダマン!」をプレイしていただきました。BCGDVメンバーもたくさん来場してくれました。
たくさんの子供たちにプレイしていただきました!
開発メンバーの一人、桑水流さんとその娘さん。めっちゃかわいい!!
当日はたくさんの来場者がいるなかで、ドローンとコントローラの間の無線LAN通信が不安定になる問題が発生。隣のブースの方から「金属板で全体を覆うことで周りの無線を遮断することもできるよ」とアドバイスいただき、急遽コンビニでアルミホイルを大量調達しました。アルミホイルをネットに貼り付けることで、いくらか通信を安定化できました。効果あるかわからないことでも、とにかく何かやってみることは大事ですね。
急遽アルミホイルを張って電波を遮断します
会場にはさまざまなおもしろガジェットが展示されていました。DV Make部の多くはMaker Faireの参加自体が初めてで、たくさん刺激をうけました。みなさん、高い技術力と強い熱意を持って自分の作りたいものを作って展示しており、私達も「それいけ!ケンダマン!」を改良したり、新しいなにかを生み出したいと強く感じました。
まなんだこと:
- 展示で実際のユーザと触れ合えること、フィードバックがもらえることは嬉しい
- 展示本番では予想しなかったトラブルが起こる。バックアップを用意したり、現場で柔軟に対応できるようにしよう
- アツい作品を体験したり、作った人と話すことはとても刺激になる。また参加したい!
2日間とても刺激的でした!また出展したい!!