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もっと楽しいことをする、その先に「働く」概念すらも変えていく——社内メイカソンイベントを開催し続けるエンジニア魂

「!nnovate (イノベート)」と名付けられ、アバナード日本のメンバー限定で実施されるメイカソンが、2022年で3度目の開催となりました。

!nnovateとは、あらかじめ定められたテーマにそって少人数のチームで課題を探索し、課題解決のためのユニークなアイデアを出して、最小限の機能を実際に作って、競い合うイベントです。

毎年エンジニア魂がぶつかり合い、年々盛り上がりを見せている !nnovate。果たして今年はどんなメイカソンになったのでしょうか。

イベント創始者でありアバナード日本のCTIO(最高技術革新責任者)を務める星野さん、今年度のイベント運営責任者でありアバナード関西でシニアディレクターを務める杉本さんに話を聞きました。

!nnovate から生まれ育まれている価値、そしてメイカソンを開催し続ける理由とは——。

[ 写真左:星野、右:杉本 ]

星野 友彦(ほしの ともひこ)/CTIO(最高技術革新責任者)
数社のSIerを経由し、2006年アバナードに入社。ハイテクや製造、金融など幅広い業界、プロジェクトにシステムアーキテクトおよびITコンサルタントとして従事。その後、モバイル事業やIoT事業など、複数の事業を牽引。働き方改革の責任者なども務める。2018年5月に最高技術革新責任者に就任。!nnovate の創始者。

杉本 礼彦(すぎもと よしひこ)/シニアディレクター
ソフトウェアエンジニアの経験をもとに30歳で会社を設立。スマートフォンアプリ、スマートデバイスの受託開発を展開し、2013年にメガネ型ウェアラブル端末「mirama」を発表。国内外から注目を集める。2017年に同社を売却して経営から退き、2019年5月アバナードに入社。関西オフィスに所属する第3回 !nnovate の運営責任者。

CTIOチームが敗れる!大波乱のメイカソン

——2022年はどんなテーマで !nnovate を実施したのでしょうか?

杉本:今年は「身近な課題から、世界の課題へ」というテーマで開催しました。自分自身や、身近な困りごとを解決できるような仕組みやモノ、サービスを作って競い合いました。

身近な課題をいかに発見するか、どこまで深堀りできるか、どう解決していくか。
身近な課題解決というのは、実は世界的な課題を解決する可能性を秘めていますから、ビジネス規模拡大にもつながると考え、このテーマに定めました。

▲アバナード関西責任者の住岡さんTシャツで登場した杉本さん

—— !nnovate には誰が参加できるのでしょうか?

杉本:日本のアバナード全社員がポジションや役割に関係なく、誰でも手を挙げて参加することができます。今回は30名の定員で、今年入社したばかりの新卒からCTIOまで、幅広いメンバーが参加しました。

——CTIO!?星野さんも参加されたのでしょうか?

星野:はい、今年は参加者として加わりました。私はイベント発案者でもあるので、過去2回は運営側だったんです。でも実は、毎年出たくて出たくて仕方なかったんですよ!

今年は杉本さんが運営をやってくれたので、念願叶っての出場でした。

今年僕らのチームが作ったのは、この「インテリ冷えマスク」。

インテリジェントにマスク内を冷やしてくれるという意味で、電源を入れると温度センサーと湿度センサーが体温や汗ばみ具合を感知して、体温の具合によって冷たい空気を吸えるようにしたり、暖かくしたりといった調節を可能にするマスクです。

▲インテリ冷えマスクを装着する、ちょっと怪しげな星野さん

星野:このマスクを着ければ体温調整に苦労することがなくなるし、そうした人が増えていけば空調のための無駄なエネルギー消費が削減できる。SDGsにつながっていくのではないか、と考え制作しました。

——確かに、夏になると「エアコンが効きすぎて寒い…」ってことがよくあります。

星野:ですよね!年齢と共に体温調整機能が失われていくという話があり、将来の自分のためにも、そうした身近な課題を解決していくことで、いま世界的に課題となっている地球環境の課題解決に繋がっていくといいなと思ったんですが……。

——ですが…!?

杉本:実はね、この面白いアイデアを抑えて優勝したのは、今年新卒入社で、入社して1ヶ月ちょっとのメンバーが半数、しかもリーダーはその新卒新入社員というチームだったんですよ。

今年も大白熱!思い返すと、!nnovate はいつも何かが起きていますね。去年優勝したのはマネジャークラスのメンバーが在籍しない、若手チームでした。年次や経験に関係なく、純粋に良いものが評価される。これだから !nnovate は面白いんですよね。


フレームを作った1年目、アップデートした2年目。民主化した3年目

——そもそも、なぜ星野さんは !nnovate を開催しようと考えたのでしょうか?

星野:実は、アバナードには以前からこうした取り組みがあったんです。でも新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、オフラインのイベントが全面禁止になってしまいました。

技術者としては、作り上げたものを披露する瞬間というのはすごく貴重です。その機会をなんとか作りたい、それもできるだけ楽しく。そんな思いでスタートしたのが2020年の第一回 !nnovate でした。

初回は僕が直接声掛けをして参加者を集め、主に根っからのエンジニアが集結。そこにセールスメンバー、ユーザーインターフェースやユーザーエクスペリエンスが得意なメンバーが加わって、全体バランスを整えた5名1チームの数組が競い合う構成にしました。

2年目は、完成度を高める意味でフレームは変えず、審査する方々を厳選。著名な方や、ユニークな専門家を招いたり、モチベーションが上がるよう賞品にも力を入れたりしました。

——過去の経験を踏まえ、今回はどんな意識で運営されたのでしょうか?

杉本:今年は柔軟性を意識し、運営メンバーも参加者も立候補制で集まりました。

1チーム5名だった制限を撤廃し、4名チームが1つ、6名チームが1つ、7名チームが3つ、計5チームが出場。参加にあたっては、チームリーダーとメンバーで応募枠を分け、リーダーがメンバー集めやチーム構成もできるようにしました。

——評価や順位付けはどのようにされたのでしょうか?

杉本:PowerAppsで投票アプリを作り、社員全員が審査および投票できるようにしました。

星野:この民主化は大きな変化だったんじゃないですかね。熱量が例年の10倍ぐらいあったんじゃないかと感じました。

——具体的にはどんな変化を感じたのでしょうか?

杉本:今年は、先にお話ししたようにチーム形成もリーダー自身が行い、社内のSNSを活用したマーケティングも各チームで実施できる設計にしました。

つまり、チームで自ら考え動かないと勝てない。そんな仕組みにしたんです。それもあってか、参加者の熱量がすごかった。

正確に効果測定したわけではなく、あくまでも私の体感値ですが、優勝したのは、社内SNS上でうまくマーケティング活動を行っていたチームでした。作り上げるものの良さだけでなく、審査員である社員全員にいかに魅力的にみせていたかも、大きく勝敗を分けたように感じます。

▲参加者として出場した第二回 !nnovate のチームTシャツに、いつの間にか衣装替えしている杉本さん


優勝チームのアイデアは非公開。その理由とは…

——そこまで全体企画を柔軟にした理由はあるのでしょうか?

杉本:それは、人を育てたいという思いからです。!nnovate を通して「モノではなく人をつくる」という点に、星野さんとこだわりました。

スタートアップ企業というのは、仲間集めもマーケティングも全部自分たちで行うじゃないですか。

そんなリーダーを育てたいという想いから、今回の企画になりました。

星野:やっぱり、リードとして立候補してくれたメンバーは、ひときわ情熱的でしたよね。その情熱を大事にすること、そういう人が育つようにすること。その仕組みづくりを意識しました。

——そういえば、優勝チームがどんなアイデアだったのか、ぜひ聞かせてください。

杉本:それは、ちょっと僕らの口からは言えないんですよ。

なぜかというと、今年のイベントは「会社の業務時間外で実施する」という選択ができるようにしていました。つまり、それを選択したチームのアイデアやプロダクトの諸々の権利というのは、アバナードではなくチームに属するんです。

ですから、紹介したくてもできないんです。

——ともすると、アバナード社員の彼らは、今後ライバルになる可能性も…!?

杉本:そうなんです。だから、それを許容したCTIOの決断はすごいと思いますよ。

星野:そうですか?だって、「強敵」と書いて「とも」と呼ぶことって、よくあるでしょう?まさにそういうこと。一緒に刺激しあって、互いに良くなっていけたら、最高に楽しいじゃないですか。

▲星野さんのTシャツは、第二回 !nnovate でお蔵入りになった幻の賞品!?


なによりも大切にしたい、テクノロジーへの情熱

——実際に参加された方からはどんな声があったのでしょうか?

星野:「アバナードに入ってよかった」とか、「コンテストは大変だったけど楽しかった」とか、「いい経験ができた」という、たくさんの嬉しいコメントをもらいました。

現在のようにリモートワークが中心の仕事スタイルだと、社員とのエンゲージメントが希薄になることも少なくない。そうした中でもらえたこれらのポジティブな言葉は、とてもありがたいです。

それに、売れるサービスを作ることがイベント開催の目的ではありません。

コンテストを通じて、さまざまな課題を読み解くこと。
共感を得るためには何が必要なのかを考えること、それを生み出すチャレンジをすること。

そこに大きな価値があると思っているので、そういう意味では、毎回とても驚くようなアイデアが具現化され、素晴らしい成果を出せていると感じています。

実際に、重要なエッセンスを洗練して、社内利用できるサービス構築へ発展していく動きも出ています。

——素晴らしい成果ですね。

杉本:成果といえば、今回の !nnovate の出場を着実に仕事につなげているメンバーもいて。
なんていうかね、ズルいチームがいるんです。

——どんな成果を出したチームがあるのでしょうか?

杉本:Microsoftの製品の「Project Bonsai」という、AI 開発のローコード プラットフォームを活用してロボットを開発したチームがあったんです。

新しいテクノロジーを活用するのは素晴らしかったのですが、実は、今回のテーマからは逸脱してしまっていた部分もあり、テーマだけで採点したら通常0点。

ところが、!nnovate で発表したことが、Project Bonsai 活用事例のいい社内アピールになって、今アバナード内で Project Bonsai の案件があると、彼らへ依頼が集まるようになっているんですよ。

それだけにとどまらず、さらにProject Bonsai についての本を執筆する話まで動き出してる。
なんだか、すごいことになっています。

星野:去年までは審査基準を明確に設けていたので、テーマに沿っていないなどがあれば減点になって、順位に反映されるような仕組みにしていました。でも今年は、そのあたりもあえて柔軟にしていたんです。

杉本さんが言うように、確かにテーマには沿ってなかったかもしれないですが、テクノロジーを楽しく活用するという観点では、素晴らしいことです。

杉本:僕が星野さんを尊敬するところの一つがまさにここ。とにかく許容してくれるんです。
むしろ「そういうやつを待ってたんだよー!」なんて言い出しちゃって。型破りなCTIOです(笑)

星野:そうそう、待ってましたよ!

アバナードはテクノロジーの会社でもあるので、魅力的だと感じるテクノロジーに対して、いち早くチャレンジして形にしているのは、讃えるべきこと。そこにある原動力というのは、間違いなく、テクノロジーに対する情熱です。

僕が入社した2006年当時、アバナードは「Passion for Technology」というキーワードを掲げていました。テクノロジーに対する情熱というのは、アバナードが創業当時から大事にしていること。

彼らはこのテクノロジーに対する情熱を体現しているのですから、CTIOとしてはむしろ、頭が上がらないと思ったくらいです。


スターを輩出し、ライバルと共に成長できる場へ

——話を聞いているだけで、早くも次回が楽しみになってきました。

杉本:運営側としては、改善してアップデートしたい点が色々見つかったので、次に生かしてもらいたいと思っています。

特に審査・投票に関しては、悩んだ末にあえてシンプルに一人一票を投じるシステムにしていましたが、やっぱり何が評価されているのか気になるところ。次回は、マーケティングが良かったのか、プレゼンが良かったのか、そもそものアイデアが良かったのか、ビジネスの展開可能性がよかったのか、そのあたりまで明確にわかる設計にできるといいですね。

他にも、審査側がバーチャルな通貨で出資できたら面白いんじゃないかとか、社内からもいろんなアイデアが上がってきています。

僕個人的には !nnovate ハックをやりたいな、なんて思っていますけどね。

——具体的にはどういうことでしょうか?

杉本:世界的に有名な映画賞の裏で、その年の最低な映画を選出する賞があるじゃないですか。あのイメージです。

最もアホなアプリケーションの !nnovate で、名付けて「アホベート」(笑)

関西弁で言うアホって意味もありますが、「アフォーダンス(affordance)」って意味もちゃんと込めてね。「与える」とか「提供する」って意味がそこにはありますから。そうやって、また違った楽しみ方を企んでいますよ。

星野:ちょっとちょっと、杉本さん!僕もそっちに参加したくなっちゃいますよ(笑)

って、その話はまた個別で詰めていくとして、真面目な話をさせてもらうと、僕はこの !nnovate を大きく進化させたい。年に一度の開催ではなく、もっと頻繁に開催していきたいと考えています。

そのための具体的な構想はいくつかあるんですが、そのうちの一つが、外に出すこと。

アバナード日本代表のアイデア、技術、熱意は日本全国レベルで通用するのか?世界レベルで通用するのか?というように、外へと意識を向けていきたい。そうすると、社内イベントはある種の練習の場になり、そこをきっかけに社外でも活躍するスターがどんどん生まれてくるはずです。
そんな展開ができたら面白いかなと思っています。

もう一つはその逆で、外部の組織やチームを取り込みたいということです。

実際にイベントを実施してきて思うのが、カルチャーを作るというのは容易ではないということ。僕たちも3年かけてここまできました。

同じように、日本中には苦労している企業や組織がいっぱいあるはずです。一緒に取り組むことで、お互いにいい影響を与え合って、コラボレーションして、切磋琢磨し合っていく。それができたら !nnovate はより発展するし、魅力的な場になるんじゃないかな、と。

そうした時、オフィスの価値やあり方というのが改めて見えてくるはずですから、リアルな価値というのをより意識してやっていきたいですね。

これは完全なる僕の野望です。

——一緒により良くなっていく。アバナードらしい野望ですね。

杉本:いつも言っていますが、アバナードにいるのは、一緒によくなっていこうとする考え方が根底にあるメンバーばかりなんです。
星野さんがいうような展開ができたら、アバナードはますます成長しそうですね。

星野:もっと言ってしまうと、「働く」の概念を根本から変えていきたいと思うんですよ。

というのも、働くことに対して、辛いとかお金のためとか、そうした意識を持っている方は多いと思います。でも、そうした意識で人生を消費するなんてもったいないじゃないですか。

!nnovate をはじめとして、いろんなアバナードの側面を見てもらって、「他の会社と比べて働くって概念が違うよね?」なんて思ってもらえるくらいになりたいですよ。

なんだか熱くなって話が派生しちゃいましたが、「もっと楽しいことしたいんだよな〜」とか「面白いことしたいんだよな〜」って思ったら、アバナードを思い出してもらいたい。そして、その気持ちを大事にして欲しいし、どんどん実行に移して欲しい。

それが今日、僕と杉本さんが伝えたいことです。

▲オンラインインタビューの一コマ(左:星野さん、右:杉本さん)
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